26/05/14
ChatGPTに年金のことを相談しても大丈夫?FP目線での注意点

昨今、ChatGPTやGeminiなどの生成AIを用いたサービスが広まっています。筆者も、ChatGPTにちょっとした疑問を聞いてみるなど、何かと利用しています。
そこで生成AIにお金の相談をしたら、どこまで信頼できる回答をしてくれるかを試してみることにしました。今回は年金について、疑問や不安に思う人が多い3つの質問を想定しています。
なお「生成AIの回答」は、そのままではなく、回答として返ってきた文章を再構成したものです。
質問1:育休を取ったり時短勤務になったりすると、将来もらえる年金って減りますか?
【生成AIの回答】
育休を取ったことで、基本的に将来受け取れる年金は「減りにくい」ものと考えられます。
育休等の期間は、所定の手続きを行うことで、本人および勤務先負担分の厚生年金保険料が免除される仕組みになっているためです。さらに、その免除期間は将来の年金計算で保険料を納めた期間として扱われるため、原則として免除が原因で年金が不利になりにくい仕組みです。
一方、時短については、給与が下がるとそのままだと年金は下がりやすい可能性があります。厚生年金は基本的に報酬に連動して増えるため、加入期間が長く収入が多いほど、将来受け取れる年金額も増えやすいからです。
ただし、3歳未満の子を育てる期間に、時短などで標準報酬月額が下がった場合、申出により下がる前の標準報酬月額で年金を計算する「みなし措置」を利用することが可能です。
【FPの視点:大筋では間違いなし】
大筋では間違いがないため、ある程度参考にできるものと考えられます。育休期間の厚生年金保険料は全額免除され、納めたものとみなされますので、将来の年金額も減りません。
ただし、3歳未満の子を育てる期間中に時短勤務をした場合に利用できる「みなし措置」については、正式名称が出てきませんでした。正式名称は「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」といいます。勤務先を通じて「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出しないと利用できません。
制度が存在していても、利用方法がわからないと直接的な解決に結びつかない点には注意が必要です。
質問2:共働きと配偶者の扶養に入る場合だと、将来の年金はどれくらい差が出るんですか?
【生成AIの回答】
大まかにいうと「上乗せできる厚生年金の額」によって異なります。
配偶者の扶養に入っている(いわゆる「第3号被保険者」)の期間は、本人が保険料を払わなくても国民年金の納付済期間として扱われるため、将来老齢基礎年金を受け取ることが可能です。
ただし、老齢厚生年金の上乗せはできないため、共働きの場合に比べると将来的に受け取れる年金は少なくなります。
【FPの視点:的確な解説だが個々の事情は考慮されていない】
理解しやすい解答であり、基本的には問題ありません。
ただし、実際にどのぐらい差が出るかについては言及されていないため、正確に差を把握するためには個々の状況に応じたシミュレーションが不可欠です。また「将来受け取れる年金(老齢基礎年金および老齢厚生年金)」にフォーカスすれば、共働きのほうが有利です。
ただし、共働きに移るか、第3号被保険者の範囲で働くか(パート・アルバイト)などは、他の要素も勘案して考える必要があります。たとえば「毎月高額の治療費がかかる疾病を抱えているときに、配偶者の加入している健康保険組合に付加給付の制度がある」といった場合は、あえて扶養に入るほうが、毎月の出費を抑えられるかもしれません。
これに関しては画一的な結論がないため、専門家のアドバイスも参考にしながら判断しましょう。
質問3:国民年金保険料を払わないとどうなりますか?自分の意思とは関係なく、勤務先の厚生年金加入手続きが進まない場合はどうすればいいですか?
【生成AIの回答】
国民年金の保険料を未納のまま放置すると、将来の年金額に響くだけでなく、状況によっては障害年金・遺族年金などにも影響が出る可能性があります。
さらに、納付がない場合は督促・延滞金、最終的に財産差押えを含む強制徴収の対象になることもあります。払うのが難しいときは、未納のままにせず免除・猶予を申請して「資格をつなぐ」のが安全です。
また、本来は厚生年金に入るべきなのに会社が手続きしてくれない場合は、放置せず年金事務所に相談しましょう。日本年金機構は、必要に応じて事業所への立入検査等を行い加入手続きを進める仕組みを持っています。
【FPの視点:一般論としては優秀】
国民年金保険料の免除・猶予に触れている点や、日本年金機構による立入検査等について言及されている点は、優秀なアドバイスと考えられます。
ただし、免除・猶予によるデメリットが言及されていない点に注意が必要です。確かに、免除・猶予は未納よりはよいですが、免除期間の年金額は減額されますし、猶予期間は後から国民年金保険料を納めなければ年金は増えません。余力ができたら、期限内に納めることを検討すると安心です。
また、本来は厚生年金に入るべきなのに会社が手続きしてくれない場合ですが、たとえ事業所がいわゆる「強制適用事業所」であっても、被保険者とならないケースがあります。たとえば、「自分では雇用契約を結んだつもりだったとしても、実際は業務委託・請負契約を結んでいた」「労働時間・勤務形態などで社会保険の対象から外れた」といったことが考えられます。
まず、自分が勤務先と結んだ契約の内容を確認したうえで、厚生年金の被保険者となる資格があるかも含め、ハローワークや日本年金機構に相談しましょう。また、業務委託・請負契約を結んだ場合でも、毎日の出勤が義務付けられていたなど事実上労働者と判断される場合は、各労働法規で保護される余地が出てきます。この場合、フリーランス・トラブル110番など然るべき窓口に相談しましょう。
情報収集の入り口としてなら大アリ
今回はChatGPTに3つの質問をしましたが、いずれも基本的な知識を網羅した回答が得られています。情報収集を入り口として利用するならば効率的なツールと言えるでしょう。
しかし、制度を利用するうえでの手続きやデメリットについては、質問の仕方を工夫するなど踏み込んだ工夫をしないと知るのが難しいかもしれません。何より、絶対に正しい情報が返ってくるとは限りません。個々の事情にまで踏み込んだ判断を求めるなら、都度専門家に相談することも視野に入れましょう。
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荒井美亜 金融ライター/ファイナンシャル・プランナー
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融・マネー系の記事を主に手掛けるライターとして活動中。ゲームを通じて全国の高校生・大学生に金融教育を行うプロジェクト「Gトレ」の認定ファシリテーター(講師)として教壇にも立つ。取得資格はAFP(日本FP協会認定)、貸金業務取扱主任者(試験合格)、宅地建物取引士(試験合格)
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