16/06/09
「貯蓄賢者」への道 支出を分析して先取り貯蓄をしよう!
少子高齢化、人口減少。
これからの日本の将来を楽観的に見ることは難しい世の中ですが、少なくとも言えることは、自分の将来は自分でどうにかしていくべき世の中になってきているということ。どんな時代になろうと、対応できるようにしっかりと資産を増やしていくことが大切です。
お金を貯めたければ、支出を見直す
日本のお金事情は決して楽観できるものではなく、少しでも投資してお金を増やしたいと思っている人も少なくないでしょうが、そもそも投資をするお金がなければ始まりません。
まずは、自分の家計が「収入−支出=プラス」の黒字家計になっているのか、投資にまわすお金が捻出できるのか確認しましょう。お金を貯めるというと、収入に目がいきがちですが、お金を貯めている人は「何にお金を使っているか」を分析・把握して費目ごとに予算化しています。支出の費目別に予算を設定し、その予算内でお金を管理できていれば、赤字家計になることはありません。
この予算を出すには支出の分析が必須です。支出を分析するのに便利なのが家計簿アプリですが、ダウンロードして設定が面倒で嫌という人やITツールに苦手意識があるという人にオススメするのが「レシート管理」です。封筒やボックスなどを準備して、「住居費」「食費」「被服費」「美容費」「交際費」などと費目を分け、それぞれ該当する費目にレシートを入れます。クレジットカードでの買い物については、例えば毎月25日と日にちを決めて、使った費目を付箋などに書き出して封筒に貼るという方法が有効です。
この時のポイントはざっくりと支出を把握することなので、細かいところは気にせず大雑把に仕分けすること。数字の管理ではありません。家計簿をつけたことがある人の中には、1円単位が合わないだったり、どの費目にするか迷ったりして、家計簿を放置する原因になった人もいるでしょう。もう一度お伝えしますが、ポイントは、大まかな支出の流れを把握すること。
このレシート管理を1カ月ごとに集計してみましょう。3カ月も続けると、自分のお金の使い方のクセがわかったり、「今月は食費が多かったな」「交際費・レジャー費がだいぶ少なくなった」という具合に、どんな出費がそれまでと比較して多いのか少ないのかが見えてきたりします。食費が増えたのであれば、その月の食費の内容を、レシートを見ながら振り返って、「今月は外食が多かったかな」「毎晩飲み過ぎたかな」「コンビニのついで買いが多かった」「カフェ代がかかった」などと、無駄づかいしていそうな部分、節約できそうな部分にメスをいれましょう。
貯蓄の基本は「先取り貯蓄」 収入の2〜3割は貯めたいところ
支出の分析ができれば、毎月どの程度、貯蓄に回せるかが把握できるようになります。お金を貯めるために一番大切なこと、それは、「先取り貯蓄」を心がけること。先取り貯蓄とは、支出したあとに余ったお金を貯蓄に回すのではなく、お給料が入ったら、先に貯蓄分を取り分けてしまうという方法です。
「収入—支出」で余ったお金を貯蓄に回すのではなく、「収入—貯蓄」で残りのお金で支出をまかなうのです。先に将来のための貯蓄を取り分けてさえしまえば、あとは残ったお金の範囲で生活するだけで貯蓄は確実に積み上がっていきます。
とはいえ、読者の中には、毎月お給料日にお金を引き出し、別口座に入れて…と手作業でしていたら続けるのが面倒!という方もいるでしょう。そんな方は、「財形貯蓄」を利用してみましょう。勤務先がこの制度を導入していれば、毎月お給料から天引きで自動積み立てできます。
財形貯蓄には「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」の3つがあり、預け先は勤務先が提携している定期預金などから選びます。資金の使い道が自由なのが「一般財形」。3年以上積み立てるのが条件ですが、積み立て開始から1年経てば引き出すことができます。引き出すには会社の窓口や上司の印鑑などが必要で銀行の普通預金のように簡単には引き出せません。
貯まる仕組をつくるには、この「簡単には引き出せない」というところがポイントになります。会社に財形制度がない場合には、銀行の「積立定期預金」などを利用しましょう。こちらも一度手続きをしてしまえば、毎月給料日に指定した額を口座から自動的に引いて積立をしてくれるので面倒な作業が不要です。
人間は意志が弱いもの。簡単に引き出せない仕組みは「貯蓄賢者」になるために効果が大きいでしょう。
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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