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25/03/09

資産運用・経済

「iDeCo改悪」後の退職金・iDeCo受け取りで税負担を軽減する方法

「iDeCo改悪」後の退職金・iDeCo受け取りで税負担を軽減する方法

節税しながら老後資金をつくれる自分年金の制度「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」。国も老後の資産形成を後押しするべく、より使いやすい制度にするための取り組みを進めているのですが、制度改正案の中に「iDeCo改悪」となる点があり話題になっています。 今回は、今後行われる予定のiDeCo改悪の内容と、改悪を踏まえた退職金・iDeCoの受け取り戦略をご紹介します。

退職所得控除の「5年ルール」が「10年ルール」に変更

政府が発表した2025年の税制改正大綱には、iDeCoの変更点が3つ示されています。

①iDeCoの掛金上限額の引き上げ
②iDeCoの加入可能年齢の引き上げ
③iDeCoの退職所得控除の「5年ルール」が「10年ルール」に変更

①②はどちらも老後資金を多く用意できることにつながりますので、よい変更だといえます。しかし③は「改悪」です。税金が増える人が出てくるからです。

退職金やiDeCoの資産の受け取り方法には、
①一時金で受け取る
②年金で受け取る
③一時金&年金で受け取る
の3つがあります。
そして、どう受け取るかで退職金にかかる所得税・住民税、社会保険料が変わります。

一時金で受け取る場合、退職金やiDeCoの資産は「退職所得」となります。退職所得は分離課税といって、他の所得とは区別して課税されます。

<一時金の場合の税金・社会保険料>

(株)Money&You作成

年金で受け取る場合、退職金やiDeCoの資産は「雑所得」となります。雑所得は、総合課税といって、他の所得と合わせて課税されます。また、公的年金等と合わせて一定額までは公的年金等控除が受けられます。

<年金の場合の税金・社会保険料>

(株)Money&You作成

税金を減らす効果が大きいのは「退職所得控除」です。退職所得から退職所得控除を引いた結果、ゼロになれば所得税や住民税といった税金はかかりません。また、ゼロにならなかった場合も、さらにその金額を2分の1する「2分の1課税」をして退職所得が決まります。そして、退職所得に所定の税率をかけて税額を算出します。

退職所得控除は、退職金とiDeCoの一時金を合算した金額に適用され、どちらか長い方の勤続年数(加入年数)で計算されます。
先にiDeCoを一時金でもらい、5年空けてから退職金を受け取ることができれば、それぞれの退職所得控除が適用できます。これが「5年ルール」です。

たとえば、60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で会社の退職金を受け取ることができれば、iDeCoでは加入年数に基づいた退職所得控除、退職金には会社の勤続年数に基づいた退職所得控除が利用できるため大きく節税できます。

しかし、税制改正案では、2026年1月1日以降は「5年ルール」が「10年ルール」に変わります。つまり、iDeCoを一時金で受け取り、10年空けてから退職金を受け取らないと、それぞれの退職所得控除が適用できないルールになるわけです。

実際にこれができる人はほぼいないでしょう。こうした節税ができなくなることが、「iDeCo改悪」と呼ばれているのです。

先に退職金を受け取って、後からiDeCoを受け取る場合は「20年ルール」となります。つまり、退職金受け取り、20年空けてからiDeCoを受け取らないと、それぞれの退職所得控除が適用できません。iDeCoの受け取りは現状75歳になるまでに開始するルールですから、「50歳で退職金→70歳でiDeCo」や「55歳で退職金→75歳でiDeCo」であれば可能となります。しかし、現実的ではありません。

受け取り方の違いで税金はどう変わる?

では、受け取り方を工夫して税金を抑える方法はないのでしょうか。具体例で考えてみましょう。

●60歳で退職金とiDeCoを受け取った場合

【例】

・勤続年数30年、iDeCo加入年数15年
・退職金:1800万円、iDeCo:450万円

【納める税金額】

退職所得:(2250万円−1500万円)×1/2=375万円
所得税:375万円×20%−42万7500円=32万2500円
住民税:375万円×10%=37万5000円
納める税金は…69万7500円

60歳で退職金とiDeCoを受け取った場合、退職所得は退職金とiDeCoの合計2250万円から、退職所得控除の1500万円(退職所得控除は長い方(ここでは、勤続年数)が適用されます)を引いた金額の1/2、375万円となります。この375万円をもとに、所得税と住民税が計算されます。

