25/02/05
子育て世帯が届出すればもらえる、「子供の年齢別」給付金
少子高齢化が加速する中、少子化を食い止めるべく、国や自治体の子育て世帯向けの経済的支援が拡大しています。そこで、今回は、子供の年齢別に子育て世帯が受けられる経済的支援制度についてご紹介します。
出産時(0歳)に受けられる経済的支援制度
出産には、お金がかかりそうですが、実は「出産育児一金」があることによって、自己負担は少なくて済みます。
●出産育児一時金
【制度概要】
出産育児一時金は健康保険や国民健康保険に加入していて、妊娠4ヶ月(85日)以上で
出産する人が受け取れるお金です。妻自身が健康保険に加入している場合には妻自身の健康保険から支給され、妻が夫の扶養に入っている場合は、夫の加入する健康保険から支給されます。
支給金額は基本的に「50万円(利用している医療機関が産科医療補償制度を導入していない場合は48万8,000円)」です。出産費用が50万円以上になった場合は、差額を負担する必要があります。反対に50万円未満だった場合、差額分はもらうことができます。
【得するお金はどれくらい?】
例えば、産科医療補償制度に加入している医療機関で子供1人出産して分娩費用が45万円だった場合、50万円支給され、差額の5万円はもらえます。
●無痛分娩の費用助成
こちらは、東京都独自の制度ですが、2025年10月から都内の病院・診療所で無痛分娩を希望する都内在住の妊婦に対して、最大10万円を助成する予定です。
東京都の調査によると、都内の分娩費用は、平均で65万円となっており、出産時に支給される出産育児一時金の50万円を受けとったとしても自己負担が15万円も発生することに加えて、無痛分娩はさらに平均12万4000円の費用がかかるとのこと。
無痛分娩は、出産の痛みを和らげ、疲労やストレスの軽減につながるため、東京都の調査によると、都内の産婦の6割を超える方が無痛分娩を希望しているとのこと。無痛分娩の費用が助成されれば、出産の痛みに対する不安が軽減され、安心して出産できる方が増えるでしょう。
0歳から18歳まで子供を養育する世帯が受けられる経済的支援制度
出産後からミルク代やオムツ代など、何かとお金がかかりますが、子供が0歳から18歳になるまで「児童手当」を受け取ることができます。
●児童手当
【制度概要】
児童手当は、2024年10月から拡充され、高校生年代(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)までの子供がいる世帯に対して支給されます。
支給される金額は、子供の年齢や人数によって異なりますが、3歳未満は月額1万5,000円、3歳~高校生年代は月額1万円、第3子以降の子供には3万円が支給されます。第3子以降にカウントされる対象の年齢がこれまでは18歳年度末でしたが、22歳年度末までに延長されています。
また、これまでの児童手当では、所得制限限度額以上の所得がある世帯には「一律5,000円/月」しか支給されず、所得上限限度額以上になると支給が止められていましたが、2024年10月から所得制限が撤廃されました。
支給方法も変更になり、2月・4月・6月・8月・10月・12月に、それぞれの前月分までの2ヶ月分が支給されます。
<児童手当の金額>
(株)Money&You作成
【得するお金はどれくらい?】
例えば、中学生の子ども1人と高校生の子どもが2人いる世帯の場合、
・高校生の子どもの支給額:月額1万円×2人=2万円
・中学生の子どもの支給額:第3子に当たるので月額3万円
・合計:月額5万円
1度に2ヶ月分が振り込まれるので、支給日に10万円が振り込まれます。
高校生、大学生等を養育する世帯が受けられる経済的支援制度
子供が高校生、大学生になると、本格的に教育費がかかりますが、一定の要件を満たした高校生、大学生等を養育している世帯は、「高等学校等就学支援金制度」「第3子大学無償化」といった経済的支援を受けることができます。
●高等学校等就学支援金制度
【制度概要】
高等学校等就学支援金制度は国公立私立を問わず、日本国内に住所を有する高等学校等に通う生徒を養育する、一定要件を満たす世帯に対して、国が支援金を支給する制度です。支給要件の中には「保護者の所得要件」があり、一定以上の所得がある場合には、就学支援金の受給対象から外れ、授業料は家庭の全額負担になります。
支給金額は、国公立高校は年11万8,800円(世帯の年収の目安:910万円まで)、私立高校は年39万6,000円(世帯の年収の目安:590万円まで)または年11万8,800円(世帯の年収の目安:910万円まで)です。
東京都の場合は都内在住であれば所得制限なく国公立、私立高校の授業料が無料になります。東京都では、私立高校の授業料を国の就学支援金と合わせて最大年額48万4,000円まで助成します。
<高等学校等就学支援金の支給額のイメージ>
出典:文部科学省リーフレットより
【得するお金はどれくらい?
例えば、両親のうち一方が働いていて、私立高校に通う高校生の子ども1人、世帯年収590万円未満の場合
・高等学校等就学支援金の対象となり、年間の支援金:39万6,000円
・高校3年間でもらえる支援金:118万8,000円となります。
●第3子大学無償化
【制度概要】
2025 年4 月から始まる予定の大学無償化制度は、3 人以上の子供を扶養する「多子世帯」を対象として、所得制限を設けずに、大学、短大、専門学校等の授業料や入学金を無償にする制度です。制度を利用する上で注意したいのは「3 人以上が同時に扶養されている必要がある」「対象校以外への進学では制度は利用できない」「支給額には上限がある」点です。
3人以上が同時に扶養されているという点ですが、例えば、子供が3 人いて、第1子が大学に進学した場合、第1子は支給対象です。また、第1子に加えて第2 子も大学に進学した場合、第2子も支給対象になります。
ただし、第1子が大学を卒業して扶養から外れた場合、扶養される子どもが3人という利用条件を満たさなくなります。支給対象であった第2子だけでなく、第3子も支給対象外となります。また、対象校以外への進学では制度を利用できません。文部科学省のHPで確認しましょう。さらに、支給金額には上限があるので、無償化という言葉がついているものの、完全無償化というわけではありません。
<授業料の減免の上限額(昼間制)>
出典:文部科学省ホームページより
【得するお金はどれくらい?】
例えば、私立大学(昼間制)に4年間通った場合
・入学金:約26万円支給
・授業料:年額約70万円支給
・大学4年間の支援金:約306万円
となります。
※進学先の入学金や授業料が支給上限金額を上回っている場合、差額を支払う必要があります。
以上、子供の年齢別に子育て世帯向けの主な経済的支援制度について見てきました。今回ご紹介したもの以外にも、支援制度はたくさんあります。今後も子育て世帯の経済的支援は拡充していくと予想されるので、こまめに情報を収集し、該当する場合には、ぜひ申請しましょう。
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高山 一恵 ファイナンシャルプランナー
(株)Money&You取締役。中央大学商学部客員講師。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学文学部卒業。NHK「日曜討論」「クローズアップ現代」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「マンガと図解 はじめての資産運用」(宝島社)など書籍100冊、累計180万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。住宅ローンアドバイザー。X(旧Twitter)→@takayamakazue
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