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24/10/05

相続・税金・年金

【申請しないと大損】60歳以降の手取りを最大化する「手当&給付金」9つの手続き

【申請しないと大損】60歳以降の手取りを最大化する「手当&給付金」9つの手続き

定年前後にはお金に関わる手続きがたくさんあります。そして中には、知っているか知らないか、手続きするかしないかでもらえるお金が大きく変わってきてしまう手続きもあります。今回は、60歳以降の手取りを最大化する手当&給付金に関する9つの手続きを一挙紹介します。

退職金の税金・社会保険料の取り扱いを確認

退職金の受け取り方には「一時金」「年金」「一時金&年金」の3通りがあります。

●一括でまとめて受け取る「一時金」

一時金受け取りは、一括でまとめて退職金を受け取る方法です。毎月の給与は「給与所得」として、所得税や住民税が課税されますが、退職金を一時金として一括で受け取るときには給与所得でなく「退職所得」として所得税や住民税が課税されます。退職所得は分離課税となり、他の所得とは区別して課税されます。

<一時金の場合の税金・社会保険料>

(株)Money&You作成

退職所得には、退職金にかかる所得税や住民税を大きく減らす「退職所得控除」という控除が利用できます。退職所得控除が退職金よりも多い場合には、税金はかかりません。
退職所得控除の金額は勤続年数が20年以下か20年超かで計算式が変わります。20年を超えて勤務した場合の計算式は800万円+70万円×(勤続年数-20年)。この勤続年数には、長期間欠勤した期間や病気で休職していた期間も含むことができます。

さらに、勤続年数に年未満の端数がある場合は、勤続年数は切り上げになります。たとえば30年と1日で退職なら「31年」となります。

また、退職金が退職所得控除より多い場合には、退職金から退職所得控除の金額を引き、さらに2分の1をかけた金額が退職所得となります。この退職所得に所定の税率をかけ、控除額を差し引くことで、所得税や住民税の金額が算出されます。
なお、退職金を一時金で受け取った場合は、社会保険料の負担はありません。

●分割で少しずつ受け取る「年金」

年金受け取りは、会社に退職金を運用してもらいながら、10年、15年などと、一定の年数をかけて少しずつ退職金を受け取る方法です。退職金を年金として受け取ると「雑所得」の扱いになり、他の所得と合わせての総合課税になります。

<年金の場合の税金・社会保険料>

(株)Money&You作成

公的年金等の雑所得は、毎年の公的年金などの収入を合算した金額から「公的年金等控除」という控除を差し引いて計算します。公的年金等控除の金額は、年金などの収入の合計額や年齢(65歳未満・65歳以上)によって変わります。
雑所得に所定の税率をかけ、控除額を差し引くことで、所得税や住民税の金額が算出されます。なお、一時金のような退職所得控除は利用できません。

年金の場合の社会保険料は、加入する社会保険によって変わります。60歳以降も再雇用で働くといった場合には会社の社会保険に加入します。この場合、社会保険料は給与に基づいて計算されるため、一時金の場合と同様に影響はありません。
仕事を引退した場合には国民健康保険に加入することになります。この場合、雑所得を含めた所得で保険料を計算するため、毎年の年金額が保険料に影響します。年金額が大きいと保険料が増えてしまうことに注意が必要です。

なお、「一時金&年金」という具合に、一時金と年金を併用することもできます。一時金と年金を併用すると、一時金の部分には退職所得控除、年金の部分には公的年金等控除を適用します。

定年前後の手続き①:退職日を1日遅らせるだけで70万円も受取額が増える

退職所得控除の計算に用いる勤続年数に年未満の端数がある場合は切り上げになることを紹介しました。30年と1日で退職なら「31年」となります。

たとえば、30歳で中途入社し、65歳の誕生日まで勤めたとしましょう。このとき、退職所得控除は
・勤続年数が35年の場合…800万円+70万円×(35年−20年)=1850万円
・勤続年数が35年と1日の場合…800万円+70万円×(36年−20年)=1920万円
となります。「1日」のおかげで勤続年数が1年増え、70万円の差が生じるのですから、大きな差になることを認識しておきましょう。この差によって手取りが変わるなら、会社と退職日を交渉するとよいでしょう。

