23/11/21
「昭和生まれの親」のお金の常識にとらわれる人の残念な末路
この2~3年で生活様式も変わり、物価も値下がりから値上がりへと転じています。環境や暮らしぶりが変われば、今の時代にあった常識にリセットすべきです。しかし、私たちの意識を変えるには時間がかかります。特にお金の常識は、育った環境に左右されることが多く、親の価値観を引きずっていることに気づかない人もいます。
今回は、「昭和の常識は、現在の非常識」になってしまったお金の常識について見ていくことにします。
昭和の常識1:子どもの学費のために学資保険に入る
かつて学資保険は、教育費を準備する王道ともいわれていました。特に予定利率の高かった時期には貯蓄性が高く、保険料以上の満期返戻金を受け取ることができました。しかし現在では、標準利率(銀行が日銀にお金を預けることで得られる利息)が0.25%と低く、保険会社の予定利率も低いため、保険料の払い込み金額が満期返戻金を下回るケースが多くなっています。支払い期間を短くする、特約をつけないなどの方法で返戻金を増やすことはできますが、貯蓄性を活かすなら別の商品を検討した方がいいでしょう。
たとえば、税制で優遇された制度を使い学資を増やしてはいかがでしょうか。現行のつみたてNISAでは、金融庁が長期投資に向いた商品を選び、売買手数料がかからず年間40万円、最長20年間運用できます。さらに2024年からは新NISA制度が始まり、1800万円までの投資で得られた利益は無期限で非課税になるしくみに変わります。コツコツ積立しながら運用していくことで、手間をかけず資産を増やすことができるのです。新しい制度も視野に入れ、選択肢を増やしておきましょう。
昭和の常識2:住宅ローンは繰り上げ返済をする
住宅購入といえば、一生に一度の大イベントで、大きな金額が必要です。住宅ローンは、早く返済すれば総返済額が減るため、借入金利が高い場合には繰り上げ返済をするのが有効です。しかし、繰り上げで返済額を減らすことが必ずしも有利になるとは限りません。
住宅ローンを繰り下げ返済することで手持ち資金がごっそり減ってしまうと、急な支出に対応できません。無理して返済しなくても、借入金利が超低金利のものならこのまま借りても利息の負担は大きくありません。返済しようと思う金額を運用して増やすこともできます。また、借りている金利が高い場合には、金利の低いローンへの借り換えをするのもおすすめです。
昭和の常識3:投資は博打だからしない
投資は、値動きがあって値段が下がることが心配だと思う方もいらっしゃいます。過去に大損を経験した親は、「投資をするな、博打だ」というかもしれません。預金金利が高いときならば、あえて冒険はせず、預金で資産を増やすことは賢明でしょう。しかし、超低金利が続く中にあっては、預金で資産を増やしていくことは難しくなっています。貯蓄から運用する時代に変わってきているのです。投資は博打だ、難しいといって避けていては、お金はいつまでも増やせません。
投資といっても、コツコツ少しずつの長期投資なら、時間や金額を分散できるので、リスクが低く抑えられます。時代背景が変わってきたので、「資産形成の一つとして投資がある」と、お金の常識を広げてみましょう。税制優遇のある商品や制度を利用することを検討してはいかがでしょうか。
昭和の常識4:支払いは現金のみ、キャッシュレス決済は使わない
お金の上手な使い方にはそれなりの訓練が必要です。クレジットカードは後払いの借金なので、管理がきちんとできないと使い過ぎてしまい、支払いに困るという場合もあります。ですから借金はダメだと考え、支払いは現金のみに固執する人がいます。
しかし、現在では支払い方もクレジットカードをはじめいろいろな方法があり、ポイントを貯めることで現金と同じように商品やサービスを購入することができるようになりました。家計の固定費をキャッシュレス決済に変えるだけでもかなりのポイントが貯まります。クレジットカードでは使い過ぎてしまう心配がある人は、銀行残高から即時決済するデビットカードを利用する方法もあります。
クレジットカード以外にもQRコード決済、○○PAYなどのキャッシュレス決済など、スマホ一つで支払いができるものが増えてきました。交通機関では、ICカードに現金チャージせずにクレジットカードのタッチ決済で乗車できる区間もあります。その他、買い物の支払いをポイントで支払ったり、貯まったポイントを移行して利用したりもできます。現金払いでは得られない特典が、キャッシュレス決済を使うことで得られて、節約できるのです。
また、金融機関ではATMの引出し手数料の特典を縮小するところも増え、使いにくくなっています。キャッシュレス決済を上手に利用すれば、引出し手数料と時間の節約にもつながります。
昭和の常識5:買い物はたくさんの店をはしごする
「広告の品」を目当てに、何軒もの店をはしごして買い物をすることが節約の正解だと思っている人がいます。特に物価高なので、1円でも安く買いたい気持ちはよくわかります。確かにお目当ての商品の金額は安く購入できるでしょうが、ついでに買った商品はないでしょうか。買った商品や費やした時間をトータルにとらえて、本当にお得だったかを振り返ってみることが大切です。
たとえば、必要なかったのに思わず買ったもの、安いからと気が大きくなり、まとめ買いをしたものはないでしょうか。また、金額面で数十円のお得のためにガソリン代と時間をかけて購入したということはないでしょうか。戦利品をゲットできたと悦に浸って、購入代金全体が増えてはいないでしょうか。特売品を目当てに買い物に行くときは、いつも以上に気を引き締めておかないと家計の節約にはつながりません。
昭和の常識6:中古品を買うのは恥ずかしい
持続可能な開発のためにSDGsが国連総会で採択されたのは2015年。すっかりサスティナブルという言葉も定着しています。経済発展の側面が重視されていた頃は、壊れていなくても新しいものを追い求める風潮がありました。
しかし、不況だけではなく環境への配慮も手伝って、中古品を売り買いできる場所やプラットホームが増えてきました。売る本人は要らない物でも、必要とする人がどこかにいます。売られている商品は新品同様もものもあり、気にならなければ中古を買うという選択肢を選ぶことができるのです。何が何でも新品、家なら新築という固定概念をはずすと、思わぬ節約ができるでしょう。
昭和の常識7:お金の話をするのはみっともない
右肩上がりの経済成長や終身雇用制度が崩れた今日では、年金すら国に頼ることができなくなっています。しかし、日本では今なお、お金の話をすることがタブー視される風潮があります。親はお金のことで子どもを困らせたくない、迷惑をかけたくないと思っているにも関わらず、です。
親も子どもも金融リテラシーを高めることが必須の時代です。お金の話は、上手にお金を道具として使っていくための教育の一環だと考えたほうがよい時代だと認識を改めるべきです。
令和のお金の常識に修正しよう
時代背景が変われば、生活様式や行動パターンも変わっていくのが自然な流れです。時代の移り変わりが早い今日では、「過去の常識は、今日の非常識」になっているものが多くなっています。もし昭和生まれの親が「親の常識」を押し付けてくるようであれば、アドバイスとして聞き流して、自分の納得がいくやり方に変えていくことが必要でしょう。節約や家計の見直しが叫ばれていますが、親のアドバイスがお金の貯まらない原因になっていたら、軌道修正する必要があるでしょう。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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