24/02/23
意外としている「貧乏を加速する」5つの習慣
習慣とは、意識せずにしてしまうこと。いい習慣ならたくさん持っていたいものですが、なかには貧乏を加速してしまうよくない習慣もあります。そんな習慣を放置していたら、やがて本当に貧乏になってしまうかもしれません。今回はそんな、貧乏を加速する5つの習慣をご紹介。もし1つでも心当たりがあったら、すぐに改善しましょう。
貧乏を加速する習慣1:細かいお金を意識しない
「お金が無い」といつも言っている人にかぎって、お金のムダ遣いが多いものです。
お金が無いのにムダ遣いしようがないと思われるでしょうか。
確かに、数万円もする高額商品を買う時はしっかり考えてから支出するので、大きなムダ遣いはないでしょう。しかし、少額の支出を無意識に繰り返していると、1カ月あたりではまとまった金額になってしまいます。
そして、大したものは買っていない、ましてや贅沢などしていないのに、いつの間にかお金がなくなっているのです。
そんな支出の代表例をピックアップしてみましょう。
●ペットボトル飲料
ペットボトル飲料は1本150円程度ですが、毎日買えば30日で4500円。マイボトルを持ち歩けばかからないお金です。
コーヒーショップのこだわりのドリンクなら暮らしの中の楽しみにもなりますが、単なる水替わりとして買うなら、もったいない支出と言えるでしょう。ほんの数百円くらいたいしたことない、と思う行動の積み重ねが、お財布から大切なお金を逃がしています。
●ATMの時間外手数料
また、銀行ATMの時間外手数料や振込手数料を、ほんの数百円だからと気にせず払っていませんか。銀行預金は低金利が続いていますので、たった1回の時間外手数料でも、1年分の利息が吹き飛んでしまいます。
キャッシュレス決済が普及していますので、現金の引き出しは最小限にとどめ、振込みもスマホ決済の送金を利用すればコストがかかりません。
●クレジットカードの年会費
クレジットカードの年会費は、作った初年度は無料でも、2年目以降は利用状況によって有料になります。年に1回、1000円程度の請求があっても、さして大金ではないと考えて放置するのは避けたいもの。使わなくなっているクレジットカードは、解約したほうが防犯上も安心です。
●使わなくなったサブスク
いつも使う定番のものは、サブスクにしておくと便利です。動画や音楽の配信、家電レンタルや洋服、レンタカーまで、サブスクなら使う量を気にせずに好きなだけ利用できます。
ただし定額の支払いは、使わなくなっても続くことに要注意。定額の引き落としやクレジットカード払いは、無意識になりがちなのでしっかり管理しましょう。
●行かなくなったジム代
コロナ禍では密を避けるため、運動不足は屋外のランニング中心にした人も多かったかもしれません。とはいえ、一人で頑張るのはストイックすぎて続かないことも。そのため、感染対策をジム通いに切り替える人も増えているようです。感染対策がしっかりなされていれば安心でしょう。
しかし、これもまた行かなくなっても支払いは続きます。来月こそちゃんと行こうと思っても、実現可能かどうか冷静な判断が必要です。
このようなムダ遣いを防ぐには、どうしたらいいのでしょうか。
まずは、細かい支出と思っても、しっかり意識することです。手軽な方法としては、必ずレシートをもらうこと。レシートを受け取った時に1度支出を意識して、財布にたまったレシートを整理するときにもう1度意識しましょう。
レシートは、いったん確認したら捨ててもいいので、まずは支出を意識しましょう。
それから、預金口座の取引履歴や、クレジットカードの利用明細をきちんと確認することです。
最近は、ウェブ明細になっていることが多く、自分で専用サイトにアクセスしないと見られません。面倒がって見ないでいると、不要なお金を払い続けてしまう可能性もあります。1カ月に1回でいいので、確認する習慣をつけましょう。
「それでもなかなか見られない」という人は、あえて紙の明細書にしておく手もあります。紙の明細書は、クレジットカード会社にとってコストのかかる方法なので、あの手この手でウェブ明細へ誘導しようとしています。たとえば、ウェブ明細にするとポイントがつく、紙の明細書を有料化する、などといった具合です。
しかし、紙の明細書であれば、月ごとの支出の比較もしやすいもの。それによってムダな支出を抑えることができれば、紙の明細書の発行手数料は決して高いものではないでしょう。
貧乏を加速する習慣2:「せっかくだから」「仕方がない」が口癖
贅沢はしていないのに、なぜかお金がいつも足りなくなる。こういう人は「せっかくだから支出」「仕方がない支出」が多すぎないか、チェックしてみてください。
毎日忙しいから、割高でもレストランのテイクアウトや、お惣菜を買うのは仕方がない。
今月は記念日があってプレゼントを買ったから、赤字になっても仕方がない。
確かに仕方がないのでしょうが、家計全体のバランスを取ることを忘れてはいけません。
特にコロナ禍では、せっかくだから支出、仕方がない支出が増えやすくなりました。
リモートワークで、せっかくだから家具や家電などいろいろ買いそろえてしまった。
外食できないから、せめていい食材で食事を楽しみたい。
電車は密になりそうだから、タクシーを使うのは仕方がない、などなど。
仕方がないのですから、決して贅沢をしているわけではありません。それでも、「せっかくだから」「仕方がない」を、支出が増える言い訳にしないでおきたいですね。
