20/11/14
収入がないのに住民税がかかるのはナゼ? 住民税がかかる4つのケースと対策
働いておらず収入がないときでも、役所から住民税の納税通知書が送られてくることがあります。収入がないのに、なぜ税金を払わないといけないのか納得がいかない人もいるでしょう。今回は、無職でも住民税がかかる理由について説明します。住民税のしくみを理解しておき、納税通知書が来てから慌てることのないようにしましょう。
今年の住民税は昨年の所得で計算される
住民税は自治体(都道府県、市町村、特別区)から住民に対して課税される税金で、所得が一定額以上になれば納税義務が生じます。住民税の計算は、前年度の所得にもとづき行います。前年度の所得は、会社を通じて、もしくは確定申告により税務署に申告しているはずです。自治体では税務署に申告された納税者の前年度の所得を見て、今年度の住民税額を決定します。
住民税の納税方法には、特別徴収と普通徴収の2種類があります。会社等に勤めている人は特別徴収となり、会社等が自治体から通知を受けた税額を本人の給与から天引きして納税します。特別徴収できない人は普通徴収となり、自治体から直接納税通知書が届くことになります。
住民税がかかる4つのケース
住民税は前年度の所得にかかるものですから、収入がない年に住民税の負担が発生することもあります。住民税がかかっていても給与からの天引きで払うケースが多いので、納税通知書が届くと慌てる人が多いのです。住民税がかかって慌てるのは具体的にどのようなケースなのかを見てみましょう。
●(1) 会社を退職したとき
去年働いていたけれど退職し、現在は働いていないという場合です。たとえ失業中であっても、昨年度それなりの年収があったのなら、今年度住民税を納税しなければなりません。
退職時に退職金をもらっていれば、退職金にも所得税・住民税がかかります。退職所得は給与所得など他の所得とは分離して課税され、税額の計算上優遇されています。しかし、退職金をもらった翌年は住民税も上がることを認識しておかないと、慌てることになります。
なお、退職後失業期間を経て転職先が決まった場合、特別徴収を継続することができません。転職した初年度分は普通徴収により自分で住民税を納税しなければならないことにも注意しておきましょう。
●(2) 不動産を売却したとき
無職の人でも不動産を売却すると、住民税がかかることがあります。不動産を売却して利益が発生している場合、譲渡所得として所得税・住民税がかかります(譲渡所得税)。所得税については売却の翌年の3月15日までに確定申告して納税しますが、住民税については売却の翌年の6月以降に納税しなければなりません。所得税を払っただけで終わりと思っていると、住民税の納税通知書を受け取って慌てることになります。
●(3)アルバイトを掛け持ちしたとき
独身でアルバイトをしている人の場合、通常は年収100万円を超えない限り、住民税の課税対象にはなりません。学生アルバイトなら、住民税がかかるケースは少ないでしょう。しかし、アルバイトをいくつか掛け持ちしていると、いつの間にか年収が増えていて、住民税の課税対象になっていることがあります。
●(4)働いていた人が亡くなったとき
住民税はその年の1月1日に居住している自治体から課税されます。前年に課税対象となる所得があり、かつ今年の1月1日に生存していた人であれば、既に亡くなっていても住民税の納税義務者となります。
住民税の納税義務者が死亡している場合、相続人が納税義務を引き継ぎます。既に納税通知書が届いていれば、相続人がそのまま納税します。納税通知書が届いていない場合には、相続人の代表者を役所に届出し、相続人の代表者宛に納税通知書を送ってもらわなければなりません。
住民税が払えない場合の対処法は?
ここまで説明したとおり、たとえ収入がなくても、住民税を払わなければならないことはあります。所得があった翌年には住民税がかかるということを認識しておき、納税資金を準備しておきましょう。
なお、普通徴収では通常1年分を4回に分けて納税しますが、支払回数を増やして1回あたりの支払額を少なくしてもらえることがあります。また、予期せぬ失業などの事情によりどうしても払えない場合には、減免の措置が受けられることもあります。住民税が払えないときにはそのままにしないで、役所に相談するようにしましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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