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20/12/19

家計・ライフ

年上の夫が60歳で退職すると、妻の扶養はなくなる?

年上の夫が60歳で退職すると、妻の扶養はなくなる?

専業主婦やパート勤務などで、夫の扶養に入っている妻は、国民年金の保険料を負担しなくても年金に加入しているとみなされたり、健康保険での給付を受けたりできます。しかし、夫が60歳で定年退職し、扶養から外れてしまうと、妻はどうなるのでしょうか。とくに、夫婦間で年齢差がある場合には、注意が必要となります。今回は、年下の妻が、夫の扶養を外れた際の年金、健康保険はどうなるのかを詳しく説明します。

妻が受けられる社会保険の扶養とは

妻は、夫の扶養に入ることで、公的年金や健康保険にかかわる扶養に入ることができます。それぞれについて説明します。

●公的年金

日本の公的年金は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する国民年金と、会社などに勤務している人が加入する厚生年金の2階建てになっています。

国民年金の被保険者は、自営業者や学生が対象となる「第1号被保険者」、会社や公務員が対象となる「第2号被保険者」、会社員や公務員に扶養されている妻が対象となる「第3号被保険者」の3つに区分されています。

このうち、第3号被保険者は、自分自身で年金保険を納付することはありません。配偶者である夫が加入する年金制度が妻の保険料を負担してくれます。

●健康保険

健康保険においても、夫が会社員もしくは公務員であれば、妻は夫の扶養に入れます。そうすることで、実際に健康保険料を支払わなくても、夫の勤務先から保険証が発行され、3割負担で病院を受診できます。

妻が扶養に入るための要件とは

妻が夫の扶養に入ると、年金や健康保険などを負担しなくても良くなります。収入を持たない専業主婦であれば、無条件に扶養に入れます。しかし、パート、アルバイトなどで収入のある妻が扶養に入るためには、主として夫が生計を維持すること、妻の年収が130万円未満であることなどの要件があります。

また、妻の勤務先が、一定規模以上の会社(※)であれば、年収は、106万円以上とならないよう気を付けなければなりません。なぜなら、年収が106万円以上になれば、妻の勤務先が加入している厚生年金に加入することになるため、夫の扶養から外れてしまうからです。

(※)一定規模以上の勤務先とは
①正社員が501人以上(2022年10月からは、101人以上、2024年10月からは51人以上に変更)
②妻の月額給与が88,000円以上(年収106万円以上)
③1年以上の雇用が見込まれること(2022年10月からは撤廃)
④所定の労働時間が週20時間以上
⑤妻が学生でないこと

したがって、扶養に入るならば、妻の勤務先の規模と年収の関係を把握しておく必要があります。

また、収入以外に年齢の要件もあります。
第3号被保険者の妻が年金の扶養に入れる年齢は、20歳以上60歳未満です。それに対し、健康保険は75歳未満が扶養の対象になります。

とはいえ、実際のところ、妻が何歳まで扶養に入ることができるかは、夫が何歳まで会社に勤務するかによって変わります。

夫婦の年齢差ごとの注意点と対応策

夫婦の年齢差のケースごとに、妻が扶養に入れるかどうか詳しく説明します。

●年上の夫が60歳で退職したとき

妻が夫の扶養になるのは、夫が会社員や公務員で、厚生年金の被保険者となることが前提です。そのため、夫が60歳で会社を退職することになれば、厚生年金の被保険者ではなくなってしまします。夫が厚生年金の被保険者から外れてしまえば、妻は第3号被保険者から第1号被保険者になります。

このとき、妻の年齢が60歳以下であれば、国民年金の保険料(2020年度:月額1万6540円)を納付することになります。また、健康保険は、国民健康保険に加入します。つまり、夫が会社を退職すれば、年金、健康保険ともに保険料を納付することになります。

●年上の夫が60歳以降も会社に勤務したとき

夫が60歳以降も会社員として勤務するのであれば、厚生年金に加入したままとなり、今までと同じく第2号被保険者のままです。夫が第2号被保険者であれば扶養に入っている妻も第3号被保険者のままです。そのため、いままでどおり年金、健康保険ともに保険料を負担する必要はありません。

●夫が65歳になったとき、まだ妻が60歳未満だったとき

夫が65歳になったとき、妻がまだ60歳未満であれば注意が必要です。というのは、夫が65歳になると、公的年金である老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給者になります。そのため、65歳以後は年金を積み立てる必要がなくなります。

会社勤務を続け、厚生年金に加入していたとしても、国民年金の第2号被保険者からは外れます。厚生年金では、健康保険のみが対象となります。それに連動し、妻も第3号被保険者ではなくなり、健康保険の扶養だけが残ります。もし、妻が60歳に達していないのであれば、残りの期間は、国民年金の第1号被保険者となるか、会社などに勤め第2号被保険者となるかして保険料を納めることになります。

このように、年齢差のある夫婦の場合、夫が65歳以上になると、会社勤務をしていても、妻は第3号被保険者から外れます。年上の夫と妻の年齢差が5歳以上あるときは気を付けるようにしましょう。

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まとめ

夫の扶養に入っていれば、年金も健康保険も担保されます。しかし、夫の年齢、勤務先などで扶養を継続できなくなることもあります。気になる場合は、年金と健康保険それぞれ、扶養に入る要件などをチェックしておきましょう。とくに、夫婦の年齢差がある場合、早めにチェックしておくと安心です。

舟本美子 ファイナンシャルプランナー

「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー

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