所得税の税率は5%〜45%の7段階あり、退職所得が多くなるとアップします。所得税の金額は、退職所得に所定の税率をかけ、控除額を差し引いて算出します。所得税の税率は、ここでは20%になっています。住民税の税率は所得税率に関わらず一律で10%です。計算の結果、納める税金は69万7500円となりました。

●60歳で退職金、61歳でiDeCoを受け取った場合

【例】

・勤続年数30年、iDeCo加入年数15年→16年
・退職金:1800万円、iDeCo:450万円→1年後470年

【納める税金額】

・退職金の分
退職所得:(1800万円−1500万円)×1/2=150万円
所得税:150万円×5%=7万5000円
住民税:150万円×10%=15万円
・iDeCoの分
退職所得:470万円×1/2=235万円
所得税:235万円×10%−9万7500円=13万7500円
住民税:235万円×23万5000円
納める税金は…59万7500円

60歳で退職金を受け取り、61歳でiDeCoを受け取ることにします。iDeCoは1年間そのまま運用を続けた結果20万円増えていると仮定します。

上述の通り、iDeCoの加入年数に基づく退職所得控除は利用できません。退職金受け取りの際に勤続年数に基づく退職所得控除は使い切っています。
しかし、iDeCo受け取り時に「2分の1課税」は適用できます。また、先ほどの例とは違い、退職金の所得税額が5%に減っています。

計算の結果、納める税金の合計は59万7500円と、10万円減りました。しかも、iDeCoの資産増加分と合わせて、手取りが30万円増える計算です。受け取りを1年ずらすだけでも効果があることがわかります。

なお、iDeCoは厚生年金に加入しながら働けば、現行制度では65歳未満まで積み立てができます。iDeCoを65歳まで積み立てし、65歳で受け取った場合を考えてみます。

●60歳で退職金、65歳でiDeCoを受け取った場合

【例】

・勤続年数30年、iDeCo加入年数20年→25年
・退職金:1800万円、iDeCo:450万円→5年後650万円
60〜65歳のiDeCoの掛金は毎月2万円、所得税率5%。
5年間の所得控除の節税効果は住民税合わせて18万円

【納める税金額】

・退職金の分
所得税+住民税:22万5000円

・iDeCoの分
退職所得:650万円×1/2=325万円
所得税:325万円×10%−9万7500円=22万7500円
住民税:325万円×10%=32万5000円
iDeCoの所得控除の節税効果:18万円
納める税金は…77万7500円−18万円=59万7500円

iDeCoは5年間運用した結果200万円増えていると仮定します。
退職金にかかる税金は先ほどと同じです。iDeCoの資産が増えた結果、納める税金は増えますが、5年間の運用期間で得られる節税効果で相殺できることがわかります。計算の結果、納める税金の合計は59万7500円と、「61歳でiDeCoを受け取った場合」と同じになりました。そのうえ、iDeCoの資産増によって手取りが200万円増えるのですから、この方法がベターであるとわかります。

なお、iDeCoは年金形式でも受け取れますので、その場合も考えてみます。

●60歳で退職金を一時金受け取り、60〜69歳でiDeCoを年金受け取りした場合

【例】

・勤続年数30年、iDeCo加入年数20年
・退職金:1800万円、iDeCo:450万円

【納める税金額】

・退職金の分
所得税+住民税:22万5000円
・iDeCoの分
毎年45万円ずつ年金受け取り
60〜64歳:45万円−60万円となり非課税
65〜69歳:45万円−110万円となり非課税
納める税金は…22万5000円

60歳で退職金を受け取り、60歳〜69歳の間にiDeCoを年金で毎年45万円ずつ受け取ります。公的年金を65歳から受け取る場合は、iDeCoの年金額と合わせた金額に対して公的年金等控除を差し引きます。
仮に、公的年金を70歳まで繰り下げておいた場合は、公的年金等控除をiDeCoの年金にフル活用できます。この例では、毎年の年金額より公的年金等控除の金額のほうが多いので、iDeCoの年金にかかる税金はゼロ。したがって、納める税金の合計は22万5000円になります。

受け取り方の違いによる手取り・税金の違いを見てきましたが、勤続年数、加入年数、掛金、退職金の額、受け取り時の資産額などによって数字は変わってくるので、あくまで参考にしてください。
とはいえ、退職金とiDeCoを同じ年に受け取るよりは、iDeCoを1年以上ずらして受け取るのが手取り面で得になる可能性が高いでしょう。年金の繰り下げ&年金受け取りも検討の余地があります。
iDeCoは、より長く運用することで資産が増えることも忘れずに。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、TBS「情報7daysニュースキャスター」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)など書籍100冊、累計180万部超。日本年金学会会員。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

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