20/11/02
学校の先生の給料ってどれくらい? 一般企業と比べて高いは本当か
世の中の職業は多種多様にありますが、「先生」と呼ばれる仕事には、一般的に給料がいいイメージがあります。特に子どもの頃から馴染みのある、学校の先生の給料は、どのくらいの金額なのか興味深いところです。
今回は、各種データから学校の先生の給料について見ていきたいと思います。
小学校の平均給料は33万6200円
文部科学省の学校教員統計調査は、3年ごとに学校教員についての様々なデータを公表しています。直近の2016年度調査によれば、小学校の平均給与月額は、33万6200円でした。内訳は、国立が33万4400円、公立が33万6100円と平均を下回っていて、私立が34万8900円と高くなっています。
●小学校の平均給料(2016年度)
文部科学省「学校教員統計調査(2016年)」より筆者作成
ただし、給料は役職によっても大きく違います。校長は45万1300円、指導教諭は41万3400円ですが、教諭は32万2300円です。そして、教員が産休・育休や病気・介護休暇に入った際に代わりに入る代替教員では、25万6700円です。
●小学校の平均給料(役職別、2016年度)
文部科学省「学校教員統計調査(2016年)」より筆者作成
学校の先生の仕事は通常の授業だけではなく、運動会や遠足などの行事、生活指導など多岐にわたっています。やりがいのある仕事ですが、土日や時間外の業務も少なくないため、大変なお仕事だと思います。
中学校の平均給料は34万6000円
続けて中学校を見てみましょう。中学校の平均給料は34万6000円でした。そのうち、国立は34万2800円、公立は34万4200円です。私立は37万2000円ですから、中学校でも私立のほうが国公立よりも給料が高い傾向にあることがわかります。
●中学校の平均給料(2016年度)
文部科学省「学校教員統計調査(2016年)」より筆者作成
そして小学校と同様、役職によって給料に差が出ます。校長は45万1500円、指導教諭は42万3100円、教諭は33万3900円、代替教員は23万8900円です。
●中学校の平均給料(役職別、2016年度)
文部科学省「学校教員統計調査(2016年)」より筆者作成
指導教諭とは、子ども達の教育のほか、一般の教諭や職員に対していろいろと指導・助言する先生のことで、いわば先生の先生。一般の教諭よりも給料が高いのもうなずけますが、学校によって指導教諭という役職を置いているところと、置いていないところがあります。
一方、校長と教諭は必ず置くとされています。
高等学校の平均給料は36万2900円
高等学校の平均給料は、小中学校と異なる傾向があります。平均給料は36万2900円ですが、国立は35万6300円、公立は36万3500円、私立は36万1400円と、私立の給料が国公立よりも少ないというデータになっています。
●高等学校の平均給料(2016年度)
文部科学省「学校教員統計調査(2016年)」より筆者作成
しかし、私立の給料は地域によって大きく差があります。東京、神奈川、埼玉、愛知、京都、大阪、兵庫では公立よりも私立のほうが給料が高いのですが、その他の地域では公立のほうが高いのです。
少子化、過疎化などの問題は地方のほうが深刻と言われていますが、先生の給料にも影響しているのかもしれません。
役職による給料の違いは以下のとおり、校長は48万9600円、指導教諭は43万800円、教諭は36万2200円、代替教員は23万9200円です。
●高等学校の平均給料(役職別、2016年度)
文部科学省「学校教員統計調査(2016年)」より筆者作成
学校の先生の給料はやっぱり高い?!
では、一般的な企業に勤めている人との給料と比べたら、学校の先生の給料は高いのでしょうか。厚生労働省の賃金構造基本統計調査の結果によれば、2016年の一般労働者の平均賃金は、30万4000円でした。
●一般企業の賃金と、学校の先生の給料
文部科学省「学校教員統計調査(2016年)」、厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2017年)」より筆者作成
やはり、学校の先生の給料は高いようです。また、長く働ける仕事ですし、国公立なら公務員ですから安定もしています。そのため、広く人気の職業になっているのでしょう。
一般企業での勤務経験のあと、教員採用試験を受けて学校の先生になる人もいます。近年は、多様な経験を持っている先生が望まれている背景もあり、社会人でも教員への転職はしやすくなっているようです。
しかしその反面、教員同士や保護者との人間関係に気苦労が多かったり、部活動指導のため土日勤務が多かったりと、決して楽な仕事ではありません。また、病気(精神疾患含む)による離職者が一定数いることも見過ごせないでしょう。
仕事を選ぶには給料は大切ですが、自分に合った働き方ができるかどうかも大切です。
バランスをとった仕事選びをしていきたいですね。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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