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25/01/08

相続・税金・年金

住宅ローン・生命保険・扶養控除…子育て支援に関する拡充5選【税制改正大綱】

住宅ローン・生命保険・扶養控除…子育て支援に関する拡充5選【税制改正大綱】

物価の上昇は、誰にとっても暮らしを厳しくするものですが、子育て世帯には特に厳しいのではないでしょうか。そこで政府は2025年度の税制改正で子育て支援を拡充し、子育て世帯の税負担を軽くする方向で調整をしています。
2025年度税制改正には、話題になった「103万円の壁」の調整にとどまらず、さまざまな子育て支援があります。
今回は、2024年12月に発表された「2025年税制改正大綱」から、子育て支援に関する5つの拡充をお伝えします。

子育て支援に関する拡充1:住宅ローン控除の拡充(2024年の特例が1年延長)

子育て世帯では、ローンを組んで住宅購入を考えていることが多いのではないでしょうか。
国土交通省の調べによれば、分譲戸建住宅を取得した世帯の66.7%が子育て世帯、注文住宅では54.6%と半数以上にのぼります。
しかも、購入資金は全体の平均よりも高い傾向で、新築の分譲戸建は4452万円、注文住宅で5867万円です(国土交通省「2023年度住宅市場動向調査報告書」より)。

新築の認定住宅を購入した場合、いわゆる住宅ローン減税によって、年末のローン残高の0.7%が13年間減税されます。
一般の世帯の場合、減税されるローン残高の上限は4500万円(高い省エネ基準を満たすほど上限が多くなる)ですが、19歳未満の子のいる子育て世代や夫婦どちらかが40歳未満の若者夫婦世帯は特例によって5000万円となっています。
この特例は2024年度からありましたが、2025年度も引き続き特例として延長されます。

<住宅ローン控除の借入限度額>

筆者作成

子育て支援に関する拡充2:住宅リフォーム税制の拡充(2024年の特例が1年延長)

子育て世帯では、子ども成長にともなってリフォームの必要性を感じることもあるでしょう。
2025年度税制改正では2024年度に引き続き、子育て世帯が、子育て対応改修をした場合に所得税額の特別控除を受けることができます。

子育て対応改修には、次の3種類があります。
1. 家事負担の軽減に資する設備を設置する工事
2. 防犯性の向上に資する開口部の改修工事
3. 生活騒音への配慮に資する開口部の改修工事

控除額は、標準的な工事費用相当額(限度額:250 万円)の 10%相当です。
家事負担を軽くするリフォームには、ビルトイン食器洗機や浴室乾燥機などが含まれています。洗い物の多い子育て世帯には、ぜひ欲しいもの。
せっかくリフォームをするなら、特例のあるうちがおトクかもしれません。

子育て支援に関する拡充3:生命保険料控除が2万円上乗せ

子どもが生まれ養う家族が増えると、考えざるを得ないのが万が一の保障です。
万が一の場合に、残された家族が暮らしていくための死亡保障=生命保険は、子どもが小さい頃こそ必要です。

一般生命保険の保険料は、従来4万円を上限に所得控除(生命保険料控除の「一般生命保険料控除」)が受けられるようになっています。2025年度の税制改正によって、2026年(令和8年)分の所得税について、23歳未満の扶養親族がいる場合には、一般生命保険料控除の上限額が6万円になります。

なお生命保険料控除には、一般生命保険のほか、介護医療保険、個人年金保険も対象。現状はそれぞれの控除上限は4万円なので、合計で12万円が上限です。
2025年の税制改正で、一般生命保険料控除の上限額が上がりますが、合計金額の変更はありません。そのため、すでに保険料控除の金額が上限に達している場合には、今回の改正の恩恵には直接預かることはできない見込みです。

子育て支援に関する拡充4:結婚・子育て資金の贈与非課税措置が2年延長

両親や祖父母といった直系尊属が子や孫に対して、結婚・子育てに必要な資金を贈与した場合、1000万円を限度に非課税になります。 この制度は2015年度から始まり、2025年3月までとされていましたが、2025年度の税制改正によって2年延長、2027年3月までになりました。

結婚関係では、婚礼、家賃等、引越しに係る費用が対象です。
妊娠・出産、子育て関係では、不妊治療、妊娠、出産、産後ケア、子の医療費、子の育児に係る費用が対象です。
経済的な不安が少しでも小さくなる制度はありがたいですね。

子育て支援に関する拡充5:高校生の扶養控除を維持

子育て支援には、「児童手当」の制度があります。児童手当は、2024年10月から、所得制限がなくなり、支給期間が高校生年代まで延長されました。
それまでの児童手当の支給は中学生年代までだったので、高校生の保護者にとっては児童手当が増えることになりました。

一方で、高校生年代の子を扶養している場合に受けられる扶養控除が、2026年以降分から減るとされ、実質的な手取り収入があまり増えないことが懸念されていました。
しかし、2025年の税制改正では扶養控除の結論は先送り、高校生の扶養控除はこれまでどおりを維持することになりました。つまり、児童手当を受け取る分、家計全体としてはプラスのままということです。

安心して子育てできる環境を

物価高は、賃上げがともなえば経済成長となり、活発な消費や投資が生まれるでしょう。
しかし、今はまだ十分な賃上げとは言えない状況です。
そのため、税制改正によって「個人が使えるお金」を増やし、経済を立て直していくことが狙いのようです。
特に、子育て世帯には安心して子育てできる環境を、経済的な面からも実現してほしいと思います。

タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)

36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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