22/01/24
年金受給者でも確定申告でお金が戻る! 1月に届く「公的年金等の源泉徴収票」3つのチェックポイント
公的年金を受給している場合、日本年金機構から前年分の「公的年金等の源泉徴収票」が郵送(年1回)されてきます。この書類が自宅に届く時期は毎年1月中旬から下旬で、2021年分は2022年1月8日(土)~15日(土)にかけて順次発送されています。
公的年金等の源泉徴収票には、年金についてさまざまな情報が記載されています。確定申告をして還付を受ける際にも参考となる書類なので、よく確認することが大切です。今回は、毎年1月に届く公的年金等の源泉徴収票のチェックポイント3つと、年金受給者でも確定申告でお金が戻るケースを紹介します。
「公的年金等の源泉徴収票」の3つのチェックポイント
公的年金等の源泉徴収票は、年金についての情報を確認したり、確定申告をして税金の還付を受けたりする場合に、参考となる大事な書類です。できれば、1つ1つの項目にしっかりと目を通しておきたいところですが、普段あまり目にしないため、どこから見ればよいか戸惑ってしまう方も多いかもしれません。そこで、手元に届いたら、最低限チェックしておきたい3つのポイントをご紹介します。
●公的年金等の源泉徴収票の書式
出典:日本年金機構HPより
●チェックポイント①「源泉徴収税額」の欄
ゼロ以上の数字が入っているなら、税金が戻ってくる可能性あり
源泉徴収税額とは、年金から予め差し引かれた所得税のことです。ここにゼロ以上の数字が入っている場合は、確定申告をすることによって、この金額を上限として税金が戻ってくる可能性があります。
●チェックポイント②「社会保険料の額」と「(摘要)」欄
年金天引き以外に支払った社会保険料があるなら、控除額を追加できる
「社会保険料の額」欄には、年金受給額から天引きされて支払った社会保険料の金額が記載されます。「(摘要)」欄には、その内訳が書いてあります。重要なのは、年金から差し引かれたもの以外に支払った社会保険料があるかどうかです。例えば、介護保険料は年金から差し引かれたものの後期高齢者医療保険料は納付書で支払った場合や、生計をひとつにしている親族の国民年金保険料を納めている場合などは、確定申告をすることで社会保険料控除を追加して控除することが可能です。
●チェックポイント③配偶者や扶養親族の登録は最新のものになっているか
前年12月31日時点で追加や修正があるなら届け出る必要あり
ここには年金受給対象者に登録されている配偶者の氏名や、扶養している親族の名前が入ります。書いてあるべき配偶者の名前や、扶養しているはずの親族の名前がない場合は、正しく控除が受けられていない可能性があるので、確定申告で修正しましょう。
年金受給者でも確定申告でお金が戻るケース
公的年金等の収入が年間400万円以下で、さらに公的年金以外の収入が20万円以下の年金受給者は「確定申告不要制度」の対象です。対象者である場合には、原則確定申告は不要となりますが、もし以下のケースに該当する場合には、確定申告をすることによって税金の還付を受けられる可能性があります。
●①その年の医療費が10万円以上かかった場合
「医療費控除」は、確定申告をしないと受けられない控除です。一般的に医療費控除を受けることができるのは、年間の自己負担額が10万円以上の人です。しかし、比較的所得金額が少ない年金受給者は、医療費の自己負担額が「(所得金額+申告分離課税の所得)×0.05」以上であれば、10万円以下でも医療費控除を受けることができます。
●②各種保険料(民間の生命保険料や個人年金保険料等)を支払った場合
生命保険料控除は、かかった保険料に応じて所得から一定金額を控除できる制度です。生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料の3種類(2012年以前の契約は生命保険料と個人年金保険料の2種類)が、生命保険料控除の対象となります。
●③住宅の購入やリフォームのために住宅ローンを組んだ場合
住宅の購入やリフォームのために住宅ローンを組んだ場合、一定の条件を満たせば「住宅借入金等特別控除」を受けることができます。また、バリアフリー改修工事や省エネ改修工事などの特定のリフォームのために住宅ローンを組んだ場合は「特定増改築等住宅借入金等特別控除」が受けられます。給与所得者は2年目から年末調整をするだけで確定申告は不要ですが、年金受給者の人は、年末調整がないため毎年確定申告が必要です。
●④ふるさと納税などの寄付をした場合
国への寄附金、都道府県・市区町村への寄附金(いわゆる「ふるさと納税」)、公益社団法人・公益財団法人・認定NPO法人などへの寄附金、特定の政治献金などを支払った場合は、確定申告をすることで「寄付金控除」を受けることができます。なお、2015年4月1日以降に行われたふるさと納税については、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用すれば、確定申告をしなくても寄附金控除を受けることができます。
●⑤災害や盗難にあった場合
災害や盗難などで自宅や家財道具に被害を受けたり、災害関連で出費があったりした場合、あなたや扶養家族が「雑損控除」を受けることができます。雑損控除は、確定申告をしないと受けられない控除でもあります。雑損控除を受ける場合は、「罹災証明」や「盗難届」といった書類を用意する必要があります。
確定申告は、税金の還付以外にもメリットあり
確定申告は、税金の還付以外にもメリットがあります。
すでに控除の金額が所得金額を上回っている場合、課税所得金額はゼロとなり、所得税もゼロとなるために源泉徴収税額は全額還付になっている可能性が高いでしょう。しかし、所得税の計算方法と住民税や介護保険料、後期高齢者医療保険料の計算方法は異なります。たとえば、所得税の基礎控除は基本的に48万円ですが、住民税の基礎控除は43万円のため、所得税はゼロでも住民税はゼロではない場合があるのです。この場合は、確定申告をすることで翌年の住民税を安くすることができます。
公的年金には確定申告不要制度がありますが、今回ご紹介した公的年金等の源泉徴収票、さらには確定申告でお金が戻るケースを確認して、お得になるようであれば忘れずに確定申告の手続きを行いましょう。
【関連記事もチェック】
・年金制度、住宅ローン減税、成人年齢引き下げ…2022年のお金に関する法律改正
・年金だけで裕福に暮らす5つのアイディア
・「年金特別徴収」で天引きされるお金、初年度の年金は大きく減る可能性大
・夫婦で年金月30万円もらうには年収はいくら必要か
・【2022年度最新版】あなたの年金はいくら?概算表で確認しよう!
KIWI ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士
長年、金融機関に在籍していた経験を活かし、個人のキャリアプラン、ライフプランありきのお金の相談を得意とする。プライベートでは2児の母。地域の子どもたちに「おかねの役割」や「はたらく意義」を伝える職育アドバイザー活動を行っている。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう