18/06/29
生命保険金の受取人が、死亡や離婚した場合どうなる?
わたしに「もしも」があった時、残される家族を思って入る死亡保険。その家族が先に亡くなったり、離婚することになったりしたら生命保険の受取りはどうなるのでしょうか。
今回は、事例をもとに一緒に考えてみましょう。
保険金の受取人が受け取る前に亡くなった場合
Aさんの家族は妻と子どもが2人。両親は健在で、弟が1人います。Aさんは保険の受取人を妻に指定していましたが、思いかけずAさんより先に妻が亡くなってしまいました。
このような場合どうなるのでしょうか?
まずは保険会社に連絡し受取人を変更する手続きをしてください。ただし、受取人は誰を指定しても良いわけではなく、基本的には、配偶者及び2親等以内の血族など指定できる範囲が決まっています。1親等にあたるのは本人及び配偶者の両親と、子供。2親等は祖父母、兄弟姉妹、孫です。
Aさんの場合、妻が先に亡くなっているので、子ども2人と両親、弟から受取人を選ぶことができます。この範囲は保険会社ごとに多少の違いがあり、最近では内縁関係や同性パートナーの方を受取人に指定できることも。手続きの際、ご加入の保険会社に確認してください。
受取人変更手続きをしないまま被保険者(保険の対象となる人)も亡くなった場合
保険金受取人の法定相続人が新しい受取人となります。法定相続人には民法で定められた順位がありますが、配偶者は順位に関係なく常に法定相続人に。配偶者と他の相続人がいる場合には、配偶者とその相続人が法定相続人となります。
【法定相続人の範囲】
第1順位:配偶者 + 子または孫
第2順位:子どもも孫もいない場合、配偶者 + 親
第3順位:子ども・孫・親がいない場合、配偶者 + 兄弟姉妹
子ども・孫・親・兄弟姉妹がいない場合は、配偶者のみ
Aさんの事例で考えると、妻の法定相続人は配偶者であるAさんと第1順位である子ども2人。ですが、Aさんも亡くなっていますので、結果的に子ども2人が保険金の受取人となりました。
もし、父であるAさんが保険に加入していることを、法定相続人である子ども2人が知らなかった場合どうでしょう。請求が漏れることも考えられますよね。前もって家族に話しておくか、エンディングノートに記載しておくことをお勧めします。
保険受取人が離婚した場合はどうなる?
保険金の受取人が元配偶者になっている場合、受取人の変更をしないまま被保険者が亡くなると、保険会社は元配偶者に保険金を支払います。保険金を子どもや別の家族に渡したいなら、早急に受取人の変更と保険証書の再発行もしておきましょう。
離婚後は生活の変化を踏まえた保障に見直すことをお勧めします。今回のAさんの事例では、万が一のとき滞りなく養育費が払えるように、受取人を子ども2人に変更する。保障を養育費や子どもの生活に必要な額まで減額し、Aさん個人の保険は新たに加入する。など、あとでモメることのないような工夫ができます。
人生には想定外の出来事がおこるもの。せっかく掛けた保険を守るべき人に届けられるよう、「またいつか」ではなく気づいたときに手続きをしておきましょう。
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辻本 由香 おふたりさまの暮らしとお金プランナー
企業の会計や大手金融機関での営業など、お金に関する仕事に約30年従事。27歳で阪神大震災、43歳で乳がんを発症した経験から、備えることの大切さを伝える活動を始める。現在は奈良で独立系のFP事務所を開業。セミナーを主としながら、子どものいないご夫婦(DINKS・事実婚)やシングルの方の相談業務、執筆も行っている。著書『がんを生きぬくお金と仕事の相談室』(河出書房新社)。
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