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22/01/16

家計・ライフ

年金制度、住宅ローン減税、成人年齢引き下げ…2022年のお金に関する法律改正

年金制度、住宅ローン減税、成人年齢引き下げ…2022年のお金に関する法律改正

2022年もマネーに関するさまざまな法律が改正されます。なかには私たちの生活に関わるものも含まれています。今回はどのような改正があるのか、その内容はきちんと理解しておきたいですね。そこで今回は、2022年の法律改正の中から、私たちの生活に密着した年金や住宅ローンに関連するものをご紹介します。

2022年度年金制度改正、知っておきたい注目の改正点

2020年5月29日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立、同年6月5日に公布されました。これが年金制度改正として2022年4月から施行されます。この年金制度改正では、どのような点が改正されるのでしょうか?特に注目しておきたい内容を見ていきましょう。

●老齢年金の受給開始時期は選択肢が広がる【2022年4月から】

老齢年金は65歳になると受給できるようになります。とはいえ、受給開始時期は自分のライフプランに合わせて選択することができます。65歳より早く受給したいときは「繰上げ受給」、66歳以降に遅らせて受給を開始したいときは「繰下げ受給」を選ぶことができるのです。これらの受給方法ですが、2022年4月から内容の一部が変わります。

繰上げ受給では、通常よりも早く年金を受け取るので、年金額が減額となります。その減額率は、1ヶ月あたり0.5%です。もし60歳まで繰り上げて受給すると、減額率は30%となるのです。けれども2022年4月からは減額率が緩和されます。その率は、1カ月あたり0.4%。もし60歳まで繰り上げて受給する場合の減額率は24%となります。わずかでも減額分が減るのは助かりますね。

また、受給開始時期を遅らせる繰下げ受給でも改正があります。これまでは、繰下げ受給の上限となる年齢は70歳でした。しかし、2022年4月からは75歳まで上限の年齢が引き上げられます。繰下げ受給では年金が1ヶ月あたり0.7%増額となります。もし70歳まで繰り下げれば、増額率は42%でしたが、75歳まで繰り下げると、増額率が84%になります。

公的年金のほか、私的年金や退職金の受け取り方とあわせて、受給方法の選択肢が広がるのはよいことですね。ただし年金を増額すると、その分税金や社会保険料が増えます。そのため、年金の受給方法はじっくりと検討されることをおすすめします。

●確定拠出年金の受給開始時期も引き上げに【2022年4月から】

自分で掛金を支払い運用するiDeCo(個人型確定拠出年金)。そして、企業が掛金を拠出し加入者が運用する企業型確定拠出年金(企業型DC)。これらは今回の改正で、年金の受給開始時期が引き上げられます。

これまではiDeCo・企業型DCのどちらも年金の受給開始時期が60歳から70歳までとされてきました。これが2022年4月からは、受給開始時期の上限が70歳から75歳まで引き上げられます。つまり、60歳から75歳までの15年の間で受給開始時期を選べるようになります。

●確定拠出年金の加入要件の緩和【2022年5月から】

iDeCoはこれまで、60歳未満の人しか加入することができませんでした。けれども2022年5月からは、厚生年金被保険者や国民年金の任意加入者は65歳未満でも加入できるようになります。

企業型DCについても、これまでは65歳未満の厚生年金被保険者が加入できるものでしたが、2022年5月以降は70歳未満でも加入できるようになります。


●企業型DC加入者のiDeCo加入要件を緩和【2022年10月から】

これまで企業型DC加入者は、会社の規約で認められ、かつ事業主掛金の上限の引き下げが行なわれなければ、iDeCoへ加入することはできませんでした。しかし、2022年10月からは、規約の定めや事業主掛金の引き下げがなくても、拠出限度額から事業主掛金を差し引いた範囲内であれば原則iDeCoへ加入できるようになります。