定年前後の手続き②:退職金は「一時金」受け取り優先すると受取額が増える

退職金は「一時金」「年金」「一時金&年金」のどの方法で受け取るのがよいでしょうか。ひとつ試算を紹介します。

●前提条件

・東京都文京区在住、38年間勤続で退職金は2,000万円
・60歳から64歳までは年収300万円で勤務、協会けんぽに加入
・退職年金は10年間で受け取る(予定利率1.5%)
・所得控除は基礎控除、社会保険料控除、所得金額調整控除のみ

<退職金の受け取り方による手取り額の違い>

著書「マンガと図解 定年前後のお金の強化書」(宝島社)より

退職金の額面がもっとも多くなるのは年金の場合です。年金受け取りの場合は、まだ受け取っていないお金を会社が運用してくれる(今回の例では、予定利率1.5%)ためです。しかし、税金・社会保険料が多い分手取りはもっとも少なくなっています。
手取りがもっとも多いのは一時金受け取りです。退職所得控除によって、税金・社会保険料を大きく減らせている影響が大きくなっています。
お住まいの地域により細かな数字は変わりますので、あくまで参考までですが、多少金額は違っても一時金受け取りが有利になるでしょう。

以上をまとめると
・退職金が退職所得控除より少ない→「一時金」
・退職金が退職所得控除より多い→「一時金+年金」
・無駄遣いしそう→「年金」
がおすすめです。

退職金の額が退職所得控除より少ないならば、一時金を選べば税金はかかりません。反対に退職金が退職所得控除より多いならば、退職所得控除を少しオーバーするまでは一時金で受け取り、残りは年金で受け取る「一時金+年金」を利用すれば、退職所得控除も公的年金等控除も活用できます。
また、まとまったお金があると無駄遣いしてしまいそうなら、年金がおすすめです。年金ならば毎年一定額ずつ振り込まれるので無駄遣いもしにくく、お金の使い道も決めやすくなります。

定年前後の手続き③:再雇用・再就職をする際、給与の一部を退職金に回す

60歳を迎えた後、再雇用・再就職するときは、雇用契約を新しく結ぶことになります。この際、給与の一部を退職金に回し、退職時に退職一時金として後払いしてもらえば、税金や社会保険料を節約できることがあります。

これは、退職時に退職所得控除を生かして退職金を受け取れるからです。60歳の退職金を 受け取る時に退職所得控除を活用していても、5年以上空けて退職金を受け取れば、60 歳以降の勤続年数に基づいた退職所得控除が活用できます。会社にとっても社会保険料を減らせるメリットがあるので、対応してくれるところが多い傾向にあります。

<給与の一部を退職金に回して節税する>

著書「マンガと図解 定年前後のお金の強化書」(宝島社)より

図のような、年収300万円と年収240万円+退職金300万円の場合、約71万円の節税効果があることがわかります。税金や社会保険料は給与が多くなるほど高くなるため、毎月の給与の一部を退職時に回すことで給与を抑え、毎月の税金や社会保険料の負担を減らせるのです。毎月の給与を減らして最終的な手取りを増やす逆転の発想です。

ただし、厚生年金保険料の納付額も少なくなるため、将来もらえる厚生年金額も減る(この例では年2万円減る計算)点には注意が必要です。

定年前後の手続き④:在職中に退職金を「前払いで受け取る」

会社と金銭消費貸借契約(将来返す前提でお金を借りる契約)を結ぶことで、会社が退職金を前払いしてくれる「退職金の前払い制度」がある会社もあります。前払いした退職金は将来、本来の退職金で相殺することで、退職金の一部が課税対象にならなくなります。