コロナウイルス感染症はすでに5類感染症。かかれば通常通りの活動は難しくなりますが、それでも季節性インフルエンザや、感染性胃腸炎など一般的な感染症の分類です。
いったんゆるんだ財布のヒモはなかなか元に戻しにくいものですが、コロナを特別扱いするのは、少なくとも家計においては止め時なのではないでしょうか。
かといって、コロナ明けとばかりにレジャー費などが膨らむのも避けたいですね。
支出全体が家計の範囲内におさまるように、しっかり管理していきましょう。
もし、毎月の収入の範囲におさまらなければ、クレジットカードのリボ払いやキャッシングといった借金に頼らざるを得なくなります。
特に、分割払いやリボ払いを多用していると、借入れの残高がわからなくなりがちで、収支の見通しが立たなくなってしまいます。
手元の現金が不足した時にキャッシングは便利なようですが、利息が高いので手を出さないに越したことはありません。
お金が足りないことを借金でしのいでも、翌月の収入が増えなければ返せるわけもなく、借金が増えていく一方になってしまいます。
確かに、今月だけは特別なことがあったので仕方がなかったのかもしれません。しかし、そんな臨時の支出に備えておくためには貯蓄の利用がセオリーです。なかには、貯蓄を取り崩すのが嫌で、臨時の支出にカードローンを使うような人もいますが、それでは損をしてしまいます。利息は、貯蓄よりもローンのほうが高いので、借金をするくらいなら貯蓄を取り崩したほうがいいのです。特別なことがあったときの支出は、普段からの貯蓄でカバーすることが大切です。
貧乏を加速する習慣3:収入を増やそうとしない
ここまで支出のことばかりでしたが、収入についても貧乏を加速する習慣があります。
それは、収入を増やす方法を考えないことです。
支出にくらべて収入が多ければ黒字になり、貯蓄もできるようになります。ですから収支のバランスを良くするには、支出を減らすことと収入を増やすこと、両方を考えていくことが必要です。
収入を増やすには、いろいろな方法があります。
●スキルアップ
収入を増やすにあたってリスクが小さいのがスキルアップです。今までの仕事がワンランクアップするスキルを身につけたり、資格を取得したりすることで収入アップが見込めます。会社員であれば給与が増えるキッカケにもなりますし、フリーランスであれば単価アップも可能です。
スキルアップには時間と費用がかかりますが、それに見合った効果を得られるでしょう。
●転職
思い切って転職するのもひとつの方法かもしれません。今の職場では先々の見込みが今ひとつ、という場合は将来の選択肢を広く考えてもいいのでは。
生活費を切り詰めても貯蓄までする余裕がなかなかない場合は、さらなる節約の努力より、転職したほうがいいことも多いのです。
●副業
今ある仕事と収入を手放すのはリスクが大きく決断できない、ということなら、副業をするのもオススメです。メインの仕事に影響の出ない早朝や就業後に、マイペースでできるサブの仕事を持つことで、収入も暮らしも豊かになります。
●助成金を利用する
お金を得るには、稼ぐほかに「もらう」という方法もあります。もらうために必要なのは、欲しいという意思表示。つまり、申請です。
自治体によって、起業や移住する人を対象にした助成金や、住宅のリフォーム、病気治療にも補助があるところも。情報収集をして、もらえる助成金があったらしっかり活用しましょう。
●節税をする
節税は、まずは所得控除を利用しましょう。会社員でも、もちろん利用可能です。
生命保険の保険料を払っていたら、生命保険料控除が使えます。iDeCoの掛金なら、小規模企業共済等掛金控除、10万円以上の医療費を払っていたら医療費控除などが主なところです。勤務先の年末調整でスルーしてしまっていても、確定申告をすれば払い過ぎた税金を取り戻せます。
貧乏を加速する習慣4:投資をしない
収入アップの方法のひとつに、投資があります。貯蓄より高い利回りで運用できることもできるため、上手に利用したら手持ちの資金を大きく増やせることにもなります。
ただし、投資は元本保証ではないので、損失を出してしまうこともあります。
そのため、投資を怖がってまったく手を出さない人が少なくありません。
しかし、投資には、リスクをおさえた方法もあります。仕事が忙しくて時間がない、でも収入アップはしたい、という場合はお金に働いてもらう「投資」を積極的に検討しましょう。
とはいえ、いきなり株式投資や不動産投資に手を出すのはリスクが大きくオススメできません。
仕事の合間にするなら、ローリスクやミドルリスクの投資信託がいいでしょう。
投資初心者も比較的始めやすい投資の制度を2つあげます。
●新NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)のつみたて投資枠
投資信託は、投資のプロに運用をおまかせできる仕組みなので、複雑な専門知識がなくても比較的安心して投資をすることができます。特に、2024年から新しくなったNISA(新NISA)のつみたて投資枠で購入できる投資信託は、金融庁の基準を満たした、長期・積立・分散投資でお金を増やせると見込まれる、手数料の安い商品が揃っています。また、成長投資枠は投資信託のほか株式やETF(上場投資信託)なども購入できます。
投資初心者のうちはつみたて投資枠でコツコツ資産を増やし、投資に慣れてきてさらにリターンを目指すなら成長投資枠、と使い分けてもよいと思います。
