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23/11/07

家計・ライフ

年収700万円の手取り金額、単身世帯と夫婦世帯で結構違う

単身世帯年収700万円と夫婦世帯年収700万円、手取りは結構違う

世の中には同じ世帯収入であっても、裕福な人とそうでない人とがいて、その手取りが違うということがあります。高収入だからさぞかし手取りが多いだろうと思うとそうではないのです。高額な収入に憧れを抱いていても、実際にもらってみると税金や社会保険料の高さにため息が出ることでしょう。日本では、課税所得が一定の金額以上になった場合に、超過した部分にのみ高い税率を課税する方式がとられているからです。

今回は、単身で年収が700万円ある場合と夫婦で世帯年収が700万円ある場合の手取りがいくら違うのかをご紹介します。

収入からはどんなものが差し引かれるのか

毎月もらう給与明細には、収入金額のほか、所得税や住民税、健康保険、厚生年金、雇用保険料といった社会保険料が差し引かれています。給料から差し引かれる金額は、およそ給料の20%に当たるといわれており、とても重たく感じられるのではないでしょうか。

たとえば、社会保険料の合計は東京けんぽの場合、健康保険料は40歳未満の人の場合で収入の10%。40歳以上の人の場合では介護保険料も加わるので11.82%です。また厚生年金は18.3%です。この2つの保険料は労使折半なので、労働者はその半分の保険料を支払うことになります。

さらに雇用保険料(一般の事業の場合)0.6%が加わると、40歳以上の場合には給料から15.66%もの社会保険料が差し引かれます。

単身年収700万円と夫婦世帯年収700万円の手取り

国内の専業主婦世帯の割合は、2022年に初めて夫婦がいる全世帯の3割を下回りました。共稼ぎ世帯より専業主婦世帯のほうが多い世代は、65歳以上のみになっており、現状では共稼ぎ世帯が多数派になっています。

それでは、単身で年収700万円と夫婦世帯で夫350万円・妻350万円の年収がある場合の手取りの違いを見ていきましょう。なお、どちらの世帯も40歳以上で、所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみとして計算しています。

●単身年収700万円と夫婦世帯年収各350万円の手取りの違い

筆者作成

所得税は、単身世帯では29万7200円、夫婦世帯では13万4000円になります。
単身世帯年収700万円の場合、給与所得控除が「収入金額の10%+110万円」です。一方、夫婦世帯年収各350万円の場合には、給与所得控除額が「収入金額の30%+8万円」となり、ここから算出される給与所得が異なります。

また、給与所得から所得控除を差し引いた金額を「課税所得金額」といいます。所得税は課税所得金額に所定の税率を掛けて計算されます。ですから、課税所得金額を少なくできれば、所得税が節税できることになります。今回の例では、単身世帯では所得税率が20%、夫婦世帯では5%が適用されています。

【計算式】
単身世帯 362万3800円×20%-42万7500円=29万7260円
     100円未満は切り捨てるので、29万7200円
夫婦世帯 134万1900円×5%=6万7095円
     100円未満は切り捨てるので、6万7000円
     2人とも同じ350万円の収入のため、6万7000円×2=13万4000円

住民税の税率は収入に関係なく10%です。住民税も課税所得金額に対して課税されるので、元となる金額が高ければ住民税も高くなります。所得割10%と均等割の5000円を合わせると、単身世帯では37万2300円、夫婦世帯では28万8200円になります。

●手取りの計算

以上より、手取りを計算すると、
単身世帯 700万円-109万6200円(社会保険料)-66万9500円(所得税・住民税)=523万4300円
夫婦世帯 700万円-(54万8000円×2)(社会保険料)-42万2200円(所得税・住民税の夫婦合計)=548万1600円

単身収入で700万円の場合と夫婦世帯収入700万円の場合をくらべると、24万7300円も違うことになります。

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収入が多いと所得制限にかかってしまう制度も

収入や所得は多ければ多いほどいいと考えがちですが、収入が少ないから利用できる制度もあります。逆に所得制限があって高収入だと利用できないものもあります。

たとえば、扶養親族の数で異なりますが、児童手当は収入833万3000円、所得622万円から所得制限を受けます。児童手当の所得制限は、夫婦どちらか所得が高いほうで判断されます。ただし、2022年の改正で問題視されたため、所得制限については2024年10月から撤廃されることが決まりました。

高等学校等就学支援金は、所得要件が世帯で年収約910万円未満の世帯の生徒について判断されます(扶養家族の数で所得要件は異なります)。

また、遺族年金の支給においては、前年の収入が850万円未満であること、または所得が655万5000円未満であるが受給要件になります。

世帯収入が多いと、税金や社会保険料が高くなるだけでなく、受け取れなくなってしまうお金もあるのです。

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税金を減らす控除を活用しよう

単身収入で700万円の手取りと夫婦世帯収入700万円の手取りは、24万7300円も違うことを紹介しました。計算はあくまで一例ですが、収入が多いからといって必ずしも手取りが多くなるとは限らないことがおわかりいただけたでしょう。

手取りを増やすには、さまざまな所得控除を活用して税金を減らすことが有効です。年末調整や確定申告の際に正しく申請することで、課税所得が減り、手取りが増えることにつながります。ぜひ取り組んでいきましょう。

池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®

証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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