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25/07/20

相続・税金・年金

年金「繰り上げ受給」5つの後悔 それでも繰り上げ受給したほうがいい人は?

年金「繰り上げ受給」5つの後悔 それでも繰り上げ受給したほうがいい人は?

SNSなどで「年金は繰り上げ受給したほうが得」という情報を見かけることがあります。しかし、実際には多くの人が繰り上げ受給を選んだ後に後悔しているのが現実です。年金制度は複雑で、一度決めると後戻りできない選択も多く、安易な判断は将来の生活に大きな影響を与えかねません。
本記事では、年金の繰り上げ受給で後悔する代表的な5つのケースを紹介し、それでも繰り上げ受給を選んだほうがいい人の条件について詳しく解説します。

年金の繰り上げ受給とは

年金の繰り上げ受給とは、本来65歳から受け取る老齢基礎年金や老齢厚生年金を、60歳から65歳未満の間に前倒しして受け取る制度です。2022年4月の制度改正により、繰り上げ受給の減額率は1か月あたり0.5%から0.4%に緩和されました。
具体的には、60歳から受給開始した場合、本来の年金額から24%(0.4%×60か月)が減額されます。この減額は一生涯続くため、長期的な視点での判断が重要です。

年金の繰り上げ受給で後悔する5つのケース

年金の繰り上げ受給を選ぶことで、次のような後悔をするかもしれません。5つのケースを見てみましょう。

●① 年金額の減額が一生続く後悔

繰り上げ受給で最も多い後悔が、年金額の減額が一生涯続くことです。

例えば、本来月額15万円の年金を60歳から繰り上げ受給した場合、24%減額されて月額11万4千円となります。年額では43万2千円もの差が生じ、これが生涯続きます。

「当初は早くもらえることに魅力を感じていたが、物価上昇や医療費の増加で生活が苦しくなってきた」
「65歳以降の生活を考えると、減額された年金では不安が増すばかり」

このような声が多く聞かれます。長生きすればするほど、累積の損失額は膨らんでいきます。

●②国民年金の任意加入ができない後悔

国民年金の任意加入制度は、65歳まで国民年金保険料を追納して年金額を増やせる制度です。しかし、老齢基礎年金を繰り上げ受給すると、この制度を利用できなくなります。

「自営業で国民年金の加入期間が短かったが、任意加入で補強しようと思っていた」
「保険料の未納期間があったが、繰り上げ受給してしまったため後から追納できなくなった」

特に自営業者や会社員期間の短い方にとって、この制約は大きな痛手となります。

●③iDeCoに加入できない後悔

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、老後資金の準備に有効な制度ですが、老齢基礎年金を繰り上げ受給すると、国民年金の被保険者資格を失い、iDeCoにも加入できなくなります。

「老後資金が足りないと思って繰り上げ受給したが、その後iDeCoで資産形成したくてもできない」
「税制優遇を受けながら老後資金を準備する機会を失った」

iDeCoの税制優遇効果は年間で数万円から数十万円になることもあり、この機会を失うことは大きな損失となります。

●④障害年金の受給権に関する後悔

繰り上げ受給を選択すると、その後に障害を負った場合の障害年金受給に重大な制限が生じます。

「健康なうちに繰り上げ受給したが、その後病気になって障害年金を受けられないことを知った」
「障害年金の仕組みを十分理解せずに繰り上げ受給してしまった」

具体的な影響として、繰り上げ受給により65歳前に老齢基礎年金の受給権が発生した場合、その時点で65歳に達したとみなされ、事後重症請求をすることができません。
事後重症請求とは、初診日から1年6か月後の障害認定日時点では症状が軽かったものの、その後症状が悪化して障害等級に該当するようになった場合に行う請求です。この請求ができなくなることで、将来的に障害状態になっても障害年金を受け取れない可能性があります。

例えば、60歳で繰り上げ受給を開始した人が、62歳で脳梗塞を発症したとします。発症から1年6か月後(障害認定日)の時点では軽度の後遺症でしたが、その後徐々に症状が悪化し、65歳時点で障害等級2級に該当する状態になったとしても、事後重症請求ができないため障害年金を受け取ることができません。
障害基礎年金は老齢基礎年金よりも年金額が多くなる傾向があるため、この制限は経済的に大きな損失となる可能性があります。

●⑤家族全体の年金戦略を考えずに決めた後悔

配偶者がいる場合、自分だけの年金を考えて繰り上げ受給を決めてしまい、夫婦全体での年金戦略を十分に検討しなかった後悔です。

「夫婦で年金プランを考えるべきだったが、自分の年金だけで判断してしまった」
「配偶者の年金受給開始時期や働き方との調整を考えずに決めてしまった」

例えば、具体的な後悔のケースとして、夫が65歳、妻が60歳の夫婦で、夫が先に繰り上げ受給を開始してしまった場合。実際には妻が65歳になるまで夫が働き続け、妻が65歳になった時点で夫婦同時に年金受給を開始する方が、世帯全体の収入が最大化される可能性もあります。
このように夫婦それぞれの年金受給タイミングや働き方を総合的に考えることで、世帯全体の年金収入を最適化できる可能性があります。個人の判断だけでなく、夫婦で長期的な人生設計を話し合うことが重要です。

