21/04/25
退職金は学歴・業種で大きく違う 実際いくらもらえているのか
退職をする時に受け取る退職金。その後の人生の大きな糧となる大切な資金ですから、どれくらいもらえるのかをしっかりと認識しておきたいですよね。今回は、定年で退職した場合にもらえる退職金について、学歴別、業種別にご紹介していきます。
退職金の平均給付額は?
厚生労働省が公表している「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」によると、退職者の1人平均退職給付額(勤続20年以上かつ45歳以上の退職者)は、次のようになっています。
●平均退職金額(学歴別)
厚生労働省「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」より作成
定年による退職金額は学歴によって大きく変わります。高校卒は管理職や技術職であっても1600万円強ですが、大学・大学院卒は2000万円近くに。高校卒で働き始めた人の方が基本的には勤続年数が長いのにもかかわらず、やはり高学歴の人の方が多くの退職金が支給されるようです。
なお、早期優遇や会社都合の場合の退職金は、会社都合では2156万円、早期優遇では2326万円(大学・大学院卒の場合)と、定年退職時にくらべ約200~300万円上乗せされています。
平均退職金額は業種によっても大きく違う
大学・大学院卒の退職金額は約2000万円と紹介しましたが、業種別にみると金額にばらつきがあることがわかります。
●業種別に見た平均退職金額
厚生労働省「令和元年賃金事情等総合調査(確報)」の「産業、勤続年数、学歴別定年退職者の平均退職金額(男)平成30年度1年間」より筆者作成
このデータは、主な業種で大卒・大学院卒の男性が満勤勤続(新卒〜60歳まで勤めあげること)をした場合の平均退職金額を示したものです。トップは新聞・放送で約4000万円。他業種の2倍の額となっています。
また、「製造業」とひとことでいっても違いがあります。パルプ・製紙は1700万円ほどと少なめな一方、車両・自動車は約3000万円と、パルプ・製紙の1.8倍ほどもらっていることがわかります。
退職金が少ない場合はどうする?
「老後資金2000万円問題」がクローズアップされたことが記憶に新しいですが、実際これだけの退職金を受け取ることができれば、不足する2000万円の大部分はまかなうことができそうですね。
しかし、上でも紹介したように、学歴や勤続年数によって、退職金は少なくなる場合もあります。最近では何年も一つの会社に勤めずに転職される方もいますので、退職金が少ないかもしれません。
また、そもそも退職金制度を導入している企業が80.5%(厚生労働省「就労条件総合調査」)ですから、退職金の制度がない企業に勤めている方もいるでしょう。
老後を企業からの退職金に頼れない場合は、自分で資金計画をするしかありません。
まずは給与が出たら使う前に一定額を貯める「先取り貯蓄」をして、強制的にお金を貯めていくのがいいでしょう。また、貯蓄だけではお金はなかなか増えていきませんので、つみたてNISAやiDeCoといった、非課税で堅実にお金の貯められる制度を活用して、お金を増やしていきましょう。
老後資金の調達を目的とした金融商品はたくさんあります。もしわからないということであれば、ファイナンシャルプランナーなどに相談するのも一つの方法。自分の資金計画に合った貯蓄方法を教えてもらうことができるでしょう。
まとめ
定年退職後の生活を支える定年退職金。勤続年数が長い場合には2000万円ほどのお金が支給されるところが一般的なようですが、支給対象とならない人も年々増加傾向にあるようです。
将来的な資金に不安がある人は60代になってから困らないためにも早めに手を打つとよいでしょう。
給与から貯蓄するにしろ、金融商品を活用するにしろ、退職ぎりぎりでは間に合いません。安心して老後の生活を送ることができるよう、今のうちからどうするか具体的に考えておきましょう。
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城山ちょこ ライター
東京海上日動火災保険出身。慶応大学院SDM研究科修了。
2013年よりライターの道へ。執筆ジャンルは金融(保険)、働き方、子育て、結婚など女性のライフスタイル全般。2児の子育てと仕事の両立に日々奮闘中。丁寧でわかりやすい記事をモットーとしています!
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