16/03/25
世代を超えて女性のお悩みNo.1は老後! 老後に必要な生活資金は?
私たちの老後はどうなる?
最近、お客様さまから受ける相談で、めっきり増えているのが「老後のお金について」です。20代から40代まで年代問わず多くの女性が、老後生活に不安を抱えています。
現在、少子高齢化により公的年金制度を支える若い世代がどんどん減っている状態。財務省が発表しているデータによると、65歳以上の高齢者1人を支える現役世代(20歳〜60歳)の人数は、2012年は、約2.4人、2025年には、約1.8人、2050年には、約1.3人と、この時点ではほぼマンツーマンで支えることになってしまうよう。
「えーっ1人の高齢者を1人で支えるの〜??」と思っている人も少なくないと思いますが、今から35年後には、支える側から支えてもらう側にいく人も少なくないことでしょう。
こうなってくると、公的年金はもはや崩壊寸前!思ってしまいますね。毎月年金保険料が給与から天引きされているものの、「本当に将来受け取れるの?」「受け取ったとしても、公的年金だけで足りるの?」と不安になるのは当然です。あまり心配しすぎて今の生活が謳歌できないようでは考えものですが、早いうちから危機感を持って準備しておくに越したことはありません。
現在、公的年金の受取開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられていますがさらに68歳、70歳まで引き上げられるという案まで浮上中です。特に女性は長生きの傾向にあり、老後期間が長いため、リタイアした後の収入減をどう確保するかが切実になってきます。
仕事から離れてゆっくり旅行でもしながらのんびり過ごす…という、従来のイメージの老後生活を送るには、自助努力が必要な時代といえます。
今のリタイア世代ですら家計は火の車
私たちが老後を迎える頃、日本がどうなっているかは分かりません。これから爆発的に経済が浮上したり、出生率が上がったりすれば別ですが、受け取れる公的年金額が今より増えているという楽観的な期待は残念ながら持てないでしょう。これからの時代、年金の受取額は下がり、受給開始年齢も先延ばしされると、腹をくくって臨む方が無難です。
実は、現在公的年金を受け取っている世代ですら、すでに毎月の収支に赤字が出ています。
総務省の家計調査報告(2013年)によると、60歳以上、夫婦2人で暮らす無職世帯では、月平均支出は約23万5000円、平均収入が18万1000円です。毎月平均約54,000円の赤字です。一方、単身世帯はというと平均支出が約15万7000円、平均収入が約12万3000円で、こちらも約3万4,000円の赤字です。この赤字分を貯蓄の取り崩しで補っているということになります。決して余裕がある家計とは言えません。
現状のリタイア世代ですら赤字ですから、さらに数十年後に年金を受け取る私たちの世代が今より恵まれているとは、やはり考えづらいのです。しかも、このデータの金額は、基本的に衣・食・住の基本生活費にかかっているお金。住居費用もローンなどがない持家を前提にしたコストになっています。ですから、おばあちゃんになっても、エステに行ってキレイでいたい、友達とおいしいものを食べたり、孫にお小遣いをあげたり、旅行に行ったりしたいとなると、もっとお金が必要なのです。
ちなみに、生命保険文化センター(2013年)が調べたところによると、いわゆる「ゆとりある老後」を送るためには、夫婦2人で約35万4000円が必要とのこと。前述の平均収入18万1000円から約17万円もアップします。
ひとまず、老後に基本生活を送るとして、赤字の分を補うために老後までにいくら貯めればよいのでしょうか。前述の現在の高齢無職世帯の収支を元に計算すると、夫婦の場合で2300万円、お一人さまの場合で1,500万円という金額に。
少子高齢化が今後さらに加速すれば、年金財政はより悪化する可能性が高まります。今からできることを早めにスタートしていきましょう。
【関連記事もチェック】
・老後の生活には1億円必要だけど、普通の人は大丈夫!?
・ズバリ! 老後で備えておくべきお金はいくら?
・10年年金は約20万円! 10年加入で国民年金がもらえるように
・老後の年金は増やせる! 今からできる5つのこと
・幸せな老後のために欠かせない3つの財産
高山 一恵 ファイナンシャルプランナー
(株)Money&You取締役。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』『Mocha(モカ)』や登録者1万9000人超のYouTubeチャンネル『Money&YouTV』を運営すると同時に、全国で講演活動、執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『マンガと図解 定年前後のお金の教科書』(宝島社)、『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)など書籍100冊、累計170万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue
この記事が気に入ったら
いいね!しよう