18/07/27
国民年金の未納分 今から支払うと受給金額はいくら上がる?
65歳から受取れる「老齢基礎年金」は、保険料を払った期間と単純に比例しています。保険料を納めていない期間は「未納期間」となって、その期間分満額より年金が減ってしまいます。
今回は、過去の未納保険料を今から払える「後納制度」を活用すると、いくら年金が増えるかについて説明します。
未納分を後から払える後納制度
国民年金保険料は1カ月あたり1万6340円(2018年度)。支払義務があるので、過去2年以内に保険料の未納があれば督促などを受けることとなります。
それ以前の未納保険料は、基本的には払うことができません。しかし、過去5年以内の未納保険料を納めることができるのが、「後納制度」なのです。
後納することによって、将来の年金受給金額を上げることができますし、納付済期間を増やすことにもなるので、10年間の納付済期間に満たない人が後納によって、年金を受け取れることもあります。
未納分を支払って受給金額を上げる
老齢基礎年金額の計算式は、以下のようになっています。
満額の老齢基礎年金×{保険料納付済の月数÷480(20~60歳の40年間の月数)}
例えば、40年間払わなければいけない保険料を20年間しか払っていない(=納付済月数が240カ月)とすると、受け取る老齢基礎年金は、77万9300円×(240÷480)=38万9650円 となります。(2018年度)
なので、過去5年以内に30カ月分の保険料未納があり、それを後納制度を使って全額納めたとすると、77万9300円×(30÷480)=4万8706円 となり、年間4万8700円ほど年金が増えることになります。
これは、1カ月分の保険料を納付することで、年金が1624円ほど増額するということ。
老齢年金は一生受け取ることができるので、生涯の収入源が増える安心は大きいですね。
5年さかのぼれるのは2018年9月30日まで
後納は、いきなり保険料を払えばいいというものではなく、事前の手続きが必要となります。その手続きの期限が2018年9月30日までです。30日が日曜日なので、9月28日金曜日までに年金事務所で手続きをしないといけません。
なお、後納制度は、後納できる期間のうち古い月の分から納める必要があり、納付が遅れたことによる加算がつきます。
過去の国民年金保険料と加算額は次の表となります。
日本年金機構 後納制度のリーフレットより抜粋
7月中であれば、2013年7月分以降を納付できます。
後納制度によって過去2年より前の未納保険料を払ったとしても、過去2年以内の保険料が未納として残っていれば、やはり支払督促が変わらず届きます。本来納付が優先されるのは、2年以内の未納保険料ですので注意してください。
まとめ
老齢年金は生きている限り一生受け取ることができます。人生100年時代の今、なるべく多く確保しておくべきお金です。
転職時、次の会社に勤めるまでに1カ月以上空いている期間がある人は、自分が知らない間に未納が発生している可能性もあります。後納制度を利用して年金を増額させましょう。
後納制度の受け付けは2018年9月30日、実質は9月28日で終わる予定です。
急いで年金事務所で手続きをしてください。
小野 みゆき
中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP・1級DCプランナー・年金マスター
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社勤務を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆、家計・年金・労務相談などを中心に活躍中。FP Cafe登録パートナー
記事提供:moneliy
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moneliy マネリー
「すべての女性を笑顔にする、マネーケア。」
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