19/03/01
株価下落でうまみがアップ? 配当金狙いの投資の魅力と注意点
株式投資のだいご味は、売却益を手にすること。安く買って高く売れたら嬉しいけれど、実際多くの利益を手にするのは難しいものです。
そんな株式投資で安定的に利益を出すには、配当金をもらうという方法もあります。今回は、この配当金に注目した投資についてご紹介します。
そもそも配当金ってなに?
企業が利益を出したときに、一定以上の株式を保有している株主にその一部を還元することを配当といいます。この配当で還元されたお金が配当金です。配当金は年に1度や2度など決められた時期に、現金で受け取ることができます。
たとえば、1株当たり5円の配当がある場合、1000株所有していると、5000円の配当金が受け取れる計算です。
特別大きな利益が出た年や、創立20周年など企業の記念の年には、普通の配当とは別に特別配当や記念配当がある場合も。配当金は、仕事や家事で忙しくても日々の値動きに関係なく、自動的に受け取れるところが魅力です。
配当金のお得度は配当利回りでチェック!
配当金の多い会社を見つけるには、配当利回りに注目しましょう。
配当利回りとは、株価に対する年間配当金の割合を示す指標で、一株当たりの年間配当金を、現在の株価で割って求めます。
たとえば、年間の配当が10円で、株式の購入価格が500円だったとしましょう。配当金は10円÷株価500円=0.02となり、配当利回りは2%だとわかります。都市銀行の1年物の定期預金金利が0.01%という状況と比べると、ずいぶん高い利回りですね。
もし、株式の購入価格が400円であれば、配当金10円÷株価400円=0.025。配当利回りは2.5%となります。つまり、配当利回りが高いほど、少ないお金で多くの配当金がもらえるということになります。
株価がある程度落ち着いているならば、将来的な株価の上昇に期待しながら高い配当金を受け取る投資ができるでしょう。
高い配当利回りにはご用心!?
景気拡大や株主の声により、企業内に蓄積された資金を配当金にまわす企業が増えています。たとえばKDDI(9433)は、配当情報として「2017年度の1株当たり年間配当金は前年度比+5.9%の90円と、16期連続の増配を実現しております。2018年度においては、前年度比+11.1%の100円を予定しております。」と発表しています。KDDIのように増配を発表した会社は配当利回りが上昇し、株価の上昇も期待できるため、狙い目だといえます。
一方で、業績が悪化した会社の株価は下落します。すると、配当利回りは計算に株価を使っているため、皮肉にも上昇することになります。しかし、業績が悪化した会社の場合、配当を減らしたり(減配)、なくしたり(無配)することがあります。
つまり、安易に「配当利回りが高いから」という理由だけで銘柄を選ぶと、もらえるはずの配当金がもらえない上に、株価下落による損失まで被る可能性があるというわけです。したがって、配当利回りの上昇が、増配によるものなのか、株価の下落によるものなのかを見定める必要があります。
株価下落時の投資は、配当利回りが高いといううまみがある反面、株価下落と配当金減少のダブルパンチをもらう可能性も秘めています。
株式投資で本当に重要なのは企業の財務状況や業績予想など将来の見通しです。配当利回りだけに過剰にとらわれず、業績の堅調さにも目を向けて投資する企業を選択しましょう。
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辻本 由香 おふたりさまの暮らしとお金プランナー
企業の会計や大手金融機関での営業など、お金に関する仕事に約30年従事。27歳で阪神大震災、43歳で乳がんを発症した経験から、備えることの大切さを伝える活動を始める。現在は奈良で独立系のFP事務所を開業。セミナーを主としながら、子どものいないご夫婦(DINKS・事実婚)やシングルの方の相談業務、執筆も行っている。著書『がんを生きぬくお金と仕事の相談室』(河出書房新社)。
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