社員には、生活に困ってもお金が借りられて助かるメリットがあります。また会社も、お金を貸して返してもらうだけなので税金が発生せず、節税につながるうえ、社員を助けられるという面でもメリットが得られます。対応してくれる会社があれば、検討の余地があるでしょう。

定年前後の手続き⑤:再雇用・再就職時の収入ダウンをカバーする給付金

定年後の再雇用や再就職によって収入が減ってしまった場合、それを補う給付金に「高年齢雇用継続給付」があります。高年齢雇用継続給付には、「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2つがあります。

<2つの高年齢雇用継続給付>

(株)Money&You作成

高年齢雇用継続基本給付金は同じ会社に再雇用された場合の給付金で、失業給付(雇用保険の基本手当)を受け取らずに働き続けた人が対象。対する高年齢再就職給付金は、失業給付の受給日数を100日以上残して再就職した場合の給付金です。

給付される金額は、給与の低下率で変わります。どちらも、60歳以降の給料が60歳時点の75%未満になったときに最大で60歳以降の賃金の15%の給付金が受け取れます(賃金の低下率に応じて支給額も変わります)。

たとえば、60歳時点の賃金が月30万円の人が、再雇用によって月18万円になった場合、賃金の低下率は60%ですので、高年齢雇用継続基本給付金が2万7000円もらえます。

ただし、受け取りには条件があります。2024年8月以降の場合、賃金が37万6750円以上ある場合や、給付額が2295円に満たない場合は受け取れません(支給限度額・最低限度額は毎年8月に更新)。
さらに、特別支給の老齢厚生年金(1961年4月1日以前に生まれた男性、1966年4月1日以前に生まれた女性が受け取れる年金)の受給者が高年齢雇用継続基本給付金も受け取る場合、特別支給の年金額が一部減額されます。

特別支給の年金の減少額よりも、厚生年金に加入して増えた年金のほうが多いケースもあるため、多少の減額に目をつぶって働くという選択も可能です。

なお、高年齢雇用継続給付は自分で申請する必要がありますので、忘れないように注意しましょう。

定年前後の手続き⑥:在職定時改定で年金額を増やす

在職定時改定は、老齢厚生年金受給者であり、なおかつ厚生年金に加入している(働いている)人の年金額を毎年10月に改定し、これまで納めた保険料を年金に反映させる制度です。つまり、年金をもらいながらでも働けば、働いて年金を納めた分だけ年金額をすぐに増やすことができるのです。
たとえば、65歳以降に月20万円で厚生年金に加入して1年間働いた場合、年金額が年間で1万3000円増えます。

年収と厚生年金加入期間から、年金額がいくら増えるかの目安がわかる早見表は次のとおりです。

<年間で増える厚生年金の金額の目安>

著書「大きな文字でとにかくわかりやすい 定年後ずっと困らないお金の話」
(大和書房)より

縦軸が60歳以降の年収、横軸が厚生年金加入期間です。
年収が高く、厚生年金加入期間が長くなるほど増える年金額も増加します。

今後は、高年齢者雇用安定法の施行によって70歳まで継続して働き続ける人はさらに増えるでしょう。65歳以降も働くことを検討している人は、在職定時改定で年金額が増えることを考慮して判断をするとよいでしょう。

定年前後の手続き⑦:失業給付を最大化するなら、64歳11カ月で退職

退職後に新たに仕事を探すときに役立つのが失業給付と高年齢求職者給付金です。64歳までは失業給付、65歳以降は高年齢求職者給付金がもらえます。

<失業給付と高年齢求職者給付金>

(株)Money&You作成

もらえる金額は、退職前6か月の賃金合計を180で割った「賃金日額」に、所定の給付率をかけた金額(基本手当日額)です。ただ、失業給付と高年齢求職者給付金ではもらえる日数が違います。失業給付は90日〜150日分なのに対し、高年齢求職者給付金の場合は30日または50日です。
そのため、失業給付を最大化したいならば、65歳未満で退職すればいいのですが、同時に特別支給の老齢厚生年金をもらう場合、年金が停止されてしまいます。

