22/12/17
パートで月収10万円。厚生年金保険料はいくら払い、年金はいくらもらえるのか
パートで月収10万円の人は、配偶者の扶養に入っていて社会保険未加入かもしれません。しかし、今後は月収10万円でも社会保険加入義務が生じるケースが増える見込みです。今回は、パートで月収10万円の人の厚生年金保険料の自己負担額や増える年金の額について説明します。今後の働き方を考える参考にしてください。
パートで社会保険に入らないといけない人とは?
パートの場合、労働条件等で社会保険加入義務の有無が分かれます。労働日数・労働時間が正社員の概ね4分の3以上なら、社会保険に入らなければなりません。また、年収130万以上の人は、配偶者がいても扶養に入れないため、社会保険に入る必要があります。
さらに、2022年12月の時点では、労働日数・時間が正社員の4分の3未満、年収130万円未満であっても、次の要件をみたす人に社会保険加入義務があります。
①従業員101人以上の会社に勤務
②1週間の所定労働時間が20時間以上
③雇用期間が2か月を超える見込み
④月額の賃金が8.8万円以上
⑤学生ではない
現在は、1か月の収入が8.8万円を超えると、パートでも社会保険に入らなければならないケースがあります。月収8.8万円は年収約106万円。これがいわゆる「106万円の壁」です。
社会保険に加入すれば、社会保険料の負担が発生し、社会保険料が給料から天引きされます。手取りを減らしたくないという理由で勤務時間を抑えているパートの人も多いのではないでしょうか?
今後はパートも社会保険が当たり前の時代に
パートの社会保険適用は今後さらに拡大される予定です。2024年10月以降は、上記①の適用事業所の従業員数の要件が「51人以上」となることが既に決まっています。
さらに、従業員数の要件はいずれ撤廃される見込みで、新たに60万人が適用対象になるとも言われています。そのうえ、政府は労働時間20時間未満の労働者への社会保険適用拡大も検討しているのです。
今後はパートであっても当然に社会保険に入らないといけなくなるでしょう。そうなると、手取りを減らしたくないという理由で短時間勤務を選ぶ意味もなくなってしまいます。
社会保険加入のメリットとは?
社会保険に入ると、手取りが減ってしまうデメリットにばかり注目しがちです。しかし、社会保険に加入するメリットもたくさんあります。
社会保険加入の大きなメリットは、老後にもらえる厚生年金が増えることです。
たとえば、月収10万円のパートの人が20年間社会保険に加入したと仮定してみましょう(以下、数字は2022年度(令和4年度)を基準として計算)。
月収10万円の場合、厚生年金保険料計算の基準となる標準報酬月額は9万8000円で、厚生年金保険料の自己負担額は8967円となります。同じ収入で20年間厚生年金に加入したとすると、上乗せされる厚生年金は約12万9000円。月約1万円年金が増え、一生涯増えた年金を継続してもらえます。
厚生年金に加入すれば、老齢年金だけではなく、障害年金や遺族年金も増えます。公的な保険で万一の場合に備えられる安心感も大きいはずです。収入が増えるほど、年金の額は増えます。パートも社会保険加入が避けられないなら、今後は可能な限り収入を増やした方がよいのではないでしょうか?
社会保険には健康保険も含まれます。健康保険に加入していれば、病気やケガで3日以上継続して仕事を休んだときに傷病手当金を、出産時には出産手当金をもらえます。こうした社会保険のメリットも知ったうえで、働き方を考えましょう。
まとめ
今配偶者の扶養に入っているパートの人も、いずれ社会保険に入らなければならない可能性が出てきます。今後は勤務時間を減らして扶養内に抑えるよりも、できるだけ働いて収入を増やすことを考えてみましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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