18/09/10
会社員なら知っておくべき「特定支出控除」による節税
この記事は2016年7月に出版された『税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法』(河出書房新社)からの内容を抜粋したものになります。
※以下、書籍より抜粋
特定支出控除を活用して税金を取り戻す
サラリーマンなどの給与所得者の所得税額は、先に述べたとおり、年収から「給与所得控除」や「所得控除」を差し引いた額に税率を掛けて算出されます。
給与所得控除とは、会社員に一律で認められている〝みなし経費〟のようなもので、収入の金額によって決められています。
たとえば、年収500万円の人であれば、給与所得控除額は154万円(500万円×20%+54万円)になります。この154万円が「経費」の金額にあたるわけです。
加えて、自分で支払った仕事関連の費用を「経費」として収入から差し引くことができる「特定支出控除」というものがあります。
これまでも、特定支出として、転勤にともなう転居費、資格取得費、研修費などが認められていましたが、いずれも利用できる範囲と条件が厳しく、ほとんど活用されていませんでした。
しかし、2013年(平成25)分以後は、「資格取得費」「図書費」「衣服費」「交際費」など範囲が広がり、活用しやすくなっています。
さらに、適用できる基準額も引き下げられています。従来は、給与所得控除額が基準とされ、その額を超えた金額の部分が特定支出控除の対象でしたが、2016年(平成28)から「給与所得控除額の2分の1」を超えれば、対象になります。
たとえば、年収500万円の人であれば、給与所得控除額は154万円なので、その半額の77万円を超えれば利用できるというわけです。
仮に特定支出が120万円だった場合には、77万円-120万円=マイナス43万円、つまり、43万円の特定支出控除が受けられるということになります。
特定支出控除を活用するには、確定申告をしなければなりません。また、申告の際は「特定支出に関する証明書」「領収書やレシート」「会社など給与支払者の証明書」「給与所得の源泉徴収票」などが必要です。
資格取得のために購入した書籍、仕事用の衣服など、特定支出控除の対象になりそうな買い物をした場合には、領収書をしっかり保管しておきましょう。
『税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法』頼藤太希・高山一恵 著
多くの人にとって、税金は「納めている」とか「払わされている」というイメージが強く、「税金を減らして、お金を貯める」イメージは、なかなか湧きにくいもの。
「自分で支払った税金を取り戻す、または支払う予定の税金を少なくする」
たったこれだけのシンプルなことを行なうだけで、何百万円ものお金が貯まる。
本書では、税金を味方につけることでお金を増やす、目からウロコの運用術をわかりやすく解説。
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
高山 一恵 ファイナンシャルプランナー
(株)Money&You取締役。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』『Mocha(モカ)』や登録者1万9000人超のYouTubeチャンネル『Money&YouTV』を運営すると同時に、全国で講演活動、執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『マンガと図解 定年前後のお金の教科書』(宝島社)、『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)など書籍100冊、累計170万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue
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