26/04/13
親が亡くなった後の「スマホロックの罠」にご用心

「父が亡くなりました。スマホに家族の写真や電子マネーが入っていると思うのですが、パスコードがわからなくて……」最近、相続の現場ではこんな相談が増えています。スマホが生活の中心になった今、親が亡くなったあとに「スマホロック」が開けないことで、思わぬ困りごとが起きてしまうケースが少なくありません。今回は、スマホロックに潜む罠とその回避方法を紹介します。
スマホが開けないと、どんなことが起きるのか
今のスマホは、まさに“その人の暮らしそのもの”。連絡先や写真、動画はもちろん、ネット銀行や証券アプリ、電子マネー、サブスクの情報まで、あらゆるデータが詰まっています。
パスコードがわからないままでは、次のような問題が起きてしまいます。
(1)財産の全体像がつかめない
ネット銀行口座の残高やネット証券口座などの株・投資信託、さらには暗号資産(仮想通貨)など、スマホでしか管理していない資産は、アクセスできなければ存在に気づけません。相続手続き後に見つかると、追徴課税の対象になることもあります。
(2)サブスクの解約ができない
動画配信や音楽サービス、ゲームなどの月額課金は、解約しない限り引き落としが続きます。ログインできないまま放置すると、不要な支出が長引いてしまいます。
(3)思い出の写真や動画が見られない
葬儀が落ち着いた頃、故人が残した写真や動画を見返したいと思うご家族は多いもの。スマホが開けないまま初期化されてしまうと、二度と取り戻せません。
(4)訃報を伝える連絡先がわからない
故人の友人や仕事関係の連絡先がスマホの中だけにある場合、訃報を伝えることすら難しくなります。
焦って入力すると、かえって危険なことも
iPhoneもAndroidも、一定時間が経ったり再起動したりすると、パスコードの入力が必要になります。このとき、思い当たる番号を何度も試すのはとても危険です。誤入力を繰り返すとロック時間が延びたり、設定によってはデータが自動消去されることもあります。iPhoneでは、10回の誤入力で全データが消える場合も。「誕生日かも」などと軽い気持ちで試すのは避けたほうが安心です。
スマホロックで困らないためにできること
スマホロックの解除ができない事態に備えるには、準備が欠かせません。ここではiPhoneとAndroidにわけて紹介します。
●iPhoneの場合
Appleには「デジタル遺産プログラム」があります。故人が生前に家族を“アカウント管理連絡先”として登録し、アクセスキーを渡していれば、死亡証明書とともに申請することで写真や連絡先などにアクセスできます。
登録がない場合でも、死亡診断書や戸籍謄本などを揃えて申請できますが、アクセスできるのは主にクラウド上のデータです。
また、「iPhoneを探す」がOFFの場合に限り、PCで初期化する方法もありますが、端末内のデータはすべて消えてしまうため、最終手段と考えましょう。
携帯キャリアでは本体ロックの解除は行っていませんが、死亡診断書などを持参すれば契約情報の確認や解約手続きは対応してくれます。
●Androidの場合
Googleアカウントの「端末を探す」が設定されていれば、そこからロック解除やデータ消去ができる可能性があります。
パスコードが不明な場合は、戸籍謄本や死亡診断書を準備し、携帯キャリアやメーカーに相談する流れはiPhoneと同じです。初期化も選択肢ですが、データはすべて失われます。
パスコードのヒントは、意外なところに
どうしてもスマホロックが解除できないからと専門業者に依頼する前に、故人の身の回りを丁寧に見直してみましょう。手帳やメモにパスコードを書き残していることもありますし、パスワード管理アプリを使っている場合もあります。
また、キャッシュカードやネットバンクの暗証番号と共通にしているケースも多いため、ヒントになりそうな番号を探してみるのも一つの方法です。
スマホの契約をすぐに解約してしまうのも注意が必要です。SMSで届く認証コードがないとログインできないサービスが多いため、3~6か月ほどは料金プランを下げて維持しておくほうが安心です。
なお、相続人が故人のスマホを確認すること自体は、不正アクセス禁止法には原則抵触しません。ただし、SNSやクラウドサービスなど外部アカウントへのログインは、利用規約違反となる可能性があります。相続人全員の同意を得て、慎重に進めることが大切です。
生前の「ちょっとした準備」が家族を守る
スマホロックのトラブルを防ぐいちばんの方法は、やはり生前の準備です。「まだ元気だから」と後回しにしがちですが、突然の別れは誰にでも起こり得ます。
親やパートナーと話せるタイミングがあれば、スマホのパスコードをエンディングノートや信頼できる書類に残しておくよう、そっと促してみてください。主要なアカウントのID・パスワード、加入中のサブスクの一覧も一緒に残しておくと、家族の負担はぐっと軽くなります。 Appleのデジタル遺産プログラムのように、家族を“管理連絡先”として登録しておく制度も、ぜひ活用したいところです。
スマホの中には、その人の人生がぎゅっと詰まっています。親が元気なうちに交わす小さな会話が、後に家族を大きなトラブルから守ってくれます。「スマホロックの罠」にはまらないために、今日からできる準備を始めてみませんか。
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KIWI ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士
長年、金融機関に在籍していた経験を活かし、個人のキャリアプラン、ライフプランありきのお金の相談を得意とする。プライベートでは2児の母。地域の子どもたちに「おかねの役割」や「はたらく意義」を伝える職育アドバイザー活動を行っている。
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