21/03/22
iDeCoの掛金、みんな毎月どのくらい支払っている? 平均や分布はどうなっているのか
将来の年金のためにiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)を始める人が増えています。ただ、金融機関で口座を開設した後、掛金をいくらにするか悩む人が多いようです。iDeCoの掛金には、加入している年金の種類や会社の年金制度などで上限があることは知っていても、掛金をいくらにしたらいいのかは、誰も教えてくれません。そこで今回はiDeCoの加入者の毎月の掛金の平均と分布について解説します。自分の掛金を決める時の参考にしてください。
iDeCoの加入者は毎月3万人増!
自分でお金を出して運用し、その成果を老後に受け取るiDeCo。税金を安くしながら自分のためにお金を貯められるメリットが注目を浴びています。制度としては2001年からありましたが、2017年から加入できる人が拡大。以後急速に加入者が増えています。2020年12月末現在で、iDeCo加入者の総数は181.7万人となっています。
2018年度以降のデータを見ると、iDeCoの加入者は1か月に平均3万人以上ずつ増えています。特に会社員や公務員などの第2号被保険者の加入率が高く、2018年度、2019年度では全体の85%以上を占めています。よく年金制度は「3階建て」といわれますが、会社員や公務員は、1階で国民年金、2階で厚生年金、さらに3階でiDeCoを活用していることになります。
●iDeCo新規加入者数の推移(2018年度〜2020年12月まで・全体)
●iDeCo新規加入者数の推移(2018年度〜2020年12月まで・第2号加入者)
iDeCo公式サイト「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況(2020年12月時点)」より
掛金の上限金額と目安
iDeCoでは毎月積み立てることのできる上限金額は、加入している年金の制度によって異なります。自営業などの第1号被保険者は毎月6万8000円、第2号被保険者の会社員は勤務先の年金制度により1万2000円、2万円、2万3000円となっています。同じ2号被保険者でも公務員は1万2000円までとなっています。また、専業主婦(夫)などの3号被保険者では2万3000円までです。
●iDeCoの加入区分と掛金の上限
筆者作成
では実際に、加入者が毎月どのくらいの掛金を支払い、積立しているのかを見てみましょう。なお、データはiDeCo公式サイト「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況 (2020年12月時点)」に基づいています。
●自営業・フリーランス
自営業・フリーランスの人は毎月6万8000円まで積み立てすることができますが、実際には5000円〜1万円までの人が23.6%、1万円から2万円までの人が24.9%ですので、半数の人が2万円未満になっています。一方、6万5000〜6万8000円とほぼ上限金額近い人も19,7%います。掛金の平均は2万7322円です。
●会社員・公務員
会社員・公務員の掛金額の上限は毎月1万2000円〜2万3000円までで、企業年金の有無などにより異なります。
全体としては、1万円〜1万5000円までの方が46.2%と多くなっていますが、企業年金のない方だけに絞ると、約55%の方が2万円〜2万3000円となっています。一方、企業年金のある方の場合は、約81%が1万円〜1万5000円です。また、公務員はもともと1万2000円までと少なめですが、約87%が1万円〜1万2000円となっています。掛金の平均は会社員・公務員全体の平均で1万4124円です。
●専業主婦(夫)
専業主婦(夫)の掛金は2万3000円が上限。約半数が上限金額近くの積立をしています。第3号被保険者は国民年金しか受け取ることができないため、積極的にiDeCoの制度を利用しているようです。とはいえ、掛金の平均は1万4856円です。
なお、全体の掛金の平均は1万5626円となっています。
掛金はいくらが最適なのか
iDeCoの掛金は最低毎月5000円から。上限金額までであれば1000円単位で決めることができます。とはいえ、最低金額の5000円よりも多いほど、メリットは大きくなります。その理由は2つあります。
ひとつは、掛金の全額が所得控除になるため、所得税や住民税の負担が軽くなることです。
例えば、毎月の掛金が2万3000円だとすると、年間では27万6000円です。所得税と住民税がそれぞれ10%だとすると、2万7600円ずつ税金の軽減効果があります。しかし、最低金額の5000円だとすると、年間の掛け金6万円に対して、6,000円ずつの軽減効果しかありません。掛金が多い方が、軽減効果が大きいのです。
もうひとつは、掛金に占める手数料の割合が少なくなることです。
iDeCoでは毎月収納手数料105円と事務委託手数料66円、最低171円の手数料がかかります。さらに、金融機関によっては口座管理手数料がかかる場合もあります。
手数料は、掛金から手数料が差し引かれて残りの金額が積み立てられる仕組みです。
例えば、5000円の掛金だと、171円分の手数料率は3.42%ですが、会社員の上限2万3000円では0.74%になります。口座管理手数料がかかる場合だとさらに負担率は多くなります。
「投資する商品の信託報酬は低い方がいい」と気にする人は多いですが、手数料率を考える人は少ないようです。掛金の上限金額を積み立てることで手数料率を下げることができます。
まとめ
iDeCoの掛金は自分で決められることがメリットでもありますが、その一方で掛金をいくらにしたらいいのか悩む人もいるようです。全体をみると1万6000円くらいですから、最低金額よりは平均から上限金額の間で考えてみてもいいかもしれません。
しかし、掛金が多い方が将来の積立金も増え、所得控除などのメリットも多くなります。掛金は1年に一度変更することができるため、毎月の掛金が厳しいと感じることがあれば変更することもできますので、必要な資金を積み立てることから掛金を考えてみてはいかがでしょうか。
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黒須 かおり ファイナンシャルプランナー(CFP)
女性を中心に、一生涯を見守るFPとしてmoney&キャリアのコンサルティングを行う。幸せになるためのお金の知識など幅広い資金計画とライフプランのアドバイスを手がけている。金融機関にて資産形成のアドバイザーとしても活動中。FP Cafe登録パートナー
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