19/11/22
人はなぜお金を欲しがるのか。本当の理由はただ一つ
ファイナンシャルプランナー、ファイナンシャルアドバイザーなど、肩書はどうであれ、お金に携わる仕事をしている立場にいると、時に「お金とは何か」という事を考えさせられる場面があります。
今回は、少し哲学的な話になりますが、「人はなぜお金を欲しがるのか」というテーマで考えてみたいと思います。
欲しいものがなくても「お金が欲しい」と思うのは何故か
「人はなぜお金を欲しがるのか」という疑問に対する多くの人の答えは、まず「欲しいものを買いたいから」「住宅ローンなどの借入金から解放されたいから」といった、とても現実的なものではないかと思います。
では、仮に特段欲しいものがなかったとしても、そのような借入金がなかったとしても、人は同じ事を思うのでしょうか？
筆者が思う結論は、「Yes」です。少なくとも、現代の資本主義社会が続く以上、多くの人の答えはYesになると思います。
人がお金を欲しがる3つの理由
人がお金を欲しがる理由は、大きく3つに分けることができると思います。
●人がお金を欲しがる3つの理由①：選択の自由を得たいから
一つ目は「選択の自由」を得たいからです。
もしお金があれば、人はよりよいもの、高級なものを選択することができます。
例えば、旅先で素敵なホテルに泊まりたい、飛行機でビジネスクラスに乗りたい、高級レストランでより良いサービスを受けたい、などという具合です。これは誰しもが思うことで、特別なことではないでしょう。
このなかには「他者と比較して優位に立ちたい」という願望も含まれています。世の中、上には上があるもので、飛行機のサービスレベルが仮にすべてビジネスクラスだったとしても、そこで満足する人もいれば、「より良いサービスを味わいたい」と、ファーストクラスを求める人もいるのです。
それは好奇心かもしれませんし、「トップクラスのサービスでなければ嫌だ」という願望かもしれません。とはいえ、どちらだったとしても、こうした気持ちが出てくるのは、それ以下のレベルの比較対象があるからに他なりません。
●人がお金を欲しがる3つの理由②：時間の自由を得たいから
二つ目は「時間の自由」を得たいからです。
もしお金があれば、人は時間に縛られることがなくなります。
仮に毎月の給料と同じ額のお金が、今後自動的に入ってくる仕組みが成り立ったとしたら、みなさんは今の仕事を続けますか？
「好きだから続ける」という人も、「即刻退職したい」という人もいるでしょう。
俗にタイムイズマネーと言いますが、お金があっても時間はさかのぼって買うことはできません。しかし、生活できるだけの潤沢なお金があるのに「生計維持のための仕事＝やりたくないこと・苦痛なこと」をやる人は少ないでしょう。
お金があれば、強要・強制から解放され、自由な時間を得ることができます。自由な時間に何かをしたい、というわけでなくても、望んでいないことに時間を費やすことは避けたい、という願望はあるはずです。
●人がお金を欲しがる3つの理由③：確固たる目的を達成したいから
そして三つ目は「確固たる目的」を達成したいからです。しかし、これはレアなケースです。
新しい発明や発見のために研究費がどうしても数千万円必要だとか、自分でロケットを作って宇宙へ行きたいから数億円が必要だとかいう具合に、目的を明確に持ち、達成したいと考えている人は、筆者が知る限り、非常にまれです。
本来の意味でお金が欲しいというのは、すべてこういった目的があっての気持ちのはずですが、多くの人が、漠然と「お金が欲しい」「お金さえあれば、おおよその問題や心配は解決する」と思っているものではないでしょうか。
お金が欲しい本当の理由はただ一つ
お金は魔法の小づちでも、アラジンのランプでもありません。
お金はあくまでも「価値と価値の交換の為の道具」であり、「お金が欲しい」は「〇〇を買いたいから（したいから）欲しい」の意味を簡略化した表現であるはずです。
突然、確固たる目的もなく大金が手に入ったとします。そうすれば、上で紹介した「選択の自由」や「時間の自由」を得ることはできるでしょう。しかし、そうできたとしても、継続してその後、「満足感」や「幸福感」が得られるかどうかを考えると、疑問が残ります。
お金をじーっと眺めても心が豊かになるわけではありませんし、触って気持ちがよかったりするわけでもありません。お金は目的を達成するための「手段」ですから、大金が手に入っただけでは、満足感や幸福感は続かないでしょう。
確かに、上の理由①や②では、一瞬その背景にある「自由への切符」を手に入れることで、満足感や幸福感を得られるかもしれません。しかし、その後の「自由」の中で、明確な目標や生きがいがなければ、お金はただの紙と化すでしょう。
お金が、それも大金が必要になるのは、絶対に③のケース。つまり確固たる目的を達成するためでしょう。そうした目的がないのに、ただ漠然と「お金が欲しい」と感じる心は「幻想である」と、筆者は考えます。
みなさんが実現したい「確固たる目的」は、なんですか。
自分なりの答えを探してみてください。
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佐々木 愛子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種
国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中心に500世帯以上と契約を結ぶ。FPとして10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動中。
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