24/11/03
新NISA「つみたて投資枠」お金のプロおすすめ投資信託3本
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投資の利益にかかる税金をゼロにできるお得な新NISA。新NISAのつみたて投資枠では、金融庁の基準を満たした投資信託をコツコツ積立で購入していきます。
ただ、新NISAのつみたて投資枠で購入できる投資信託は301本(2024年11月1日時点)もあります。新NISAを始めようと思ったのはいいものの「どれを選べばいいの?」とお悩みの方も多いでしょう。
今回は、新NISAで投資信託を選ぶ基準を5つご紹介。そのうえで、お金のプロが厳選した3本の投資信託を解説します。
新NISA「つみたて投資枠」商品選び5つの基準
新NISAのつみたて投資枠で購入できる投資信託は、手数料が安く、長期投資で資産形成ができると考えられる商品に絞られています(なお、新NISAの成長投資枠でもつみたて投資枠で購入できる投資信託を購入することはできます)。金融庁の定める基準を満たしているのですから、どれを買っても、大ハズレは少ないのではと思われるかもしれません。しかし、実際は玉石混淆ですので、よく見て選びましょう。
新NISA「つみたて投資枠」商品選びの基準を5つ紹介します。
●新NISAの商品選びの基準1:信託報酬は低いほどいい
投資信託は一般的に、買うときに販売手数料、持っている間に信託報酬、売るときに信託財産留保額という手数料がかかる場合があります。
しかし、新NISAのつみたて投資枠で購入できる商品の場合、販売手数料は無料で、インデックス型投資信託であれば、信託財産留保額はかかりません。
一方、信託報酬は必ずかかります。
例えば、全世界株を対象に投資を行うインデックス型の投資信託「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬は年0.05775%と超低コスト。「オルカン」の愛称で投資家に人気なのは、超低コストだからです。
全世界株に投資するインデックス型の投資信託は他にもありますが、信託報酬はオルカンより高いものがほとんどです。オルカンと同じ運用会社でよく似た名前の「eMAXIS全世界株式」も信託報酬が年0.66%と、ひと桁違います。
投資対象が同じであれば、運用成績に大きな差は生じません。となれば、信託報酬の差が運用成果の差となる、というわけです。
新NISAでの投資期間は数十年、中には40年、50年に及ぶ方もいるかもしれません。投資期間が長ければ長いほど、信託報酬の少しの差が大きな差になっていきます。したがって、できるだけ信託報酬の低い商品、年0.3%未満を選びましょう。
●新NISAの商品選びの基準2:純資産総額は多いほどいい
純資産総額は、投資信託が組み入れている株式や債券などの資産の合計金額(時価総額)です。一般的に、投資をする人(ファンドマネージャー)の考える運用をきちんと実現するには、純資産総額はある程度大きくなければならないといわれています。
また、どの投資信託にも共通しますが、純資産総額があまりにも低いままだと、途中で運用を中止する「繰上償還」が行われてしまう可能性もあります。
インデックス型・バランス型なら純資産総額は大きいほうがいいでしょう。アクティブ型の場合は、純資産総額は大きければ良いわけではなく、適切なサイズであるかがポイントです。例えば中小型の株式が投資対象であるアクティブ型ならば、純資産総額は200億円〜500億円が適正サイズと言えます。
●新NISAの商品選びの基準3:運用成績は右肩上がりだといい
株式の「株価」のように、投資信託の値段を表すのが基準価額です。これが純資産総額とともに、右肩上がりになっている投資信託をチェックしましょう。
運用成績が伸びれば純粋に利益も増えますし、資産の流入が多くなって投資信託の規模が大きくなれば投資信託はさらに運用をしやすくなって利益を出しやすくなる…という好循環が生まれます。
投資信託は性質上、短期で運用益を目指すものではありませんので、運用成績は最低でも3年、できれば5年、10年と中長期で堅調な成績を出している投資信託を選びましょう。
●新NISAの商品選びの基準4:投資先の銘柄数は多い方が分散投資効果は高い
市場全体をカバーできるものの方が分散投資効果は高められます。
たとえばNYダウとS&P500ならば、S&P500です。なぜなら、NYダウは米国を代表する30銘柄の値動きをもとに算出していますが、S&P500はニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック(NASDAQ)に上場する銘柄のうち、時価総額の大きい500社を選んで算出しているからです。米国株式市場カバー率はNYダウが約25%、S&P500は約80%です。市場全体に投資するもののほうが市場の姿を反映するので、分散効果はより高まります。
●新NISAの商品選びの基準5:トラッキングエラーは値が小さいほどいい
トラッキングエラーは、ベンチマークと投資信託の値動きの差を数値で表したもの。この数字が小さいほど、ベンチマークとする指標と連動している、ということを表します。インデックス型の投資信託はそもそもベンチマークとの連動が目標なので、小さいほどいいということになります。
