25/10/23
給与は同じなのに社会保険料に差がつく6つの理由

「給与は同じなのに、社会保険料を比べると自分の方が高い」
職場の同僚などと給与の話になったとき、そう感じたことはありませんか?たとえ基本給が同じでも、天引きされる社会保険料が異なると、手取り額に差が出てきます。そこで今回は、社会保険料の決まり方と、同じ給与でも社会保険料に差が出る理由をわかりやすく解説します。
社会保険料はどうやって決めているの?
会社員が納める社会保険料は、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料(40歳~64歳の場合)、雇用保険料の4種です。これらは毎月給与から天引きされるのですが、社会保険料の金額はどのように決められているのでしょうか?
ここでは社会保険料の決まり方を解説します。
●健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料の基準は「標準報酬月額」
標準報酬月額とは、社会保険料を決める際の基準となるものです。会社員がもらう給与を一定金額で区切った報酬月額によって決まり、等級により区分されています。また、標準報酬月額の対象には、基本給のほか各種手当や税金や社会保険料も含みます。
●健康保険料
健康保険料は、基本的に4月~6月の報酬月額を平均して決まる標準報酬月額をもとに計算されます。健康保険料の金額は標準報酬月額に保険料率を掛けて計算し、算出された健康保険料は会社と折半します。
●厚生年金保険料
厚生年金保険料は標準報酬月額に保険料率を掛けて計算し、保険料は会社と折半します。また、厚生年金保険料は4月~6月の報酬月額の平均で決まる標準報酬月額をもとに計算されます。
●介護保険料
公的介護保険制度は40歳以上の人が加入するため、40歳~64歳の会社員は介護保険料も給与天引きとなります。
介護保険料は4月~6月の報酬月額の平均で決まる標準報酬月額をもとに計算され、標準報酬月額に保険料率を掛けて算出します。天引きとなる介護保険料は会社と折半します。
●雇用保険料
雇用保険料は、税金や社会保険料、各種手当を含めた毎月の給与(総支給額)に保険料率をかけて計算します。
給与が同じなのに社会保険料に差がつく理由は?
同僚と比べ基本給は同じなのに社会保険料の金額に差が出るのは、以下に紹介する6つの理由があるからです。
●社会保険料に差がつく理由その1:4月~6月の残業が多かったから
社会保険料を決める標準報酬月額には、基本給だけでなく残業手当などの各種手当も含まれます。また、1年間の社会保険料は4月~6月の報酬月額の平均によって決まる標準報酬月額をもとに計算され、その年の9月から給与天引きされます。4月~6月に多く残業をすると、それが標準報酬月額に反映されるため社会保険料が高くなります。
●社会保険料に差がつく理由その2:通勤手当が多いから
社会保険料を決める標準報酬月額には通勤手当も含みます。そのため、通勤手当を多くもらっている人はそれが標準報酬月額に反映され、社会保険料が高くなります。
●社会保険料に差がつく理由その3:扶養手当をもらっているから
会社によっては、福利厚生の一環として扶養家族がいる従業員に対し扶養手当を支給するところがあります。扶養手当も社会保険料を決める標準報酬月額に含まれるため、扶養手当をもらっている人は社会保険料が高くなります。また、扶養家族が多いほどもらえる扶養手当が多くなり、結果として社会保険料の金額に差が生じます。
●社会保険料に差がつく理由その4:介護保険料を支払っているから
40歳になると、すべての人は公的介護保険に加入します。それにより40歳~64歳の会社員は給与天引きで介護保険料を納めます。そのため、40歳を過ぎた人は同じ給与の39歳以下の人と比べると、社会保険料が多くなります。
●社会保険料に差がつく理由その5:賞与の金額が異なるから
社会保険料は賞与からも天引きされます。また賞与の場合も、設定された標準賞与額をもとに社会保険料の金額を決めます。そのため、もらえる賞与の金額が異なれば、天引きされる社会保険料にも差が生じます。
●社会保険料に差がつく理由その6:加入する健康保険組合が異なるから
健康保険料の保険料率は健康保険組合が設定するため、加入する健康保険組合が違えば、健康保険料の金額も異なります。そのため、同じ給与でも異なる健康保険組合の人と比べると、社会保険料に差が生じる可能性があります。
社会保険料は各種手当や年齢で変わる
基本的に、社会保険料は4月~6月の報酬月額の平均をもとにした標準報酬月額で決まります。標準報酬月額には基本給のほか、残業手当や通勤手当、扶養手当などの各種手当も含まれるため、もらっている手当の金額が異なれば、同じ給与でも社会保険料に差が生じます。また、40歳からは介護保険料を納めるため、39歳以下の人と比べると社会保険料が増えます。
標準報酬月額は給与明細で確認できます。給与明細に記載がない場合は会社に問い合わせるか、天引きされた厚生年金保険料や健康保険料から、日本年金機構や加入する健康保険組合の保険料額表を使って逆算して調べるとよいでしょう。
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前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

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