19/12/11
大手企業は96万円!? みんなの冬のボーナスの平均額は?

あっという間に、今年も一年が終わろうとしています。
師走のさなかですが、毎年この時期になると家計をソワソワさせるのが、ボーナス(賞与)でしょう。
最近では個人相談で年収をお聞きする際に、「ボーナスはなく、月収を12倍すれば年収になる」とおっしゃる方が多くなりました。転職が当たり前の時代、給与の支払い方法が変わってきているのは事実ですが、それでもまだ、ボーナスが年間収入の中で大きな割合を占めている企業はたくさんあります。
そこで今回は、2019年冬のボーナスについて、確認してみたいと思います。
大手平均は96万円 それでも4年ぶりの減少
経団連(日本経済団体連合会)によると、2019年末のボーナスは、第一回集計で大手企業(従業員500人以上の一部上場企業21業種251社)にて、支給額の総平均は964,543円でした。
最も低い業種は「機械金属」で622,819円、最も高い業種は「建設」で1,723,818円です。

(日本経済団体連合会「2019年年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況」より)
同じく一般社団法人労務行政研究所によると、全産業212社ベースで、総平均は747,808円です。最も低い業種は「サービス業」で538,149円、最も高い業種は製造業の「自動車」で941,071円でした。

(労務行政研究所「東証第1部上場企業の2019年年末賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査」より)
前年同期比でみると、経団連調べではプラス1.49%、労務行政研究所調べでマイナス0.1%でした。調査対象によって多少ばらつきがあるのがわかります。
パートタイムの増員による減少なら喜ばしい
三菱UFJリサーチ&コンサルティングによると、一人当たり支給額は4年ぶりに減少しているとのことです。ただし、減少の要因は企業収益の悪化ではなく、ボーナスが支給された事業所の「雇用人数の増加」によるものとしています。
特に注目したいのが、パートタイム従業員の増加です。パートタイムの従業員への賞与額は、正規雇用にくらべ、金額が少ない傾向があります。そのため、ボーナスをもらえる人が増えても、支給額は減少したというのです。

(三菱UFJリサーチ&コンサルティング「2019年冬のボーナス見通し」より)
つまり、労働者不足が叫ばれている昨今、ボーナスの支給対象者が増えていることになります。もちろん、これが必ずしも年収が増えたことを示すわけではありませんが、多くの家計が潤うのは間違いないでしょう。社会全体でみれば非常に喜ばしいことで、景気の後退を指し示すものではありません。
みんな本当にそんなにもらっているの?
とはいえ、ボーナスの平均額が「高すぎる」と思う方もいるようです。SNSなどでは、「ボーナスの平均が96万円なんておかしい」という声が多数見られました。
正式な統計調査ではないものの、Yahoo!の意識調査では冬のボーナスが増えたか減ったかの質問に対して、次のように回答が集まっていました。
【冬のボーナスは増えた?減った?】
・ボーナスの支給がない:46.9%
・減った:17.1%
・変わらない:16.9%
・「冬のボーナス」はない:12.0%
・増えた:7.1%
(Yahoo!ニュース意識調査より 実施期間:2019/11/14〜11/24)
調査対象者の違いなどを考慮すれば、必ずしも正しい比較ができるわけではありませんが、経団連や労務行政研究所の調査をこの意識調査に当てはめると、全体の「量」は押し上げられているもの、やはり個人単位で「増えた」という人はわずかだといえそうです。と同時に、「ボーナス(の制度そのもの)がない」が、相当な割合で存在していることが分かります。
また、みずほ総合研究所「2019年冬季ボーナス予測」によると、民間企業の1人当たり支給額の平均は381,904円と示されています。先の調査とだいぶ違いがあります。
「96万円は高過ぎる」のコメントが、自身の支給額との比較なのか、会計のお仕事をされている方が自社平均との差で思うのか、その背景は定かではありませんが、「大企業と中小企業」の差があることは示唆できます。
公務員からフリーランスまで働き方の選択肢が増えた昨今、各種「差」が広がりつつある中での、「ボーナスの差」もその一つに含まれていることは、言うまでもないでしょう。
ボーナスを使うときに気をつけておきたい3つのポイント
金額の多少はともかく、もらえればうれしいボーナス。でも、いきなり大金が入ったからといって、使いすぎには要注意です。使う前には、以下の3点を踏まえていただきたいと思います。
① 借入の返済をする場合は、高金利のモノを優先する
借入(いわゆる借金)について、もし年利10%を超えるようなものがあるならば、確実に返済を優先しましょう。また、下の③でも紹介しますが、予備資金が全くない状態であれば、ボーナスの一部は生活資金の口座とは別の口座に移して、それ以外を返済に充てるようにすることをオススメします。
② 低金利の住宅ローンなどは、繰り上げ返済が本当に必要か考える
よく、ボーナスを住宅ローンの繰り上げ返済に充てる、と聞きますが、これは金利が高かったころの話です。退職金程度のまとまった金額で一気に返済するというならばよいのですが、50万円~100万円程度を繰り上げ返済しても、利息の押し下げ効果はそれほど高くならない場合もあります。
③ 生活に使う銀行口座以外の場所に、予備資金としていくらか残しておく
予備資金が全くない場合、キャッシュフローに行き詰ると高金利の借入をするケースが考えられます。「借入が癖づく行動」を避けるためにも、自身で計画的に予備資金を準備しておくことをオススメします。
ポイントは、手の届きにくい「生活口座以外」に置いておくこと。ボーナスの一部を生活口座以外のところに預け、手をつけないようにすることが大切です。
①〜③の順にお金を振り分けて、それでも余る場合は、人生を楽しむために有益に使いましょう。
せっかくのボーナスです。「浪費」ではなく、「意義のある消費」もしくは「投資」に使えるよう、マネーリテラシーを向上させていきましょう。
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佐々木 愛子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種
国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中心に500世帯以上と契約を結ぶ。FPとして10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動中。

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