17/05/22
老後の年金は増やせる! 今からできる5つのこと
今や女性の2人に1人は90歳まで生きる時代(厚生労働省調べ、2015年簡易生命表より)。長生きは喜ばしいことですが、安定した老後の生活のためには経済的な準備は欠かせません。体力の衰えた老後は、若い頃のように「働いて稼ぐ」ということが難しくなります。そのため、収入の柱となる年金はとても重要。老齢年金の受取り金額は、自動的に決められていると思っている方が少なくありませんが、実は今からでも増やせます。
今回は、その方法についてご紹介します。
老後の年金のしくみ
まず、公的年金のしくみを押さえましょう。日本では、20歳以上になると国民全員が公的年金に加入することになっています(国民皆年金制度)。公的年金とは、「国民年金」と「厚生年金」のこと。国民年金の老齢年金の給付は、満額でも年間で77万9300円(2017年4月以降)です。
ひと月あたり、6万4941円。満額というのは、20~60歳までの40年間、保険料を欠かさず払い込んだ場合に受取れる金額です。学生時代に保険料の払込免除を受けていたら、その分受取る金額は少なくなってしまいます。決して多いとは言えない金額ですが、会社員や公務員は厚生年金に加入しているので、上乗せがあります。
その1:非正規社員でも厚生年金に加入する
そのため、できれば厚生年金に加入しておきたいですね。実は、非正規社員でも厚生年金に加入できる場合があります。加入の条件は一般社員の4分の3以上の労働時間・日数があることです。
基準は明確に定められていて、1週間の労働時間が一般社員の4分の3以上、そして、1ヶ月の労働日数が一般社員の4分の3以上であることが条件です。時間は週単位、日数は月単位で計算し、どちらの条件もクリアする必要があります。
さらに、従業員501人以上の企業の場合は、以下の4つの条件を満たせば厚生年金に加入できます。
1. 労働時間が週20時間以上 2. 雇用期間が1年以上と見込まれる 3. 賃金の月額が8万8000円以上(年収106万円以上) 4. 学生ではない
労働時間には、残業時間を含めないことに注意しましょう。あらかじめ決まっている所定の労働時間が週20時間以上であることが条件です。
また、賃金には賞与、残業手当、通勤手当などは含めないことも要注意です。
保険料は給料からの天引きですが、会社も同じ額を支払っています。
つまり、自分の払った保険料の2倍の額が支払われていることになり、将来の厚生年金の受取額に反映されます。手取り額は減りますが、国民年金の保険料は払わなくていいのですから、トータルでは収入アップになる場合もあります。
その2:収入アップは年金額もアップ
毎月支払う保険料は国民年金と厚生年金では異なります。国民年金の場合は一律に月額1万6490円(2017年度)です。厚生年金の場合は給料などに一定の保険料率をかけて計算するので、給料がアップすれば保険料もアップ、そして将来受取る年金額もアップします。
22~60歳まで厚生年金に加入した場合、受取る老齢年金を比較してみましょう。
平均年収 500万円 年金額 約178万円(年)
同 400万円 同 約157万円(年)
年収が100万円違うと、年金額が年21万円も多くなります。老齢年金は終身受取れるので、この差は大きいですね。
保険料の計算の元になる給料などには、基本給のほか、賞与や残業手当、通勤手当、能率給なども含まれます。収入アップができる部分がないか、検討してみましょう。
その3:財形制度を利用する
勤務先の会社に財形制度があれば、ぜひ利用しましょう。財形制度とは、給料天引きで貯蓄をしていく仕組みです。財形には3種類あって、1.一般貯蓄、2.住宅貯蓄、3.年金貯蓄、となっています。
このうち、年金貯蓄は55歳未満であれば始めることができます。ただし、積立期間は5年以上必要。そして、60歳以上の所定の時期から年金として受取れます。
メリットは給料から天引きなので確実に貯蓄ができることと、利子に対して非課税であること。ただし、年金以外で資金を引き出すと課税されてしまうことがデメリットです。
その4:個人年金保険は50歳までの加入がオススメ
勤務先に財形制度がなくても、民間の保険会社で個人年金保険に加入する方法もあります。支払う保険料と受取る年金額のコストパフォーマンスは、保険会社や加入する人の年齢や性別などによって変わります。各社比較して、しっかり増やせる保険を選びましょう。
さらに、所得税と住民税の節税ができる制度があります。1年間で支払った保険料の一部を、個人年金保険料控除として所得から差引くことで税額を軽減できるのですが、利用するには下記の4条件を満たし、「税制適格特約」を付加しておく必要があります(特約の保険料は無料)。
1. 年金受取人が契約者本人か配偶者 2. 年金受取人が被保険者と同一人 3. 保険料払込期間が10年以上 4. 年金受け取りが60歳以上で、かつ10年以上
個人年金には60~65歳の5年間だけ受取るタイプもありますが、これでは保険料控除は受けられません。
条件を満たすことができるよう、50歳までに税制適格特約を付加した個人年金保険に加入することがオススメです。
その5:じぶん年金はおトクなiDeCoでつくる
さて、公的年金だけでは不足する老後資金のために、利用できる制度はまだあります。個人型確定拠出年金、通称iDeCo(イデコ)は、自分で選んだ金融商品で運用して、じぶん年金を作ることができます。
毎月一定金額(月5000円~)の掛金を支払って投資信託などで運用し、老後に年金として受取る仕組みですが、元本保証を希望するなら、運用は定期預金にしておくこともできます。
大きなメリットは、掛金が全額所得控除の対象になること。たとえば、毎月1万円の掛金を支払ったとしたら、所得税と住民税の税額が10%の場合、それぞれ1万円×12ヶ月×10%=1万2000円の節税となり、合計で2万4000円の節税効果になります。
また、運用中の分配金が非課税、年金受取り時に控除が受けられることもメリット。60歳まで引き出すことはできませんが、その分しっかり貯められるとも言えます。
番外:不動産投資
老後の生活が不安になる一番の原因は、収入が少なくなることです。そこで、収入源を増やす視点で考えると、不動産投資も選択肢のひとつ。
投資用物件としてマンションなどを購入し、賃貸に出すことで安定した収入を得ることができます。大切なことは、長期にわたって資産価値の落ちない物件選びと、信頼できる管理会社選び。生活者目線で不動産を見ることのできる女性は、物件選びに向いています。最近は不動産投資に関するセミナーも各所で開催されていますので、足を運んでみると新たな発見があるのではないでしょうか。
経済的な心配が軽くなれば、老後に対するイメージも変わってきます。人生経験を積み、世の中への理解も深まる老後の時期、充実した時を過ごせるようにしたいですね。ぜひ、自分なりの方法を見つけ、実践していきましょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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