26/07/13
住民税非課税世帯になると年金は減る?お金持ちでも住民税非課税世帯になれる?

住民税がかからない世帯のことを住民税非課税世帯と言います。住民税非課税世帯であれば、健康保険料の減額が受けられるうえに、高額療養費制度における上限額も低くなるため、病気になった時でも負担が減るでしょう。
一方で、状況次第では将来受け取れる年金が減ってしまう可能性もあるため注意しなくてはいけません。この記事では、住民税非課税世帯であることと、年金との関係について分かりやすく解説します。
そもそも住民税非課税世帯とは
住民税非課税世帯とは、同じ世帯に住民税を課税されている人、つまり支払う義務を課せられている人が一人もいない世帯を指します。
住民税は所得に応じて支払う部分である所得割と、支払い義務のある人全員が一律に支払うべき均等割からなる税金です。住民税非課税とは、所得割も均等割も払っていない状態にあることを指します。
筆者の住んでいる埼玉県さいたま市の場合、住民税非課税となる条件は以下のとおりです。
・生活保護法に基づく生活扶助を受けている(1月1日現在)
・障害者・未成年者・寡婦又はひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下である
・同一生計配偶者又は扶養親族がおらず、前年の合計所得金額が45万円以下である
・同一生計配偶者又は扶養親族がいて、前年の合計所得金額が35万円×(同一生計配偶者+扶養親族数+1)+31万円以下である
細かい条件は自治体によっても異なりますが、基本的には「所得が一定額以下である、もしくは生活保護を受けている」状態であれば、住民税が課せられないと考えて構いません。
国民年金保険料の支払状況が大きく影響する
住民税が課せられるかは、前年の合計所得によって決まるため、年金の額とは関係ありません。しかし、合計所得が低ければ自由に使えるお金もないことは十分に考えられます。結果として、国民年金保険料を支払わない、もしくは免除や納付猶予など支払の減額や延期を前提にした制度を使った場合、将来受け取れる現金の額は減ってしまいます。
国民年金保険料の免除には、所得基準に応じて「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4種類があります。免除を受けることで納める国民年金保険料は減りますが、将来もらえる年金額は減ります。
国民年金保険料を全額納付した場合の年金額を1としたときの具体的な調整額は以下のとおりです。
・全額免除:2分の1
・4分の3免除:8分の5
・半額免除:8分の6
・4分の1免除:8分の7
また、国民年金保険料が払えないからといってそのままにしておくと、未納として扱われます。その期間は年金額に一切反映されないため、将来的に受け取れる年金は当然減ってしまいます。
どうしても払えない場合は納付猶予を申請することで支払いを待ってもらうことはできます。ただし、納付猶予の期間は将来年金を受け取るために必要な受給資格期間として扱ってもらえるものの、年金額には反映されません。将来受け取れる年金を減らしたくないなら、できるだけ納付猶予の期間を少なくとどめ、払えるようになったらすぐに払いましょう。
現役時代の給与が高ければ住民税がかかるかも
現役時代、会社員や公務員などとして働いていた、いわゆる国民年金の第2号被保険者は、勤務先を通じて厚生年金に加入しています。
厚生年金保険料は給与・賞与から求める標準報酬月額・標準賞与額をもとに算出します。この金額と加入月数に応じて将来の年金額が決まる仕組みになっているため、在職年数が長い人や、給与・賞与の額が高かった人であれば、受け取れる年金も大きくなるはずです。
ただし、年金として受け取れる金額が大きければ、収入があるとみなされるため、住民税が課せられる可能性が出てきます。埼玉県さいたま市の場合、65歳以上かつ公的年金収入のみの人(扶養なし)であれば、年収155万円以上になると均等割を支払わなくてはいけません。
実際は大金持ちなのに住民税非課税世帯になることも
住民税非課税世帯であることと受け取れる年金の額が低いことは、基本的には関係ありません。しかし、前年の所得が一定額を下回っている、生活保護を受けているなど、経済的に困難な状況にある人は住民税を支払わなくて済むように制度が設計されています。そのため、実際は「住民税非課税世帯であれば受け取れる年金も少ないし、老後に困窮するリスクも高い」ということは十分に起こり得るでしょう。
しかし、住民税非課税世帯であっても、実は大金持ちであってさほど老後においても困窮しない人もいます。たとえ所有している資産額が多く生活に困窮しない状態でも、給与収入がないなどの理由で前年度の所得がゼロであったなら、住民税非課税世帯になり得るためです。
そして、住民税非課税世帯になれば、給付金がもらえたり、国民年金保険料や国民健康保険料の負担が減ったりなどの経済的な恩恵があります。
つまり、働いていて収入はあるものの資産がなく生活に困窮している人の負担が減らない一方で、本当は住民税を含めた支払いに困らないほどの資産がある人の負担は軽減されるというパラドックスが起きかねません。
別に不正を働いているわけではない以上とがめる余地もありませんが、住民税が非課税となる趣旨からは逸脱している以上、将来的に何らかの是正が行われることは十分にあり得るでしょう。
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荒井美亜 金融ライター/ファイナンシャル・プランナー
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融・マネー系の記事を主に手掛けるライターとして活動中。ゲームを通じて全国の高校生・大学生に金融教育を行うプロジェクト「Gトレ」の認定ファシリテーター(講師)として教壇にも立つ。取得資格はAFP(日本FP協会認定)、貸金業務取扱主任者(試験合格)、宅地建物取引士(試験合格)
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