25/10/21
【2025年10月から】年金生活者支援給付金の基準額改定!年金額が少ない人は申請しないと大損

年金生活者支援給付金は、年金に上乗せして支給される給付金。老齢年金、障害年金、または遺族年金を受け取っている人で、一定の条件を満たす人に支給されます。年金生活者支援給付金は、年金などの収入が少ない人の生活をサポートするために設けられています。今回は、毎年10月に年金生活者支援給付金が見直され金額が変わること、2025年10月以降の年金生活者支援給付金の金額、年金生活者支援給付金を受け取っている人数や平均額について詳しくご紹介します。
年金生活者支援給付金とは?
年金生活者支援給付金は、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準額以下の方に、国が生活の支援を図ることを目的として給付金を支給する制度です。
年金生活者支援給付金は、国民年金や厚生年金を受け取る方のうち、支給要件を満たす方の年金額に上乗せされます。
年金生活者支援給付金には、大きく分けて「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3種類があります。名前のとおり、どの年金を受け取っているかによってもらえる給付金が変わります。
まずは、それぞれの年金生活者支援給付金の支給要件について確認しましょう。なお、年金生活者支援給付金の基準額は毎年10月に改定されます。以下で紹介する金額はすべて2025年10月からの金額です。
「老齢年金生活者支援給付金」を受け取れる人の要件
老齢年金生活者支援給付金の対象は、以下の要件をすべて満たしている方です。
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
・同一世帯の全員が市町村民税非課税である。
・前年の公的年金等(障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まず)の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれた方は90万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は90万6700円以下である。
なお、公的年金等の金額が
・昭和31年4月2日以後に生まれた方:80万9000円を超え90万9000円以下
・昭和31年4月1日以前に生まれた方:80万6700円を超え90万6700円以下
に該当する場合は、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
年金生活者支援給付金はどのくらい受け取れるの?
年金生活者支援給付金の支給額は、5450円(月額)を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出されます。以下の①、②の合計額です。
①保険料納付済期間に基づく額(月額)=5450円×保険料納付済期間/被保険者月数480月
②保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1551円×保険料免除期間/被保険者月数480月
支給額の算出のもととなる保険料納付済期間等は、お手持ちの年金証書や支給金額変更通知書等でご確認できます。
●実際の給付額を計算すると?
たとえば、昭和31年4月2日以後生まれで、保険料納付済期間が480カ月、全額免除月数が0カ月の場合であれば、
① 5450円×480(保険料納付済期間)/480月(被保険者月数)= 5450円
② 1万1551円 × 0 (保険料免除期間なし)/ 480月(被保険者月数)= 0円
合計 5450円+0円= 5450円
1カ月あたり「5450円」が老齢基礎年金に上乗せされます。
なお、昭和16年4月1日以前に生まれた方の「被保険者月数」は480月よりも少なくなります。
「障害年金生活者支援給付金」を受け取れる人の要件
障害年金生活者支援給付金の対象は、以下の支給要件をすべて満たしている方です。
・障害基礎年金の受給者である。
・前年の所得(障害年金等の非課税収入は含まず)が479万4000円以下である。
ただし、「479万4000円」は、扶養親族等の数に応じて増額します。
●障害年金生活者支援給付金はどれくらい受け取れるの?
障害年金生活者支援給付金の支給額は、認定されている障害等級によって異なります。
・障害等級が2級の方:5450円(月額)
・障害等級が1級の方:6813円(月額)
「遺族年金生活者支援給付金」を受け取れる人の要件
遺族年金生活者支援給付金の対象は、以下の支給要件をすべて満たしている方です。
・遺族基礎年金の受給者である。
・前年の所得(遺族年金等の非課税収入は含まず)が479万4000円以下である。
ただし、「479万4000円」は、扶養親族等の数に応じて増額します。
●遺族年金生活者支援給付金はどれぐらい受け取れるの?
遺族年金生活者支援給付金の支給額は、5450円(月額)です。
ただし、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5450円を子の数で割った金額を支払います。もし遺族基礎年金を受給している子が3人であれば、5450円を3人で割り、1817円(1人あたりの月額)が支払われます。
年金生活者支援給付金はどのくらいの人が受け取っている?
年金生活者支援給付金は、物価や生活水準の変化に応じて毎年10月に支給額が改定されます。実際に年金生活者支援給付金を受け取っている人の受給者数や平均支給額は、次のようになっています。
<老齢年金生活者支援給付金の状況>

厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業統計2023(令和5)年度」より筆者作成
年金生活者支援給付金の受給件数は約784万件。平均給付金額は老齢年金生活者支援給付金で4014円です。もし老齢年金生活者支援給付金を満額(5450円)受け取れるのであれば、年間6万5000円ほどもらえる計算ですので、生活の足しになるでしょう。
なお、年金生活者支援給付金は世帯ごとに受け取るものではなく、要件を満たせば1人ずつ受け取れる給付金です。夫婦2人で暮らしている世帯では、それぞれが支給要件を満たす場合、2人とも受け取れます。
新たに支給対象になった人は「はがきの投函」または「電子申請」を忘れずに
年金生活者支援給付金を受け取るには、手続きが必要です。一度手続きすれば、以後は条件を満たしている限り手続きせずに受け取ることができます。
2025(令和7)年度より新たに年金生活者支援給付金の支給対象となる方は、申請が必要です。手続きは、はがきもしくは電子申請のいずれかでできます。
●はがきでの申請方法
日本年金機構では、毎年9月の第1営業日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が入った緑色の封筒を送付しています。封筒が届いたら、次の手順で手続きを進めましょう。
① はがきを切り取り線に沿って切り離す
② 氏名など必要事項を記入する
③ 記載内容が見えないよう目隠しシールを貼る
④ 切手を貼ってポストに投函する
はがきが2026年1月5日(月)までに日本年金機構へ届いた場合は、2025年10月分からの給付金が支給されます。一方で、1月5日以降に届いた場合は、請求した月の翌月分からの支給となります。ですから、申請はできるだけ早めに行いましょう。
●電子申請の方法
スマートフォンから申請する場合は、同封のリーフレットに詳しい手順が記載されています。スマートフォンで電子申請を行う場合、はがき(請求書)の提出は不要です。
申請には以下のものを準備しておきましょう。
・スマートフォン
・マイナンバーカード
・暗唱番号類:マイナンバーカード受け取り時に設定した数字4桁の暗証番号
署名用電子証明書の英数字6~16桁のパスワード
これらを確認しておくと、スムーズに電子申請ができます。
申請を早めに済ませて安心を
年金生活者支援給付金は、2026年1月5日(月)を過ぎても申請は可能ですが、申請が遅れると受け取る時期が後ろ倒しになります。緑の封筒が届いたら、内容を確認して、早めに手続きを済ませましょう。早めの申請で、確実に給付金を受取り、将来の安心につなげましょう。
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舟本美子 ファイナンシャルプランナー
「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー

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