年金ももらいたいし失業給付ももらいたいという場合は、65歳直前の「64歳11か月」で退職しましょう。そうすれば、退職後に失業給付も受け取れ、65歳からの老齢年金も減額されずに受け取れます。

ただ、この方法は「失業給付の最大化」です。会社によっては65歳より前に退職することで退職金や賞与が少なくなる場合もあるので、事前に確認しましょう。

定年前後の手続き⑧:公共職業訓練で失業給付が延長される

再就職のためにスキルアップしたい場合に役立つのが職業訓練です。失業給付を受給している人は、公共職業訓練を受けることができます。 公共職業訓練の訓練コースは電気・ウェブデザイン・医療事務・介護などさまざまあります。受講期間はおおむね3カ月から2年となっています。受講料は無料(別途教材費など、実費負担あり)。自費で専門学校に通うより費用負担が少なくて済みます。

公共職業訓練の受講中に失業給付の受給期間が終了しても、公共職業訓練を受けている間は、その訓練終了日まで失業給付の支給が延長されます。

たとえば、失業給付の日額5000円を240日受け取れる場合、公共職業訓練を受講しなかった場合は5000円×240日=120万円です。これを100日残して180日の公共職業訓練を受講した場合、5000円×(240日−100日+180日)=160万円となり、40万円も多くもらえるようになります。延長された日数分だけ、もらえる失業給付も増えますので、より安心して公共職業訓練を受けることができます。

そのうえ、
・受講手当(公共職業訓練を受けることでもらえる手当)…1日500円(上限2万円)
・通所手当(公共職業訓練施設への交通費)…最高4万2500円
・寄宿手当(公共職業訓練を受けるために家族と別居する場合に支給される手当)月額1万700円
ももらえます。

失業給付の延長を受けるには
・ハローワークで職業訓練の受講指示を受ける
・所定給付日数の原則2/3を終了する以前に受講開始する
・受講期間が2年以内のコースを受ける
・過去1年以内に公共職業訓練を受けていない
といった条件があります。

さらに、公共職業訓練を受講すれば、失業給付の給付制限期間(2〜3カ月)がなくなり、失業認定日にハローワークに足を運ぶ必要もなくなります。新たな仕事にチャレンジするなら、ぜひチェックしましょう。

定年前後の手続き⑨:マルチジョブホルダー制度で雇用保険に加入

複数の事業所に勤務する65歳以上の労働者が雇用保険に加入できる制度に「マルチジョブホルダー制度」があります。「65歳以降は複数の職場で働きたい」「65歳以降も雇用保険に加入したい」という人におすすめの制度です。

かつては、雇用保険に加入するには、主に働いている勤め先で「1週間の所定労働時間が20時間以上」「31日以上の雇用見込み」がある必要がありました。

マルチジョブホルダー制度では、
・65歳以上で、2つ以上の事業所に雇用されている
・複数の事業所での1週間の所定労働時間が合計20時間以上
・雇用見込みが31日以上
の条件を満たしていれば、雇用保険に加入できるようになっています。

複数の事業所で働く人でも合算することで雇用保険に加入しやすくなります。また、一定の要件を満たせば、失業後には高年齢求職者給付金の受け取りができるようになります。
なお、マルチジョブホルダー制度の利用手続きは労働者本人がハローワークに「雇用被保険者資格取得届」を提出して行います。

定年前後の「手当&給付金」に関わる9つの手続きを紹介してきました。いずれも、知っているか知らないかでお得度が全然違います。知らないと大損ですし、手続きしないと大損ですので、ぜひお得になるように活用していただければと考えます。

今回の内容は動画でも紹介しています。ぜひご覧ください。


頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

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