●在職定時改定が新たに導入される『2022年4月から』

老後の生活を安定させるため、可能な限り長く働こうとする人が増えています。厚生年金には70歳まで加入できるため、厚生年金に加入して働くことで年金額が増やせます。ただ、65歳以降に年金を受給しながら働く場合、退職時改定の制度によって、退職もしくは70歳になるまでは受給する年金額が増えることはありませんでした。

しかし、2022年4月からは新たに在職定時改定が導入されることになり、在職中でも毎年1回年金額が改定されるようになります。たとえば、標準報酬月額20万円で1年間働いた場合、増額する年金は65歳の時点では年間1万3000円程度(月額では1,100円程度)です。それほど多い額ではありませんが、年金額が毎年少しずつ積み上がっていくので、生活基盤の支えになるでしょう。

●社会保険の適用が拡大される【2022年10月から】

2022年10月からは、一定の要件を満たすパートやアルバイトなどの短時間労働者も社会保険に加入できる見込みです。

これまでは従業員数が500人以上の事業所では、短時間労働者も一定の要件を満たせば社会保険の加入が義務化されていました。それが2022年10月からは、従業員数が100人以上の事業所も、一定の要件を満たす短時間労働者を社会保険に加入させなければいけなくなります。

ちなみに、社会保険の加入対象者は以下のようになります。
・フルタイムの従業員
・週の労働時間がフルタイムの4分の3以上の従業員(パート・アルバイトを含む)

また、一定の要件を満たす短時間労働者とは、以下の通りです。
・週の所定労働時間が20時間以上である
・月額賃金が8.8万円以上である
・2ヶ月超雇用する見込みである(2022年10月までは「1年以上雇用する見込み」)
・学生ではない

社会保険に加入すると、給与から保険料が差し引かれるため手取りが少なくなります。ただ一方で、「将来受け取れる年金が増える」「傷病手当金や出産手当金が受け取れる」といったメリットもあります。

住宅ローン減税制度の控除率が引き下げに

2021年度税制改正では、住宅ローン減税制度の控除期間が10年から13年に延長されました。2022年度税制改正では、住宅ローン減税制度の控除率が1%から0.7%へ引き下げとなります。

そもそも住宅ローン減税制度は、住宅購入などの目的で住宅ローンを組んだときに、住宅ローンの年末残高の1%にあたる金額を所得税・住民税から控除する制度です。この住宅ローン減税制度は、2021年12月31日が適用期限となっており、一定期間内に契約して2022年12月31日までに入居すれば13年間の控除が受けられることになっていました。
今回の改正で適用期限が4年延長(2025年まで)されることになったのですが、それに伴い、控除率が1%から0.7%に引き下げられることになりました。

また、控除期間は入居の年や住宅によって変わります。

●新築住宅の場合

<認定住宅>
・2025年までに入居すれば控除期間は13年
<その他の新築住宅>
・2022年、2023年に入居すれば控除期間は13年
・2024年、2025年に入居すれば控除期間は10年

●中古住宅の場合

2025年までの入居で控除期間は10年

さらに、住宅ローン減税を受ける際は合計所得金額が「3,000万円以下」という所得要件も変わり、2022年からは合計所得金額が「2,000万円以下」に引き下げられます。

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民法改正で18歳が成人に

2022年4月からは、民法の改正によって成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。高校生でも18歳の誕生日が来れば成人となるのです。ここで懸念されるのは、消費者トラブルの発生です。成人になれば、親の承諾なしに高額商品のローン契約や賃貸住宅の契約などができるようになります。18歳、19歳は契約についての正しい知識が少ないため、契約トラブルに巻き込まれる可能性があるかもしれません。そんな事態を避けるために、親が契約などで注意しておきたいことをきちんと伝えておくことをおすすめします。

まとめ

2022年は年金や社会保険の制度改正、成人年齢の引き下げなど、わたしたちの生活にも関わりのある改正が相次いで行われます。自分に関わりがある制度改正をチェックするとともに、新しい制度や変更についてもアンテナを立てておきましょう。

前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

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