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それでも繰り上げ受給したほうがいい人の条件

一方で、次のような条件に当てはまる場合は、繰り上げ受給を検討する価値があります。

●①生活費が深刻に不足している場合

現在の収入では最低限の生活を維持できず、他に収入源がない場合は繰り上げ受給も選択肢となります。

「失業が長期化し、貯蓄も底をついた」
「病気で働けなくなり、生活費に困窮している」

ただし、この場合でも自治体の生活保護制度や各種支援制度を十分に検討することが重要です。

●②健康状態に重大な不安がある場合

医師から余命が短いと宣告されている場合や、重篤な病気により長期生存が困難と判断される場合は、繰り上げ受給のメリットが大きくなります。

「がんの進行が早く、治療も困難と言われた」
「慢性疾患で体力的に長期間の労働が困難」

この場合は、年金の総受給額よりも、確実に受け取れる期間の年金額を重視すべきです。

●③十分な経済的余裕がある場合

既に十分な資産があり、年金の減額が生活に影響しない場合は、早期受給で得た資金を別の投資に回すことも可能です。

「不動産収入や配当収入が十分にある」
「退職金や相続財産で老後資金は確保できている」

この場合は、繰り上げ受給した年金を投資に回し、減額分以上のリターンを狙うこともできます。ただし、もちろんリターンは保証されているわけではないので、自己責任においての判断が必要です。

●④配偶者の年金が充実している場合

配偶者が十分な年金を受け取れる見込みがあり、世帯全体での年金収入に問題がない場合は、一方の年金を繰り上げ受給することも検討できます。

「配偶者が公務員で共済年金が充実している」
「配偶者の厚生年金が手厚く、世帯年金収入は十分」

繰り上げ受給の年金を少しでも若いうちに受け取ることで、旅行や趣味などに使い、充実した生活を送ることもできるでしょう。ただし、配偶者の健康状態や年金制度の変更リスクも考慮する必要があります。

●⑤特別な事情でまとまった資金が必要な場合

子どもの教育費や住宅ローンの完済など、特別な事情でまとまった資金が必要な場合は、繰り上げ受給も選択肢となります。

「子どもの大学費用が予想以上にかかる」
「住宅ローンを早期完済したい」

ただし、一度繰り上げ受給を開始すると、減額された年金額が生涯続くことになります。まとまった資金が必要な場合でも、他の資金調達方法(教育ローン、リバースモーゲージ、資産の売却など)を十分に検討した上で、最後の手段として繰り上げ受給を考えるとよいでしょう。

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繰り上げ受給を避けるべき人

以下のような人は、繰り上げ受給を避けるべきです。

●①健康で長生きの可能性が高い人

平均寿命まで生きる可能性が高い場合、繰り上げ受給による損失は大きくなります。特に女性は男性より長生きする傾向があるため、より慎重に判断すべきです。

●②他の収入源がある人

不動産収入、配当収入、継続的な労働収入などがある場合は、無理に繰り上げ受給する必要はありません。

●③年金額が少ない人

もともと年金額が少ない場合、繰り上げ受給による減額の影響は深刻になります。国民年金の任意加入やiDeCoなどで年金額を増やす方法を優先すべきです。

●④家族の生活を支えている人

配偶者や家族の生活を支えている場合、年金の減額は家族全体の生活水準に影響します。

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繰り上げ受給を検討すべき条件は限られる

年金の繰り上げ受給は、一見メリットがあるように思えますが、多くの場合デメリットの方が大きくなります。特に以下の5つの後悔は、理解したうえで選択するようにしましょう。

繰り上げ受給を検討すべきなのは、生活費が深刻に不足している場合、健康状態に重大な不安がある場合、十分な経済的余裕がある場合など、限定的な条件に当てはまる場合のみです。
これらの条件に当てはまらない場合は、繰り上げ受給ではなく、他の方法で老後資金を確保することを検討すべきです。年金は長期間受け取る重要な収入源であり、一度の判断ミスが生涯にわたって影響することを忘れてはいけません。

年金制度は複雑で、個人の状況によって最適な選択は異なります。繰り上げ受給を検討している場合は、年金事務所や社会保険労務士などの専門家に相談し、十分な情報を集めた上で慎重に判断することが大切です。

KIWI ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士

長年、金融機関に在籍していた経験を活かし、個人のキャリアプラン、ライフプランありきのお金の相談を得意とする。プライベートでは2児の母。地域の子どもたちに「おかねの役割」や「はたらく意義」を伝える職育アドバイザー活動を行っている。

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