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24/03/23

資産運用・経済

新NISAで投資できる「日本高配当株ファンド」を徹底比較

新NISAで投資できる「日本高配当株ファンド」を徹底比較

新NISAは配当金、分配金、売却益(譲渡益)といった運用益にかかる税金が一生涯ゼロになる制度。一生涯非課税で運用できることで、脚光を浴びているのが配当利回りの高い「高配当株」です。
今回は、そんな高配当株に手軽に分散投資ができる「日本高配当株ファンド」を徹底比較しました。

 

そもそも高配当株って何?

高配当株とは、配当利回りの高い株のことです。配当利回りは、株価に対して年間でどのくらい配当金を受け取れるかを示す指標。「年間予想配当金÷株価×100」という式で算出できます。

たとえば、高配当株で有名な日本たばこ産業(2914)の場合、194円(2024年12月予想)÷3950円(2024年3月19日終値)×100=4.91%、というわけです。

 

配当利回りは3%を超えると高配当といわれます。日本株の配当利回りの平均は、次の表のとおりです。

 

<日本株の配当利回り>

(株)Money&You作成

予想配当利回りは日経平均の平均で1.7%、プライム・スタンダードの全銘柄平均でも2%ほど。小型株が上場しているグロース市場はもともと配当利回りが低くて0.5%ほどですから、3%を超えれば高配当といわれるのも納得の水準でしょう。

日本の高配当株上位10銘柄はどれ?

日本株にも、高配当株はあります。日本株の高配当株上位10銘柄は次のとおりです。

<日本株の高配当株上位10銘柄>

(株)Money&You作成

日本株の高配当株のトップは極東証券の6.41%でした。参考までに事業内容も入れてありますが、証券、メディア、建設・不動産などが多い印象です。

また、高配当株に加えて確認しておきたいのが、配当金の金額を増やしてくれる「増配株」。とくに、長年にわたって毎年配当金の金額を増やしている銘柄を連続増配株といいます。連続増配株の上位7銘柄は次のとおりです。

<日本株の連続増配株上位7銘柄>

(株)Money&You作成

連続増配株のトップとして有名なのが花王(4452)で34年。2位以下は20年台です。ITバブル崩壊、リーマンショック、コロナショックなどを乗り越えて増配を続けているのですから、すごいことではあります。
もっとも、連続増配株だからといって配当利回りが高いかというと、そうでもありません。表内で高配当株と呼べるのは3位の三菱HCキャピタル(8593)のみです。
ただ、連続増配株は増配で配当が増えるだけでなく、株価もさらなる上昇が見込めます。そして、総じて高配当株よりも連続増配株のほうが株価上昇も含めたトータルリターンは高い傾向にあり、市場全体の暴落にも強い特徴があります。

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配当利回りの高さだけで飛びつくのは危険!

高配当株や連続増配株に投資するときには、配当利回りが気になるでしょう。しかし、高配当株や連続増配株に配当利回りの高さだけで飛びつくのはNGです。
配当利回りの計算式は「年間予想配当金÷株価×100」でした。計算式の中に株価が入っていますね。つまり、配当利回りが高い銘柄の中には、株価が下がって配当利回りが高くなっている、不人気な銘柄や業績の悪化した銘柄が入っている可能性があるのです。配当利回りだけ見て高配当株に飛びつくと、資産を減らしてしまいかねません。

ですから、高配当株や連続増配株の個別株に投資する場合には、業績は好調なのか、財務は健全なのかを必ず確認しましょう。また、1銘柄や2銘柄に集中投資すると、その銘柄が値下がりしたときのリスクが大きくなってしまいます。リスクを下げるには、10銘柄から20銘柄に分散して投資することが大切です。

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新NISA対象の高配当株ファンド6本を比較

業績のよい高配当株を10銘柄から20銘柄選んで投資する、とひとことでいえば簡単そうですが、実際選ぶのは大変ですよね。そこで利用したいのが高配当株にまとめて投資している高配当株ファンド。1本買うだけで手軽に分散投資ができて便利です。ここでは、そのなかから6本を比較して紹介します。

<新NISA対象 高配当株ファンド比較(その1)>

(株)Money&You作成

●①日経平均高配当利回り株ファンド

日経平均株価の構成銘柄から予想配当利回りの上位 30社に投資する高配当株ファンドです。今回紹介する6本のなかで唯一つみたて投資枠での投資が可能です。
注目は、投資家が手にした分配金のうち普通分配金が占める割合を示した「分配金健全度」。普通分配金÷分配金総額という式で計算できます。分配金健全度は、分配金がすべて普通分配金なら100%になりますが、元本払戻金(投資信託の元本を取り崩して支払う分配金。特別分配金ともいう)がある場合は100%よりも少なくなります。

