23/06/03
「お金持ち夫婦」と「貧乏夫婦」を分ける、決定的な5つの違い
世帯年収が伸び悩む中、なかなか貯蓄ができず、余裕のない生活を送っている「貧乏夫婦」が増える一方で、順調に貯蓄も資産も増やし、充実した生活を送っている「お金持ち夫婦」もいます。お金持ち夫婦と貧乏夫婦の決定的な違いはどこにあるのでしょうか。
今回は、お金持ち夫婦と貧乏夫婦の決定的な5つの違いについてご紹介します。
【大前提】夫婦で前向きにお金のことを話し合えるかが大切
お金持ち夫婦は、お金のことを前向きに話し合うことができます。
他でもない自分たち夫婦のお金のことですから、きちんと話した方がいいことは、誰でもわかるでしょう。しかし、いざお金のことを話し合おうとすると「ケンカになる」「不機嫌になる」「夫婦仲が悪くなる」といった話をよく耳にします。実際、お金のことをオープンに話し合えているのは、ほんの一握りの夫婦だけではないでしょうか。
しかし、なんとなく話し合わないでいても、状況は好転しません。将来に必要なお金を用意できなかったり、やりたいことができなくなったりして「こんなはずではなかった」となってしまうかもしれません。ですから、夫婦で前向きにお金のことを話し合える関係を築くことが大切なのです。
夫婦でお金のことを話し合うときには、次の「7つの秘訣」を押さえておくことが大切です。
●夫婦円満に話し合うための7つの秘訣
①相手のことを大切に扱い、誠実に接する
②相手の話をしっかり聞く
③自分の本当の気持ちを相手に伝える
④二人の100%の合意で決める
⑤夫婦は運命共同体であると認識する
⑥データ、数字、事実を出発点として話し合う
⑦第三者であるお金の専門家に夫婦で相談する
①〜③はいずれも、お金の話に限らず大切なことです。せっかくご縁があって夫婦になったのですから、相手のことを尊重し、誠実に接したいものです。とはいえ、他人の2人が結婚したわけですから、価値観が違うのも当然です。自分だけ、相手だけが満足するようなやり方では長続きはしません。まずは、お互いに大切にしている価値観をしっかりと話し、お互いが妥協できる点をすり合わせしていくことが大切です。④も同様で、何か問題があったら二人が納得するまで話し合い、100%の合意で決めるようにして、2人が納得する形で前に進めるようにしましょう。
夫婦は生活を共にする運命共同体だと考えると、お金が夫婦のどちらから入ってきても、そのお金は夫婦のものだととらえることが大切。また、お金の話をするときは、データ・数字・事実をもとに行います。⑤⑥の前提をもって話をすると、感情論にならずに、冷静に話ができます。
さらに、①から⑥までをすべて自分たちでだけでできればいいのですが、実際には難しい場合もあるでしょう。その場合は、⑦のようにお金の専門家に夫婦で相談し、客観的なアドバイスをもらうという視点も必要です。
お金持ち夫婦は、意識する・しないに関わらず、この7つの秘訣の多くを実践しています。普段から夫婦でお金のことを前向きに何度も話すことで、お金の情報が共有され、お金持ち夫婦になっていくのです。
それに対して貧乏夫婦は、そもそもお金の話をしようという発想がない場合も。お金の話をするとしても、夫婦のどちらかが一方的に話を進めてしまったり、ケンカになってしまったりして、かえって険悪になってしまうこともあります。
そもそもお金と人生は切っても切り離せません。夫婦で幸せにお金持ちになるためには、
まず夫婦でお金の話ができる関係を作るところから取り組みましょう。
お金持ち夫婦と貧乏夫婦の決定的な違い1:夫婦仲が良く、ライフプランのイメージを共有しているかどうか
お金持ち夫婦は、みな夫婦仲が良いものです。夫婦仲が良い夫婦は会話も多いので、将来のビジョンについて共有しています。夫婦それぞれが目先のことから中長期にわたって実現したい目標を考え、共有するのです。
夫婦で共有しておきたいライフプランには、
①各自・夫婦で叶えたい夢や希望
②キャリアプラン(働くことに対する価値観)をどうするか
③住まいをどうするか
④子どもへの教育をどうするか
といったことがあります。
これらをどうするか考えることで、お金をどうやって貯めるかを考えることができます。
お金を貯めるためには、強い目的意識が必要です。お金持ち夫婦は、「いつまでに」「何のために」お金を貯めるのかが明確だからこそ、お金を貯めることができるのです。夫婦で目的が明確になっていると、挫折しそうになった時にも励まし合うことができで、お金が貯まりやすくなります。
一方、貧乏夫婦は、そもそも将来のビジョンを夫婦で共有していないため、「今」を楽しむことにお金を使ってしまう傾向にあります。もちろん、今を楽しむために、外食をしたり、買い物をしたり、旅行に行ったりすることも大切ですが、それでは、自転車操業になってしまい、いつまでたってもお金が貯まりません。
