20/10/17
年収1000万円、2000万円、3000万円の手取り額はどれくらい違うのか
年収1000万円以上は、かなり高収入のイメージでしょう。しかし、収入が増えると払う税金や社会保険料も増え、思ったほど手元に残らないのが現実です。今回は、年収1000万円、2000万円、3000万円の場合、それぞれ手取り額がどのくらいかになるかを説明します。
年収1000万円の手取り額は?
税金や社会保険料は、住んでいる地域や家族構成によって変わってきます。東京都・独身の会社員の場合で考えると、年収1000万円の手取り額は次のようになります。
表からわかるように、年収1000万円でも税金と社会保険料で3割近くが持って行かれます。手取り722万8772円を単純に12で割ると約60万円。実際にはボーナスがあるので毎月の手取りはこれよりも少なくなるでしょう。となると、年収1000万円ではさほど贅沢はできない気がします。
所得が上がると所得税の税率も上がるので、税金の負担はどんどん大きくなります。なお、2020年度からは基礎控除の引き上げと給与所得控除の引き下げが行われます。年収850万円以下の人はプラスマイナスゼロで影響ありませんが、年収850万円を超える人は従来よりも税金が増えます。所得1000万円(年収1220万円)を超えると配偶者がいる場合にも配偶者特別控除が受けられないというデメリットもあります。
年収1000万円以上になると、子供がいても、ほとんどのケースで児童手当の所得制限に引っかかります。たくさんお金を稼いでいるという実感よりも、税金が増えることや優遇が受けられないことのデメリットを強く感じるかもしれません。
年収2000万円の手取り額は?
続いて、年収2000万円です。東京都・独身・年収2000万円の手取り額は、次のようになっています。
年収1000万円の2倍の年収ですが、所得税は4倍以上に膨らんでいることがわかります。結果、手取り額も大きく減って約1300万円、月収にすると約108万円です。
なお、会社員であっても年収2000万円を超えると年末調整ができません。自分で確定申告しなければならない手間も発生します。
年収3000万円の手取り額は?
年収2000万円ではかなり税金の負担が大きくなることがわかりました。では、年収3000万円ではどうでしょうか?東京都・独身・年収3000万円の手取り額は、次のとおりです。
ご覧のとおり、所得税と住民税だけで1000万円以上になります。社会保険料については上限があるため年収2000万円のときとそれほど変わりません。年収3000万円でも手取りは2000万円に届かず、1か月の手取りは約148万円です。
なお、合計所得金額が2400万円を超えると48万円の基礎控除が段階的に減り、2500万円を超えるとなくなります。さらに、所得3000万円(年収3220万円)を超えると、住宅ローン控除が受けられなくなるというデメリットもあります。ますます税金面の負担を感じることになるでしょう。
まとめ
年収1000万円を超えると、年収が2倍、3倍に増えても、手取りはそれほど増えません。毎月の生活に困ることはないと思いますが、油断して贅沢していると貯蓄ができなくなる可能性もあります。たとえば、iDeCoを利用して老後資金を貯めれば節税にもなり一石二鳥です。年収が上がったら、それまで以上に貯蓄と節税を意識しておきましょう。
【関連記事もチェック】
・手取り25万円、30万円、35万円の理想の支出割合
・老後の明暗を分ける「211万円の壁」 1万円でも超えると手取りは6万円減る
・9月から厚生年金保険料増額 手取りが減るのはどんな人?
・貯蓄型保険を解約・減額してでもつみたてNISA・iDeCoを始めるべきか
・手取り40万円4人家族、子どもの教育費が毎月7万5000円は高い?
森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう