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21/03/27

相続・税金・年金

年金の受け取りには時効があるって本当? 数百万円損する可能性も

年金は、場合によっては受け取れなくなることをご存じですか?受給の請求をせずにそのまま放置していると、一定の期間が過ぎたら時効になってしまうのです。本来受け取れるはずの年金が受け取れなくなるのは非常に困りますよね。そこで今回は、年金の受給権と時効について解説します。

老齢年金の受給権はいつ得られる?

老齢年金の受給要件を満たすと「受給権」が発生します。
老齢基礎年金の場合は10年以上の受給資格期間があると、65歳から受給できるようになります。老齢厚生年金の場合は、厚生年金保険に1年以上加入していると65歳から受給できます。また、老齢厚生年金では、男性は昭和36年4月1日以前に生まれた人、女性は昭和41年4月1日以前に生まれた人は、要件を満たせば特別支給の老齢厚生年金を受給できます。

いずれの年金も、65歳になったら自動的に受給できるようになるわけではありません。受給するには、受給請求が必要です。
老齢年金の受給権が発生した人には、受給開始年齢(65歳)に達する3ヶ月前に日本年金機構から「年金請求書」が届きます。年金請求書に必要事項を記入して、受給開始年齢の誕生日の前日以降に年金事務所へ提出します。

もし老齢基礎年金もしくは老齢厚生年金のどちらかを繰下げ受給したいときは、年金請求書に繰下げ希望欄があるので、繰下げしたいほうに○をつけて提出します。両方とも繰下げ受給する場合は、66歳から70歳になるまでに「老齢基礎・厚生年金支給繰下げ請求書」を年金事務所または年金相談センターへ提出します。ただし、特別支給の老齢厚生年金は繰下げ受給することはできません。

老齢年金の受給権は5年で時効?

国民年金法と厚生年金保険法によると、老齢年金の受給権には時効があります。受給の請求をしないまま5年を過ぎると、時効となって受給権が消滅するのです。とはいえ、受給権は自動的に消えてしまうわけではありません。

年金には「基本権」と「支分権」があります。
基本権とは、年金の受給請求をしたら年金を受け取ることができる権利のことです。もし、5年間受給を請求しなかった場合は、そのことを書面で申し立てることで、基本権による受給権は消滅しないようになっています。

だからといって、安心してはいけません。年金には「支分権」もあるからです。支分権とは支払期月ごとに年金を受給する権利のことです。もし、受給の請求をしないまま5年が経ち、国が「時効の援用」を行えば、受給権は消滅するのです。時効の援用とは、国が時効の成立を主張すること。受給を請求しないまま5年が経つと、国が個別に時効の援用をするので、年金の受給権が消滅してしまいます。

少し難しい話になってしまいましたが、要約すると、年金の請求自体はいつでもできるものの、過去にさかのぼって受け取ることができる年金は最大でも5年分となってしまい、5年より前の未請求分はもらえなくなるのです。

ただし、年金記録に間違いがあり、増額の訂正がされた場合、増額分は5年よりも前の年分でも受給することができます。

死亡一時金と脱退一時金の時効は2年

年金の受給権は5年が過ぎると時効になるとお伝えしました。年金と同じく、請求しないと時効になってしまうものがあります。それは、「死亡一時金」と「脱退一時金」です。

死亡一時金とは、死亡日の先日まで第1号被保険者として国民年金に36月以上加入していた人が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受給することなく死亡したとき、生計を共にしていた家族が一時金を受け取ることができる制度です。

また、脱退一時金は、日本国籍を持っていない人が、国民年金や厚生年金保険を脱退して帰国する場合、支払った保険料の一部が返金される制度のことです。どちらも時効は2年で、2年以内に請求しないと、その受給資格を失ってしまうのです。

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時効で年金を損した人の具体例

ではここで、年金の受給権が時効になった2つの具体例を見てみましょう。

【Aさん(68歳)の場合】
Aさんは60歳から特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)を受給できることになっていました。しかし、Aさんは65歳より前に年金の受給請求をしたら繰上げ受給の扱いになり、年金が減らされてしまうと思い込んでいました。そして、68歳になって受給の請求をしたのです。
Aさんの老齢厚生年金の報酬比例部分は120万円/年とします。
(※老齢厚生年金は報酬比例部分のみで計算)

68歳で受給請求すると、過去5年分(63歳~68歳)は時効ではないので受給可能ですが、60歳~63歳になるまでの分は時効なので受給権が消滅してしまいます。

<消滅した年金額>
120万円×3年=360万円
Aさんは、受給請求をしなかったことで、360万円も年金が減ってしまいました。

特別支給の老齢厚生年金と65歳から受給可能になる老齢厚生年金は別のものです。よって、特別支給の老齢厚生年金を60歳になって受給請求しても、繰上げ受給にはならないので、忘れず請求しましょう。

【Bさん(71歳)の場合】
Bさんは若かった頃は生活が厳しく、国民年金の納付猶予制度を受けていました。40歳になり生活が安定したので、20年間国民年金を納付しました。
ただ、老齢基礎年金を受給するには受給資格期間が25年なければいけないと思い込み、受給請求をしていませんでした(平成29年8月1日からは、受給資格期間が10年以上あれば老齢年金を受け取れます)。

71歳に老齢基礎年金の受給を請求。この場合、66歳~71歳の分は時効ではないので受給可能です。ただし、65歳から66歳になるまでの1年間は時効のため受給できません。
・老齢基礎年金の受給額(※令和3年の受給額で計算)
<消滅した年金額>
(78万900円×240月/480月)×1年=39万450円
Bさんは、39万450円の年金を受け取ることができませんでした。

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まとめ

このように、年金の受給資格があるにもかかわらず、請求をしないことで年金を受け取れなくなることがあるのです。それを防ぐには、まず年金制度を正しく理解することが必要です。そのうえで、日本年金機構から年金請求書のお便りが届いたら、繰下げ受給をするかどうかも考えて、忘れずに年金請求書を提出しましょう。

前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

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