投資で得られた利益には、通常20.315%の税金がかかりますが、新NISAを利用すると非課税で運用することができるのも、見逃せないメリットです。
たとえば、運用益が10万円あったとしても、通常なら税金を差し引いて約8万円が手元に残る計算ですが、新NISAであれば10万円まるまる自分のものになるということです。
新NISAで投資できる金額には年間の上限額があります。つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円、合計で360万円です。なお、生涯の限度額は1800万円になります(うち成長投資枠1200万円)。
投資金額は、金融機関によっては100円からでも可能なので、気軽に始められるのではないでしょうか。
●iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)
老後資金を準備する目的なら、iDeCoもいいですね。
iDeCoもまたNISA同様に、運用益が非課税です。さらに、掛金が全額所得控除になるので所得税や住民税が安くなるメリットもあります。
たとえば、毎月1万円を掛けた場合、1年間で12万円になります。
掛金は全額所得控除ですから、所得税の税率が10%の人なら1万2000円、20%の人なら2万4000円も所得税が少なくなります。
住民税は、一律10%ですから1万2000円安くなりますので、節税効果があります。
さらに、受取り時にも税制優遇があります。
受取り方は、一時金、年金、一時金と年金の組合せの3通りあります。
一時金受取りの場合には退職所得控除、年金受取りの場合には公的年金等控除の対象です。受取り方は、iDeCoを契約している金融機関から送られてくる、受給権資格取得通知書が届いてから決めればよいので、その時の経済状況などを考慮して検討すればよいでしょう。
iDeCoは大変おトクな制度ですが、基本的に60歳まで引き出せないので無理のない範囲での運用がポイントです。
貧乏を加速する習慣5:情報にうとい
効率よく支出を減らして収入を増やすには、価値のある情報が大切です。
新聞を読む人は少なくなり、情報はインターネットがメイン、という人も多いのではないでしょうか。ネットでの情報収集は、時間を選ばず、場所もとらないので大変便利。低価格や無料の情報も多いことも助かりますね。
しかし、ネットを利用した情報収集は偏りがちだったり、無料の情報は広告としての側面もあったりといったデメリットもあります。その点は気を付けて利用するようにしましょう。
マネー情報といっても、肩ひじ張らずに身近なものから意識することが長続きの秘訣。スーパーの卵など食料品の値段や、ドラッグストアのポイントアップデーのチェックは基本ですよね。
ポイント還元率のいいクレジットカードを選んだり、おトクなクーポンを使ったり、ちょっと気を付けるだけで日々のお買い物がおトクになります。
やむを得ずペットボトルを買う時も、自動販売機の比較検討は忘れずに。自販機によって、同じ商品が160円のものもあれば、100円で売っているところもあります。さらに、ドラッグストアなら税込みでも98円で買えるかも。
2のつく日はお肉が安くて、5のつく日はポイント5倍、そんな情報も知っているだけではなく、利用してこそ価値があります。
そして、お金を預ける金融機関は、少しでもメリットのあるところを選びたいですね。貯蓄用口座なら、少しでも金利のいいところがおトクです。生活費用の口座で、お金の出し入れが頻繁にあるなら、ATM設置施設の利便性や振込み手数料で比較するといいでしょう。
そして税金も、情報を活用したい支出です。さきほど紹介した新NISAやiDeCoを活用した節税や、各種所得控除は、漏れなく利用しなければ損をしてしまいかねません。
知っているかいないかで大きな違いがありますので、面倒がらずに利用していきましょう。
お金まわりの情報は、世界情勢から近所のドラッグストアの特売まで幅ひろくあります。
マネー情報は必要ですが、いきなり中東情勢や、アメリカFRBの利上げについて調べるよりも、身近な情報からさかのぼるほうがわかりやすいでしょう。
いつも買物に行くスーパーの卵や野菜の値段も、もとをたどれば世界情勢が関係しています。
卵や野菜などの生産には、鶏舎やビニールハウスの温度管理のための燃料が必要です。エネルギー資源が不足していることが、卵など食料品の価格にも影響しているのです。
物価は上昇していますが、賃金の上昇が追い付かないなか、今後の賃金水準の変化には要注目です。おそらく、上昇するところばかりではなく、産業や地域によって差が出てくるのではないないでしょうか。賃金が上昇する産業は、今後の成長が見込めるとも考えられます。
株式投資には、このような情報も必要です。
貧乏を加速する習慣は改善しよう
貧乏を加速する5つの習慣を紹介してきました。もしも当てはまっている習慣があったら要注意。支出を減らすことはもちろん、収入を増やすことも投資を含めて積極的に考えて、将来のための情報収集を意識しましょう。そして家計のバランスをとり、貧乏におちいらないようにしたいですね。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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