17/03/12
死亡保険には加入すべき? 保険加入の常識を疑おう
家計を見直し、貯蓄を増やすために「節約」に励む人も多いことでしょう。日々の食費を削って対応しても、限界がありますし、なかなか長続きもしません。
それよりも、人生の中でも大きな支出である住宅、生命保険、車の費用などを見直した方が家計改善の効果は大きくなります。「手続きがめんどう」だと感じるかもしれませんが、一度見直せば、ラクをして節約ができて貯蓄ができますよ。
今回は、生命保険の「死亡保険」についてそもそも加入すべきなのか、加入するなら死亡保険金はいくら必要なのかみていきましょう。
本当にその生命保険に入ることが必要なの?
本来保険は、不測の事態が起きた時に、生活に困らないようにしておくものです。
結婚したら、子どもが生まれたら「保険に入っておくべき」という世間の一般論にとらわれていて、何となく保険に加入していませんか?
将来の不安を大きな保障額に頼って保険に入っているとしたら、ムダな掛け金があるかもしれません。
「これくらいあれば、安心!」という目安を知り、適正な保障額での準備ができていれば、納得のいくものになります。
また、そもそも民間の保険に加入すべきなのでしょうか?
その答えを知るためにはまず「国の保障」を知る必要があります。
「国の保障」とは具体的に、「遺族年金」を指します。
「遺族年金」には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。
自営業の場合は「遺族基礎年金」がもらえます。会社員の場合は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」を受け取ることができます。
会社員なら「会社独自の保障」がないかも確認してみましょう。毎月しっかりお給料から差し引かれていても、制度を知る機会は少ないものです。
「遺族年金」とは、いくらもらえるの?
「遺族基礎年金」は、遺族である子どものいる妻(夫)または子どもが受け取れるもので、子どもが何人いるかによって金額が決まっています。
「経済的に困る遺族を支える」という目的があり、遺族である妻(夫)の年収が850万円未満でなければ受け取れません。
ここでいう「子ども」は、18歳の年度末までを指します(一定の障害状態にある場合は20歳まで)。子どもが高校を卒業するまでもらえると助かりますね。
具体的には、以下の金額を1年間に受け取れます。(平成28年の場合)
・妻(夫)と子ども1人の場合 100万5500円
・妻(夫)と子ども2人の場合 122万9100円
・妻(夫)と子ども3人の場合 130万3900円
一方、「遺族厚生年金」は、働いていた期間や給料の額によって、人それぞれもらえる金額が違います。
「死亡保険」に加入すべきか?
死亡に対して備える「死亡保険」が必要かどうかは、「その人が亡くなった場合に経済的に困る人がいるかどうか」で判断します。そして、いくら加入すればいいかは、遺族のその後の「一生分の収入」と「一生分の支出」をくらべて考えます。
一生分の収入よりも一生分の支出の方が多いときに保険の必要性が高くなります。
一生分の収入には、遺族年金からもらえる額や死亡退職金、家族の収入、貯蓄などが当てはまります。
一生分の支出には、妻(夫)が平均寿命まで生きたらと仮定して試算します。その期間にかかる住居費、生活費、教育費、車の購入、老後資金などを見積りましょう。
ご自身で見積もりが難しい場合は、ファイナンシャルプランナーなど第三者に相談をすることをオススメします。
ここで支出分が上回った場合は、もしもに備えて足りない金額を保険でカバーするのか、貯蓄でカバーするのかを考えることになります。
保険は、不測の事態が起きた時に、生活に困らないようにしておくものです。
保険に加入するということは、毎月必ず「保険料」という支出が長期間発生することになります。
死亡保険は、基本的には亡くなった時しか保険金を受け取ることはできません。
もしもの備えは、必ずしも保険でカバーすることだけを考えず、支出と家族の収入・遺族年金・貯蓄のバランスをみて、対応手段を考えるようにしましょう。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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