23/02/25
知らないとヤバイ日本の実情~日本の真相! 知らないと「殺される‼」
好景気という言葉がずいぶん遠くなった今の日本。この30年間で、私たちの生活は徐々に苦しくなりました。最近ではすべてのものがこぞって値上げをし、物価高騰が家計に直撃してきついですね。コロナや戦争のせいだけではなく、日本の経済力がどんどん落ちているためです。
今回紹介する本「日本の真相! 知らないと「殺される‼」」は、あまりメディアでとりあげられない日本の不都合な真実について解説しています。著者の船瀬俊介氏は環境問題が専門のジャーナリスト。楽しい話ではありませんが、日本の現状をきちんと知るのは大切なことですね。
どんどん貧しくなる日本
日本はすっかり元気がなくなってしまいました。かつては世界競争力ランキング1位をキープして「ジャパンアズナンバーワン」と言われたこともあったのに、1990年代初めにバブルがはじけてから経済力が下がり続け、国際競争力は30位に転落しました。1年間で順位を5位も落とすという凋落ぶりです。ちなみに1位は、発展めざましいシンガポールです。
企業力も落ちる一方。世界の企業トップ50に日本企業が36社も占めていた時もありましたが、今ではトヨタ1社が35位にいるのみです。GDP(国内総生産)も年々順位が下がり、世界で26位。日本は世界、そしてアジアの国々にどんどん抜かされているのです。
そうした社会の暗さは暮らしにも影響しています。国民幸福度も日本は世界156カ国中58位。前年から4つも順位を下げて過去最低です。自殺率は先進国で最悪レベルの世界6位で、若者の自殺率は世界ワースト1です。未来ある若者が将来に絶望している事実に救いのなさを感じます。
環境面の問題も深刻です。単位面積当たりの農薬使用量は韓国と日本がダントツに高いのです。国産の農作物は安全だと思っているのに、実際にはアメリカの6~7倍、イギリスの3倍強も農薬漬けになっていたとは衝撃です。韓国と日本は自閉症発達障害の有病率もワースト2。両者には相関関係があると専門家は断定しています。
全体的に右肩下がりに落ちていく一方の日本の国力。具体的なデータで説明されると、これが現実だと実感します。今後も歯止めなく貧しくなっていくのではないかと暗澹たる気持ちになります(なお、上記データはすべて本書刊行時のものです)。
銀行のあやうい錬金術
また、銀行の運営方法についても解説されています。銀行は顧客の預金を企業などに貸し付けた利子で成り立っていますが、長らく低金利年利が続く中で、どうやって利益を上げているのでしょうか。
答えは銀行が無から金を作る信用創造という仕組みです。銀行から1億円借りた場合、目の前に1億円の現金がドンと積み上げられるわけではありません。銀行は通帳に1億円と数字を打ち込むだけで、お金を貸したことになります。つまり、お金がそこに存在しなくてもあることとして貸しているのです。銀行はこの信用創造で貸し出しを繰り返して、手元資金の100倍以上の金額を得ています。何も持っていないのにお金を取るという行為は、個人がすると犯罪ですが、銀行だと合法な錬金術になるのです。
存在しない大金を動かすことに危うさを感じるのは私だけでしょうか。大学の経済学部でも信用創造について教えないのだそう。現代のお金は実態が無くても存在しうるものなのかと多少混乱します。
私たちはどうすればいいのか
何をやってもすべてがうまく回っていたバブル期はとっくに過ぎ去りました。日本の現状と銀行の真実はあまり話題になりませんが、少しずつ日々の生活は厳しくなっていることは実感できますね。日本は貧しくなる一方だからさっさと見切りをつけて、海外で仕事ができるようにプログラミング能力や英語力を上げるべきだという有識者もいますが、国民全員がそれをするのは不可能です。
知るとつらくなる現実ですが、どんな不都合な真実でも知らないことには問題意識をもって動き出せません。ピンチはチャンス、知ることで見えてくる解決策もあるはずです。今は大変厳しい状況にいるとわかった上で、将来に向けてどう行動するべきかをめいめいが考えることが求められる時代といえるでしょう。
日本の真相! 知らないと「殺される‼」
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小野寺 理香 おのでら りか
読書ブロガー。好きなジャンルは文学、歴史、アート。ふとしたきっかけで出会い、好きになったら長くつきあう……本との巡り合いは人と同じ。時に味わう〝がっかり〟も、読書のおもしろさのひとつです。ここでは、よりすぐりのすてきな本をお届けします。
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