19/08/18
子供が早生まれは損! 児童手当&扶養控除は生まれ月で10万円超も違う
早生まれの子どもを持つ親は、小さい頃には発達の差で不利に感じてしまうことも多いはず。やがてそれも気にならなくなるものですが、子どもが15~16歳くらいになったら再び、「え?早生まれってもしかして損してない?」と思うかもしれません。というのも、子どもの生まれ月によって、税金などの面で差が出ることがあるからです。
今回は、早生まれと遅生まれで、もらえる児童手当や受けられる扶養控除にどれくらいの差があるのかを検証します。
早生まれの子がもらえるトータルの児童手当は少ない!?
子どもがいる家庭に、法律にもとづき支給される児童手当。現在、原則として、3歳未満の子と小学校卒業までの第3子以降の子については1人につき月額1万5000円が、それ以外の子については1人につき月額1万円が支給されています。
児童手当の支給期間は、子どもの15歳の誕生日の次の3月31日まで、つまり中学卒業時までです。支給開始月は生まれ月の違いにより別々ですが、支給終了月は同じ学年の子はみんな同じ。3月生まれの子がいる親は、4月生まれの子がいる親よりも、トータルでもらえる額が11万円少ないことになります。
子どもが早生まれなら扶養控除でも損する!?
扶養控除とは、所得控除の一種で、扶養親族がいる場合に受けられる控除。扶養親族の要件をみたした16~22歳の子がいれば、親は扶養控除が受けられます。控除額は、16~18歳(高校生)が38万円。19~22歳(大学生)は特定扶養親族となり、控除額が63万円と大きくなります。
ところで、上に「高校生」と書きましたが、厳密には高校生の子がすべて対象になるわけではありません。扶養親族の年齢は、その年の12月31日時点の年齢で判断します。高校1年で早生まれの子は、12月31日にはまだ15歳ですから、扶養控除の対象にならないのです。
そもそも、なぜ16歳未満の子が扶養控除の対象でないかと言えば、15歳までは児童手当があるから。しかし、児童手当がなくなった後すぐに扶養控除が受けられるのは、実際には子どもが遅生まれの場合だけ。早生まれの場合には、1年待たなければなりません。
ちなみに、わが家にも昨年高校1年だった早生まれの子どもがいますが、今年の確定申告では扶養控除が受けられませんでした。もし遅生まれだったら所得税も住民税も今年はもう少し安かったのかと思うと、やはり損した気がしてしまいます。
子どもが早生まれなら税額の差は10万円超!?
上記の扶養控除の対象期間を見て、「早生まれの子は高校1年時に扶養控除が受けられなくても、大学4年の翌年まで受けられるんじゃないの?」と思った人もいるかもしれません。
子どもが扶養控除の対象親族となるのは、子どもの年間合計所得金額が38万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)の場合。ストレートで大学に入り4年で卒業して就職した場合、卒業した年(就職した年)の年収は103万円を超えており、扶養控除は受けられないのが一般的です。
つまり、早生まれと遅生まれの控除額は、次の表のようになります。
早生まれの場合、大学1年時の控除額は38万円なので、控除額63万円である特定扶養親族の期間が遅生まれよりも1年短くなってしまいます。これによりどれくらい税額に差が出るのでしょうか?
所得税率(※収入により変わる)を仮に10%とすると、特定扶養控除が1年受けられなければ6万3000円損することになります。さらに、住民税(税率一律10%)の特定扶養控除額は45万円ですから、住民税については4万5000円の損。合わせて11万円近く損する計算になります。
まとめ
国の制度上、現状では子どもが早生まれか遅生まれかで手当やかかる税金に差が出てしまいます。高校・大学は最も教育費がかかる時期ですから、税金の負担は親にとっては大きな問題。早生まれの子どもがいるなら、税金の負担も考慮して教育費の準備をしておくと安心です。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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