日経平均高配当利回り株ファンドの分配金健全度は3年こそ100%ですが、5年では76.42%となっています。元本払戻金があると、その分元本が減ってしまうため、複利効果でお金を増やしにくくなってしまいます。分配金健全度は、100%(に近い)ほど望ましいといえます。

●②SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)

配当利回り水準が平均より高い銘柄を中心に投資する高配当株ファンド。企業の収益性・安定性を勘案して投資先を選んでいます。組入れ銘柄の予想配当利回りも3.98%と高水準です。2023年12月に運用の始まったファンドなので、まだ分配金利回りや分配金健全度はわかりませんが、すでに純資産額は500億円を突破しています。信託報酬も0.099%ととても安いことから、人気が集まっています。

●③Tracers日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)

日経平均株価の構成銘柄から予想配当利回り上位50社に投資する高配当株ファンドです。奇数月に分配金が得られるので、年金を受け取っている人であれば、奇数月はTracers日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)からの分配金、偶数月は年金を受け取れるので、毎月収入のある状態を作り出せます。
2024年1月にできたファンドなので、まだ分配金利回りや分配金健全度はわかりません。信託報酬が0.10725%と、こちらもかなりの低水準です。

<新NISA対象 高配当株ファンド比較(その2)>

(株)Money&You作成

●④日本好配当リバランスオープン

日経平均株価の構成銘柄から予想配当利回り上位70社に投資する高配当株ファンド。分配金利回りが高い傾向にあるのが特徴です。過去の分配金情報を見ると、2017 年・2018年・2023年の1月決算時に1000円台の分配金を出しているうえ、2024年1月決算時にも1500円の分配金を出していることから人気が集中。「純資産規模を運用可能な適正範囲に維持するため」に2024年2月7日を持って新規購入申し込みを一時停止しています。本稿執筆時点(2024年3月19日)では購入できません。
ただ、償還日(運用が終了する日)が定められているのが気になります。一生涯投資しようにも運用が途中で終わってしまっては投資できないからです。

●⑤フィデリティ・日本配当成長株・ファンド(分配重視型)

予想配当利回りが市場平均以上の銘柄の中から投資価値の高い銘柄を厳選して投資する高配当株ファンドです。組入銘柄の予想配当利回りは2.9%と3%を切っていますが、2024年1月の分配金は400円、分配利回りは7%を超えています。もっとも、前述の「日本好配当リバランスオープン」のほうが分配金・分配金利回りが高くなっています。また、信託報酬が1.188%と少々高く、分配金健全度(5年)も低めなのが気になるところです。

●⑥日本好配当株投信

予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄の中から銘柄分散・業種分散を勘案して投資する高配当株ファンドです。組入銘柄数が124と、今回紹介している6本のなかでもっとも多くなっています。2024年1月の分配金は700円で、分配金利回りも8%超えなのはよいのですが、ネックは信託報酬が1.21%と高いところです。

連続増配株ファンドもチェック

参考までに、信託報酬が最安水準の連続増配株ファンドもご紹介します

<新NISA対象 連続増配株ファンド>

(株)Money&You作成

iFreeNEXT日経連続増配株指数(資産成長型)とiFreeNEXT日経連続増配株指数(年4回決算型)はいずれも「日経連続増配株指数」という指数に連動するインデックスファンド。日経連続増配株指数は2023年6月30日から算出開始されたまだ新しい株価指数です。10年以上連続増配をする銘柄の中から連続増配年数でランク付けされた上位70社に投資を行います。
純資産総額はまだ高くないのですが、信託報酬は0.451%と日本の連続増配株ファンドのなかでは最安になっています。配当利回りの観点では高配当株ファンドより見劣りしますが、増配株は高配当株よりも値上がり期待が高く、市場全体の暴落にも強い特徴があるので、うまく戦略を考えながら使っていくのがいいと思います。

高配当株ファンドのおすすめは?

以上より、高配当株ファンドのおすすめを2本お伝えします。

①SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型) [信託報酬0.099%]
②Tracers日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型) [信託報酬0.10725%]

分配金利回りが高いファンドは魅力的ですが、信託報酬の差が年1%弱あります。これは長期保有する上ではデメリットでしかないと考えます。したがって、高配当株ファンドでは「SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)」か「Tracers日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)」を選ぶのがベター。この2本であれば、高配当株ETFよりも低コストで投資が可能です。

今回の情報がみなさんの投資行動の参考になれば幸いです。
なお、投資の最終決定は各自の選択でお願いいたします。

今回の内容は動画でも紹介しています。ぜひご覧ください。

   


頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

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