また、貧乏夫婦は夫婦でお金を貯める意識が共有されていないので、夫婦のどちらかが頑張って貯蓄しようとしていても、どちらかがお金を使い放題使っているという状況になっていて、トータルではなかなかお金が貯まらないというケースも少なくありません。
お金持ち夫婦と貧乏夫婦の決定的な違い2:夫婦共通の口座で家計管理をしているかどうか
お金持ち夫婦は家計管理についても夫婦で話し合いながら管理しています。
お金持ち夫婦の家計管理の方法は、夫婦の収入を全額共通のお財布に入れ、そこから固定費や生活費を支払う「共通財布型」にしています。お金持ち夫婦は、貯蓄やお小遣いもすべて共通財布から割り振ります。毎月のお金の流れも貯蓄も「見える化」されているので無駄なくお金がたまりやすい傾向にあります。また、家計が一元化されているので家計管理も簡単です。
貯蓄の状況を定期的に確認することを前提に自由度を増やすために、固定費や生活費だけを共通財布にいれてお小遣いと貯蓄は各自で管理するという方法をとっているお金持ち夫婦も。自由度を増やせる方がお互いの記念日にプレゼントを買ったり、食事に行ったりと、ちょっとしたゆとりがでて夫婦円満にはよいかもしれませんね。
お金持ち夫婦は、家計の状況も定期的に確認しています。月に1回程度確認するという夫婦が多いですが、強者になると、週に1回確認するという夫婦もいます。
一方で、貧乏夫婦は、夫婦それぞれの財布で家計を管理する「それぞれの財布型」という方法で家計管理をしているケースが多いです。夫婦共通のお財布はつくらずに、住宅ローンと食費は夫、通信費と水道光熱費は妻といった具合に予め分担する項目を決め各自が負担する方法です。貯蓄も各自で行います。
それぞれの財布型は、お互いに自由になるお金が多く、お小遣いという面からは不満がたまりにくいですが、一方で相手の支出について無関心になりがちになり、一緒に家計を管理するという意識が希薄になります。そのため、貧乏夫婦は実は収入が多い割に無駄な出費が多く、貯蓄も思うようにできないようです。
それぞれの財布型で成功している夫婦は、夫、妻ともに家計管理が得意なタイプが多いです。夫婦で家計管理が得意という場合以外は、夫婦で家計を見える化できる仕組みを作らないとなかなかお金は貯まりません。
また、お金を貯めるときには、給料が入ったら先に貯蓄分を取り分ける「先取り貯蓄」を実践しましょう。こうすることで、たとえ残りのお金をすべて使ったとしても、先取り貯蓄分は確保できます。貧乏夫婦は、お金を使った残りを貯める「後から貯蓄」をするので、お金が貯められないのです。「先取り貯蓄で貯蓄する金額を決めて残ったお金を自由に使う」というルールに変えることで、ストレスも少なく、確実にお金は貯まっていきます。
お金持ち夫婦と貧乏夫婦の決定的な違い3:夫婦で資産全体のポートフォリオを考えているかどうか
お金持ち夫婦は、資産の管理についても夫婦で一緒に取り組んでいます。
お金持ち夫婦は、将来のビジョンを共有しているので、家を買うための資金は夫、老後のための資金は妻という具合に、役割分担で目標別に資産運用をすることができます。たとえば夫は株式やFXなどで攻めの運用、妻はつみたてNISA(積立NISA)やiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)などで着実な運用をするという具合に、家計の資産全体のポートフォリオを考え、攻めと守りに分けて運用ができます。
お金持ち夫婦の場合、夫婦でつみたてNISAをやっているという場合にも、夫はアクティブ投信、妻はインデックス投信という具合に分けて、投資をしているケースが少なくありません。お金持ち夫婦は、リスクを分散して運用することで、リーマンショックやコロナ危機のように、世界経済を揺るがすような危機が訪れた時でも、資産が大きく減ることを防ぐことができるわけです。
また、お金持ち夫婦は、運用がうまくいっている時もうまくいっていない時も、その後の運用方針について、夫婦で判断しています。例えば、お金持ち夫婦は老後資金のために資産運用をしているということが夫婦で共通で理解できているので、目先の値動きに一喜一憂することなく、運用を継続させる判断が可能。その結果、大きな資産を築くことができるのです。
一方、貧乏夫婦は、貯蓄ができていない状態ですから、そもそも資産運用へとステップを進めることができません。仮に資産運用をする機会があったとしても、貧乏夫婦ほど損をしがちです。というのも、貧乏夫婦は将来のビジョンも明確ではない上に、貯蓄がないので、精神的にも経済的にも余裕がなく、短期的な市場の動きに一喜一憂して、判断を誤ってしまうからです。また、貧乏夫婦は短期間で大きく儲かるなどの儲け話にのってしまい、なけなしの貯蓄を投資してしまうということも。その結果、お金を失い、お金が貯まらないという負のループに入ってしまうわけです。
お金持ち夫婦と貧乏夫婦の決定的な違い4:お金の情報に関するアンテナの感度が高く、行動に移すかどうか
お金持ち夫婦は、お金の情報に関するアンテナの感度も高い傾向にあります。