これら5つの基準を確認したら、自分のリスク許容度(自分が損にどのくらい耐えられるかの度合い)を確認しましょう。積極的にリスクが取れるならば世界中の株式に投資するインデックス投資信託、そこそこのリスク許容度であれば8資産のバランス型、リスク許容度が低いなら4資産のバランス型という具合に選ぶとよいでしょう。
新NISA「つみたて投資枠」お金のプロおすすめ投資信託3本
以上を踏まえて、新NISAで買うべきおすすめ投資信託を投資先・運用先別にピックアップしてみました。なお、以下金額・手数料率などはすべて2024年11月1日時点のものです。
【積極的にリスクをとりたい人向け】
●eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
純資産総額:4兆4546億円
基準価額:25,962円
信託報酬(税込):年0.05775%
5年トータルリターン(年率):18.28%
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスという、日本を含む世界の先進国23カ国・新興国24カ国、約3000もの株式で構成された指標との連動を目指します。1本買うだけで、世界の株式市場の85%をカバー可能。年0.05775%というとても安い信託報酬で、世界中の株式に分散投資できます。
さらに、「eMAXIS Slim」シリーズには純資産総額が増えるごとに実質的な信託報酬率が下がる「受益者還元型信託報酬」という仕組みがあるため、今後も投資家・資産が増えるほど手数料が下がる期待ができます。
【やや強気にリスクをとりたい人向け】
●eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
純資産総額:3082億円
基準価額:16,817円
信託報酬(税込):年0.143%
5年トータルリターン(年率):7.91%
国内・先進国・新興国の株式と債券、国内外の不動産(リート)に均等に投資する「バランス型」と呼ばれる投資信託。1本で8つの資産にまとめて投資できる手軽さ、わかりやすさからか、資産も堅調に増加しています。債券にも投資を行うため、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」よりリスクは控えめです。
【リスクを抑えて堅実に増やしたい人向け】
●ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)
純資産総額:656億円
基準価額:18,195円
信託報酬(税込):年0.154%
5年トータルリターン(年率):8.99%
国内外の株式と債券に均等に投資する投資信託。株式と債券の比率が50%ずつで、国内と海外の比率も50%となるため、先に紹介した「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」よりリスクを抑えた投資信託といえます。取り扱う金融機関も多く、どこでも買いやすいのがメリットです。
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楽天証券を使っているなら「楽天オルカン」もオススメ
「新NISAオススメ投資信託1」で紹介した「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)と同様、日本を含む全世界の株式市場の動きに連動する投資成果を目指して運用されるインデックス型投資信託に、「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」(以下「楽天オルカン」)があります。
●楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド
純資産総額:2325億円
基準価額:13,399円
信託報酬(税込):年0.0561%
楽天オルカンは2023年10月から運用が始まった投資信託です。オルカンと同じ指標への連動を目指し、オルカンより安い信託報酬となっています。
また、楽天オルカンは楽天証券の「投信残高ポイントプログラム」の対象。投信残高ポイントプログラムは、対象の投資信託を保有することで、残高に応じて楽天ポイントがもらえるサービスです。楽天オルカンを保有していると、年0.017%の楽天ポイントがもらえます。
楽天オルカンは、本稿執筆時点では楽天証券でのみ購入が可能です。楽天証券に新NISAの口座を開設した方で、普段から楽天証券や楽天経済圏を活用している人・これから全世界株へ投資したいと考えている人は、オルカンの代わりに楽天オルカンに投資するのがよいでしょう。
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新NISA「つみたて投資枠」でコツコツ資産を増やすのが王道
値上がりすることも値下がりすることもある投資信託のもっとも賢い買い方は、長期・積立・分散という基本を踏まえてコツコツ買うことです。
新NISAのつみたて投資枠で投資をするだけでその基本が実践できて、しかも運用益非課税の恩恵まで受けられます。
今回紹介した商品選びのポイント・おすすめ商品をぜひ参考にしていただき、資産形成に取り組んでいただければ幸いです。
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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