22/11/01
【図解】ねんきん定期便はここだけチェック!ハガキ・封書の見るべきポイント
毎年、誕生日の前後になると郵送で届く「ねんきん定期便」、放置している人はいませんか?ねんきん定期便には、老後にもらう大切な年金についての情報が載っています。ですから、毎年1度、ぜひ目を通しておいてほしいものです。しかし、中には「どこをどう見たらいいかわからない」という方もいるでしょう。
そこで今回は、ねんきん定期便の見方を徹底解説。見るべきポイントとその意味を紹介します。
ねんきん定期便はハガキと封書の2タイプ
国民年金や厚生年金保険に加入している人は、日本年金機構から年に1回、誕生月に「ねんきん定期便」が届きます。ねんきん定期便は基本的にハガキですが、35歳、45歳、59歳になる年は、ハガキではなく封書で届きます。
まずはハガキのねんきん定期便からご紹介。ねんきん定期便のハガキは、50歳未満と50歳以上で書式や記載内容が少し異なります。
●ねんきん定期便の表面・裏面(50歳未満)
・表面
・裏面
●ねんきん定期便の表面・裏面(50歳以上)
・表面
・裏面
ねんきん定期便にはさまざまなことが書いてありますが、主にチェックすべきなのは以下の4点です。
①今もらった場合の年金額(50歳未満)・60歳まで加入した場合の年金額の目安(50歳以上)
ねんきん定期便には、将来の年金額が記載されています。
50歳未満の場合は「今もらった場合の年金額」、つまりねんきん定期便が作成された時点までの加入実績によってもらえる年金額が書かれています。ですから、特に若い方は金額が少なくて驚かれるかもしれません。しかし、国民年金は60歳まで、厚生年金は70歳まで加入し、保険料を納めることで、徐々に年金額が増えていきますので、安心してください。実際、「昨年」の金額より「今年」の金額が増えていることがわかるはずです。
50歳以上の場合は「60歳まで加入した場合の年金額の目安」が書かれています。60歳まで国民年金に加入し、65歳から年金の受給を始めた場合の1年間の受取見込額です。50歳未満の方よりも実際に近い金額がわかります。
年金の受給開始は原則65歳ですが、65歳より早く受給を受けたい場合は「繰り上げ受給」、65歳より遅く受給を受けたい場合は「繰り下げ受給」が可能。年金額は、繰り上げ受給を選択した場合には減り、繰り下げ受給を選択した場合には増えます。ねんきん定期便には、受給を70歳まで5年間繰り下げた場合の金額(42%増の金額)・75歳まで10年間繰り下げた場合の金額(84%増の金額)も記載されています。
②加入履歴
「最近の月別状況」の欄をチェック。この1年の年金の納付状況や納付額が記載されています。もし漏れや間違いがあるようならば、日本年金機構に問い合わせましょう。
③これまで納めた保険料納付額(累計額)
これまでに納めてきた国民年金保険料(第1号被保険者)と厚生年金保険料(第2号被保険者)の合計額が記載されています。厚生年金に加入している人は、厚生年金だけでなく国民年金の保険料も払っていることになります。なお、厚生年金の保険料は会社と折半して支払っていますが、記載されている金額は自分で負担した分のみです。正しい金額を確認するのは大変ですが、毎年きちんと増えているかを確認しておきましょう。もし万が一前年と変わっていなければ、何かの漏れやミスがあると考えられます。
④これまでの年金加入期間
国民年金、厚生年金、船員保険、合算対象期間など、これまでの年金加入期間の月数が表示されています。これらの期間を合計した受給資格期間が120月(=10年)以上になると、原則65歳から老齢年金をもられます。加入期間に間違いがないか、確認しましょう。
35歳・45歳・59歳の「封書」のねんきん定期便で見るべきポイント
ねんきん定期便は、35歳・45歳・59歳の節目年齢にはA4版の封書で届きます。「ねんきんネット」などでハガキのねんきん定期便の送付を断っても、封書のねんきん定期便は届きます。
一見、難しそうに感じるかもしれませんが、見るべきポイントは基本的に同じです。
●封書のねんきん定期便(35歳・45歳)
●封書のねんきん定期便(59歳)
封書のねんきん定期便でも、見るべきポイントはハガキと基本的に同じです。
ただ、②の加入履歴だけは違います。ハガキで届くねんきん定期便は、直近1年の情報しか記載されていませんが、封書のねんきん定期便には、これまでの全期間の加入履歴や保険料納付状況が記載されているからです。
ですから、35歳・45歳・59歳で封書のねんきん定期便が届いたら、全期間の情報が正しいかを確認しましょう。万が一、年金記録が間違っていたり、記載漏れがあったりすると、将来の年金額が減る可能性があるからです。ミスを見つけたら、すぐに日本年金機構に問い合わせましょう。
特に
・転職した(何度もしている場合は特に)
・結婚や離婚によって苗字が変わった
・名前の読み方が色々ある
という場合には念入りにチェック。日本年金機構によると、この3点による漏れや誤りが全体の9割を占めているそうです。
なお、2022年度からねんきん定期便に「年金見込額試算用二次元バーコード」が記載されるようになりました。スマホやタブレットなどのカメラでこの二次元バーコードを読み取ると、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」が起動します。これに生年月日を入力して「試算する」を選択すると、将来もらえる年金見込み額がグラフで表示されます。また、サイト内のスライドバーを操作して左右に動かすと、年金をもらいはじめる時期などを変更した場合の試算もすぐにできます。利用は無料で、ID・パスワードなども不要。手軽に使えますので、ぜひ試してみてください。
まとめ
誰もが気になる老後の年金。でも、気になるというわりに、毎年届くねんきん定期便を見ていないようでは本末転倒です。ねんきん定期便は、将来どのくらいの年金がもらえるのかを簡単にチェックできるツールですので、必ず確認してくださいね。
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高山 一恵 ファイナンシャルプランナー
(株)Money&You取締役。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』『Mocha(モカ)』や登録者1万9000人超のYouTubeチャンネル『Money&YouTV』を運営すると同時に、全国で講演活動、執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『マンガと図解 定年前後のお金の教科書』(宝島社)、『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)など書籍100冊、累計170万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue
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