お金持ち夫婦は、お金に関する書籍を読んだり、YouTubeを見たり、セミナーなどに夫婦で参加したりして、家計管理や資産運用、節税などについて勉強しています。また、キャッシュレス決済やスマホ投資など、最近のお金のトレンドについてもお金持ち夫婦はしっかりキャッチ!2024年に始まる新NISAへの関心も高く、よく質問をしてくる方や、すでにどのように投資するかを考えている方もたくさんいます。
さらに、お金持ち夫婦がすごいところは、情報の収集のみにとどまらず、夫婦ですぐに行動するところです。お金持ち夫婦は、勉強しただけ、知識を得ただけで終わらず、自分たちにとってメリットがありそうなことを吟味し、行動を起こします。夫婦で家計や資産状況についての情報を共有しているからこそなせる技ですね。
これまで私のところには多くのご夫婦がご相談にいらっしゃいましたが、お金持ち夫婦のほとんどは、私からのアドバイスをその日中、もしくは翌日には実行しています。お金持ち夫婦の行動の早さには毎回びっくりしてしまいます。
一方、貧乏夫婦は、お金について無頓着な傾向があります。特に夫婦共にお金に無頓着な場合、そもそもお得な情報を知る機会がないので、損をしているケースが少なくありません。貧乏夫婦であっても、お金に関する情報のアンテナを高くしていれば、今の時代、携帯電話の料金を安くしたり、ATMなどでお金を引き出すときに無駄な手数料の支払いを防いだりすることは容易にできます。
また、貧乏夫婦は投資についても積極的に情報収集をしていないので、つみたてNISAやiDeCoといった税制優遇の恩恵を受けながら投資できる制度の存在を知らず、いつまでもお金を安定的に増やせないという結果に。つまり、情報収集力と行動力の差が貯蓄や資産の差につながっていくのです。
お金持ち夫婦と貧乏夫婦の決定的な違い5:夫婦で幸せになるお金の使い方の軸が明確かどうか
たとえ、お金がたくさんあっても幸せでなければ、人生はつまらないものになってしまいます。お金が貯まることに加えて、幸せな夫婦を目指したいものです。
お金持ちで幸せな夫婦に共通しているのは、自分たちが幸せな気持ちになることや必要だと思うことには惜しまずお金を使っていることです。
お金持ち夫婦は、自分のパートナーや家族、親しい友人、仕事仲間など、自分たちが大切だと思う人には、定期的にプレゼントを贈ったり、食事に招待したりと惜しまずにお金を使います。大切な人たちが嬉しそうにしているのを見ることで、自分たちも幸せな気持ちになり幸福度が増します。
またお金持ち夫婦は、たとえば保険についても自分達が必要だと思えば保障の金額を増やすなど、自分達や家族が安心して幸せに暮らせるためのお金の使い方の軸が明確になっています。
そして、お金持ち夫婦は自分達のお金の使い方の軸に合ったものにお金をしっかり使えるよう、無駄使いを極力減らすなど、支出にメリハリをつけているのです。それだけ、日頃から支出に意識を向けているということです。
一方、貧乏夫婦は、お金の使い方の軸が明確になっていないため、なんとなくお金を使っていることが多いようです。その結果、無駄遣いしていることも多く、お金を使っても満足度が低いことも少なくありません。
お金を何に使うか、何に使うと幸せなのかを考えることが幸せなお金持ち夫婦への道につながっていきます。
まとめ
以上、今回は、お金持ち夫婦と貧乏夫婦の決定的な違い5つについてお話しました。貧乏夫婦かもと思った方は、ぜひ、お金持ち夫婦の真似をしてみてくださいね。行動を変えれば、貧乏夫婦からお金持ち夫婦へと変わることができます。
お金持ち夫婦は夫婦仲が良く、将来のビジョンを共有し、家計管理、資産管理、情報収集も夫婦で取り組んでいます。また、幸せになるためのお金の使い方も考えています。今回ご紹介したお金持ち夫婦の習慣を真似することができれば、貧乏夫婦から貯まる夫婦へと変わることができるでしょう。
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高山 一恵 ファイナンシャルプランナー
(株)Money&You取締役。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』『Mocha(モカ)』や登録者1万9000人超のYouTubeチャンネル『Money&YouTV』を運営すると同時に、全国で講演活動、執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『マンガと図解 定年前後のお金の教科書』(宝島社)、『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)など書籍100冊、累計170万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue
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