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20/12/08

資産運用・経済

つみたてNISA・iDeCoを始めて、暴落が起きたら売るべき?生活が厳しくても続けるべき? お金のプロが運用開始後の疑問を解決

リスクを抑えながらコツコツお金を増やすためには、「長期投資」「積立投資」「分散投資」「低コスト」「税金無し」の5点セットが大切です。
それを兼ね備えている制度が、『つみたてNISA(積立NISA)』と『iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)』です。

つみたてNISAは、投資で得られた利益(運用益)にかかる20.315%の税金がゼロになるお得な制度です。iDeCoも同様に運用益が非課税になるのですが、それに加えて、毎月支払う掛金が全額所得控除になります。これにより、毎年の所得税や住民税を減らすことができます。

今回は、つみたてNISA・iDeCoをスタートしても、暴落したらどうしたらいいのか、生活が苦しくて積み立てを続けられない場合はどうすればいいのかなど、投資を始めたからこそ出てくるお悩みにお答えして行きます。

値下がりや暴落していたら売るべきなのか?

もし値下がりしていたらどうしますか。値下がりが少しならばまだしも、大きく値下がりしていたら、不安になるかもしれません。バブル崩壊、リーマンショック、コロナショックなど、市場はときに大暴落することがあります。こうしたとき、無傷でいられる投資信託はほとんどありません。

たとえば、2018年1月から2020年7月まで、つみたてNISAで月1万円ずつ、S&P500(米国株指数)に投資していたら、下のグラフのとおり元本割れする場面もでてきます。

値下がりしたからといって、積立投資をストップして売ることはおすすめしません。 なぜなら、売ってしまうと、これから値上がりしたときに資産が回復せず、大きくお金を減らすことになるからです。

リーマンショックのあった2008年9月から2020年7月までずっと1万円ずつ、先ほどのS&P500に投資していたら、元本143万円が311万円に増えている計算になります。もちろん、これからも必ずこのように回復するとはいえません。
しかし、積立投資こそ暴落をカバーできる有力手段なのです。

年金受け取り時や非課税期間終了時に大暴落があったらどうする?

ではもし、つみたてNISAの非課税期間が終わる20年後、あるいはiDeCoの受け取りが始まる60歳時点に暴落があったら、どうすればいいのでしょうか。

結論からいうと、運用を続けるべきです。
S&P500の推移を約40年分にして表示したのが下のグラフです。

40年の間、確かに市場は歴史的な暴落を何度か経験してきたのは事実です。しかし、市場はそれを乗り越えてきたのもまた事実なのです。

もし、タイミング悪く暴落したら、運用を続けて、値を戻したところで売るようにすればいいのです。つみたてNISAの資産は、20年経過後に課税口座に移され、それ以降の運用益に関しては非課税ではなくなってしまいますが、運用しつづけることはできます。もちろん、課税口座に移されたあとで売っても、移される前までの値上がり分は非課税のままです。

またiDeCoの資産も、現状60歳から70歳までに受け取りを開始するルールです。
70歳まで受け取りを遅らせている間の10年間は運用益非課税です。

生活が苦しくて積み立てを続けられない場合はどうすべき?

収入が減るなどして、運用に回すお金を支払うのが厳しくなることもあるでしょう。
そんなときは、毎月の投資金額を減らしたり、支払いをストップしたりできます。

つみたてNISAの場合、減額やストップは自由です。つみたてNISAの非課税期間は20年ですが、必ず20年間続けなければならないというものではありません。その間いつでも減額やストップができるのです。手続きは、ネットで可能です。

しかし、iDeCoではそうはいきません。iDeCoの減額やストップは、書類での手続きをする必要があります。
iDeCoの掛金の減額・増額はできますが、最低金額の 5000円より少なくすることはできません。また、積立金額の変更は1年に1回までしかできません。
掛金の停止をしたい場合は、運用指図者になる必要があります。運用指図者になると掛金の払込なしで運用だけできます。

ただし、iDeCoは掛金を減額・停止している間も、毎月の手数料はかかり続けます。最低でも、口座管理手数料の年2052円はどの金融機関でもかかります。せっかく貯めた資産が目減りする可能性があるので注意しましょう。

生活が苦しくても、iDeCoは月5000円続けておくことをオススメします。続けておくことで所得控除による節税効果が得られますし、何より老後資産を着実に築けます。
つみたてNISAは中断しても口座管理手数料はかかりませんが、ドルコスト平均法のメリットをいかせない点に注意です。

『はじめてのNISA&iDeCo』 頼藤太希・高山一恵 著

『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂)

リスクを抑えてコツコツとお金を増やすキーワードは「長期投資」「積立投資」「分散投資」「低コスト」「税金無し」の5つ、それを実現できるのは『NISA』と『iDeCo』。
本書は、これから資産運用を始める人にも理解できるよう、制度のしくみから、自分に合った商品選びまで、オールカラーでやさしく解説。巻頭や各章の冒頭には、導入マンガを掲載。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

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