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24/09/01

相続・税金・年金

「申請し忘れで200万円以上損」する年金、受給するにはどんな手続きが必要なのか

「申請し忘れで200万円以上損」する年金、受給するにはどんな手続きが必要なのか

公的年金の中には、申請をしないともらえないものがあることをご存知でしょうか。もし申請を忘れると年間で数十万円、場合によっては200万円以上もの損失になることもあります。公的年金の必要な申請は、年金事務所から通知が来るのを待っていればいいのではなく、自ら積極的に申請する必要があるものもあるのです。今回は、申請し忘れが起こりやすい年金について詳しくご紹介します。

年金支給開始時に申請を忘れると大損…

年金受給開始時に申請し忘れると給付を逃してしまう年金の一つに「加給年金」があります。加給年金は、次の条件を全て満たす場合にもらえる年金です。

【加給年金を受け取るための条件】

・厚生年金の被保険者期間が20年以上であること。
・65歳未満の配偶者または18歳未満の子供がいること。
・配偶者や子供と生計を共にしていること。

加給年金は配偶者や子供がいる場合に支給される年金で「扶養手当」のような性質を持っていると捉えるとよいでしょう。
なお、加給年金の対象になる配偶者は、戸籍上の夫婦だけではありません。事実婚でも対象になります。しかし、配偶者の年収が850万円以上だと、そもそも加給年金は支給されません。

加給年金は、条件に該当しているからといって自動的に上乗せされるものではなく、自らの申請が必要です。申請を忘れていると、もらうことはできません。

5歳差夫婦の加給年金は総額200万円以上!

加給年金でもらえる年金額は、以下の表のように、配偶者と1人目・2人目の子については各23万4800円で、3人目以降の子は各7万8300円と決められています。なお、加給年金の金額は年度ごとに見直されて変わります。

<加給年金額(2024年度)>

日本年金機構のウェブサイトより

さらに、配偶者の加給年金の額には、老齢厚生年金を受けている人の生年月日に応じて、3万4700円~17万3300円の特別加算があります。

<加給年金の特別加算額(2024年度)>

日本年金機構のウェブサイトより

たとえば、被保険者が2024年時点で65歳、配偶者が60歳の夫婦の場合、23万4800円に17万3300円が加算され、年間40万8100円の加給年金がもらえることになります。加給年金は配偶者が65歳になるまでの5年間受け取れるので、もらえる加給年金は総額200万円を超えます。

なお、加給年金は、配偶者が65歳になり自分の年金をもらえるようになったら打ち切られます。このとき配偶者が老齢基礎年金を受けられる場合には、一定の基準により配偶者自身の老齢基礎年金の額に振替加算が上乗せされます。ただし、振替加算は、1966年(昭和41年)4月2日以後生まれの人からは加算されませんので注意しましょう。

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加給年金はどうやって申請する?

加給年金を申請する際に記入が必要な書類は「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」です。この書類は、日本年金機構の公式ホームページからダウンロードできます。
さらに、提出するときに以下の書類(原本)も添付します。

<加給年金の申請に添付する書類>

日本年金機構のウェブサイトより

以上の書類を持って、お近くの年金事務所、または街角の年金相談センターに提出すればOKです。

【加給年金の注意点】厚生年金を繰り下げるともらえない

加給年金をもらう際の注意点に「厚生年金を繰り下げ受給するともらえない」があります。

繰り下げ受給とは、65歳からもらえる年金をもらわず66歳以後75歳までの間で繰り下げて、増額した年金を受け取る制度です。繰り下げた期間によって年金額が増額され、その増額率は一生変わりません。
増額率は、繰り下げした月数に0.7%を掛けて計算できます。たとえば、70歳まで繰り下げした場合、142%増えた金額を毎月もらえることになります。
しかし、加給年金が加算される老齢厚生年金を繰下げ受給するともらえなくなります。

先ほどご紹介した、年齢5歳差の夫婦(被保険者:65歳、配偶者:60歳)の場合、被保険者が仮に70歳まで厚生年金を繰り下げ、老齢厚生年金をもらわない選択をしてしまうと、加給年金はもらえなくなってしまいます。

加給年金はもらいたいけれど、年金の繰り下げ受給もしたいという場合は、被保険者の老齢基礎年金のみ繰り下げるようにするとよいでしょう。年金の繰り下げ受給は、老齢基礎年金・老齢厚生年金どちらか一方のみ繰り下げすることができます。老齢基礎年金だけを繰り下げる分には、加給年金は停止になりません。

加給年金が上乗せされる「老齢厚生年金」を65歳からもらい、「老齢基礎年金」は70歳まで繰り下げ受給すると、65歳から70歳までは加給年金がもらえ、70歳からは42%増額された老齢基礎年金がもらえます。そして、その増額率は一生継続します。

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該当するなら忘れずに手続きを

加給年金は、意外と多くの人が存在を知らなかったり、年金事務所からの通知を待っていたりして、申請を逃すケースも多くあります。
加給年金は、まとまった金額が受け取れますので、見落としてしまうのはもったいないですね。もしも自分がもらえるかがわからなければ、最寄りの年金事務所に問い合わせるなどしてしっかり手続きしましょう。

舟本美子 ファイナンシャルプランナー

「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー

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