25/10/31
定年後の再雇用は2年続けたほうがいい6つの理由

2025年4月からは65歳までの雇用確保が義務付けられていますが、以前は60歳定年制が主流でした。そのため60歳定年の契約で働いてきた人の中には、60歳で仕事を辞める人もいれば、60歳以降は勤務先に再雇用されて嘱託社員として働く人もいます。
ただ、定年退職後すぐに仕事を辞めたり、1年間だけ嘱託社員として働いてから辞めたりすると、税金や社会保険料で損をするかもしれません。そこで2年以上は再雇用で働いたほうがいいといわれますが、どうして再雇用を2年続けたほうがいいのでしょうか?6つの理由を紹介します。
定年後の再雇用は2年続けたほうがいい理由①:住民税は前年所得で決まるから
住民税は前年の所得で税額が決まり、その年の6月から翌年5月までの1年間かけて納付します。そのため、60歳で定年退職する場合、あるいは1年だけ再雇用で働いて辞める場合、在職中の高い給与で住民税が計算されるため、仕事を辞めて無職になったばかりの年は高い住民税を納めなければならず、負担感が大きく感じられるでしょう。
しかし、再雇用で2年以上働いて辞めれば、無職になったばかりの年に納める住民税は、再雇用で減った給与で計算されるため、住民税を軽減できます。
定年後の再雇用は2年続けたほうがいい理由➁:再雇用は同日得喪で社会保険料が安くなるから
再雇用されるなら「同日得喪」を利用するのがお得です。
通常、定年退職から再雇用までに空白期間ができると、再雇用が始まってから3ヵ月間の給与で標準報酬月額が決まります。そのため、3ヵ月間は在職中の高い給与の標準報酬月額となるので、社会保険料が高くなります。しかし定年退職後、空白期間を置かずに再雇用されると、社会保険の資格喪失日と資格取得日が同じ日になる「同日得喪」となります。この場合、再雇用の下がった給与で標準報酬月額が決まるため、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)が安くなります。
また、退職して国民健康保険に加入する場合、国民健康保険料は前年所得で決まるため、再雇用で働いたほうが、仕事を辞めてからの国民健康保険料を軽減できます。
定年後の再雇用は2年続けたほうがいい理由③:厚生年金に加入できるから
会社に再雇用されると、継続して社会保険に加入できます。70歳までは今までどおり厚生年金保険にも加入できるので、再雇用で働いた分だけ厚生年金保険料の納付額や厚生年金の加入期間を増やせます。これにより将来もらえる老齢厚生年金が増額されます。
定年後の再雇用は2年続けたほうがいい理由④:障害厚生年金の対象になるから
厚生年金に加入していると、初診日が厚生年金の加入期間中であれば、病気やケガで障害を負ったときに障害厚生年金をもらえます。60歳以降、定年退職して完全に仕事を辞めると障害厚生年金の対象外となるため、再雇用で働いていたほうが安心できるかもしれません。
定年後の再雇用は2年続けたほうがいい理由➄:60歳を過ぎると再就職が難しいから
いずれやってくる年金生活を思うと、60歳で定年退職した後も働きたいと考える人も少なくありません。しかし、60歳以上の人に対する求人は非常に少なくなります。また、求人があっても職種が偏る傾向があるため、希望する職種で再就職は難しくなるでしょう。60歳を過ぎてからの求職活動の厳しさを考えると、これまで勤めてきた会社での再雇用を選択するのが最良と考えてよいでしょう。
定年後の再雇用は2年続けたほうがいい理由⑥:収入ダウンにシフトチェンジする必要があるから
60歳で定年退職した後の人生では、3回の収入ダウンの壁があるといわれています。1回目は定年退職後、2回目は65歳で年金生活に入る時、3回目は配偶者が先に亡くなった時です。収入がダウンしても生活は続きます。生活を成り立たせるため、60歳の定年退職後は引き続き再雇用で働いて収入を確保しつつ、支出を抑えた生活ができるようシフトチェンジしていきましょう。
定年退職後も2年は再雇用で働こう
60歳で定年退職しても、年金支給が始まる65歳までは収入を確保したほうが安心です。また、定年退職後も税金と社会保険料の納付は続きます。そこでおすすめなのが再雇用で2年は働くことです。社会保険料を最小限に抑えつつ収入を確保できるので、定年退職後は引き続き再雇用で2年は働くことをおすすめします。
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        前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

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