20/05/25
児童手当・扶養控除は子供が早生まれだと10万円超も損!
日本の学校は4月生まれから翌年3月生まれまでで一学年。翌年の1月から3月までに生まれた子どものことを早生まれといいます。
学年で見ると遅く生まれた早生まれの子どもですが、児童手当や扶養控除の面で見ると、実はけっこう損なのです。どういうことか、紹介します。
最大11万円も違う! 児童手当のカラクリ
まずは児童手当から見てみましょう。児童手当は、0歳から中学生までの子供がいる世帯がもらえるお金です。どこの自治体に住んでいても、0歳~3歳未満までの子と小学校卒業までの第3子以降の子がいる場合は1人につき月額1万5000円、その他の3歳〜中学生の子がいる場合は1人につき月額1万円が受け取れます(所得が高い場合は特例給付として月額5000円となります)。
児童手当の支給期間は、子どもの15歳の誕生日の次の3月31日までとなります。児童手当は生まれた月からもらえるので、いつからもらえるかは子どもによって違いますが、支給が終わるのは学年ごとに一緒のタイミングとなります。ということは、3月生まれの子がいる親は、4月生まれの子がいる親よりも、もらえる額が11万円少なくなってしまうことになるのです。
なお、2020年6月支給分(2020年2月〜5月分)に限って、新型コロナウイルス感染症の緊急対策の一環として、児童手当に「子育て世帯への臨時特別給付金」の1万円が上乗せされます。この春、15歳で中学校を卒業した子供(主に新高校1年生)のいる家庭も受け取れます。 ただし、年収が高く、児童手当が特例給付となっている方(児童手当が月5000円の方)は対象外です。
加算にあたって、特に手続きは必要ありません。
すぐには控除ができない! 扶養控除のカラクリ
所得税を少なくするさまざまな控除のなかで、多くのサラリーマンが活用している控除に「扶養控除」があります。
扶養控除とは、その年の12月31日現在で16歳以上23歳未満の扶養親族がいる場合に利用できる控除。生計が同一で所得金額(収入から控除等を引いた金額)が「48万円以下」であることが条件です。
この年齢と所得の条件を満たす16歳以上の子どもがいる家庭は、38万円の扶養控除を受けることができます。
さらに、もっともお金がかかる大学生に相当する年齢(その年の12月31日現在で19歳以上23歳未満)の子どもがいる家庭については控除額が上乗せに。特定扶養親族として63万円の特定扶養控除が受けられます。
もうお気づきの方もいるかもしれませんね。扶養控除を受ける条件は「その年の12月31日現在で16歳以上23歳未満」。それに対し、中学校を卒業して高校1年生になった早生まれの子は、12月31日現在でまだ15歳なのです。
扶養控除の対象が16歳からなのは、15歳までは児童手当を受け取れるからです。しかし、早生まれの子の場合は、扶養控除を受けられるのが1年遅くなってしまうことになります。
特定扶養控除がなくなると10万円以上損する場合も
早生まれの子は16歳での扶養控除が1年遅くなるかわりに、4月以降に生まれた子よりも1年長く扶養控除を受けられるのでは? そう思うかもしれませんが、実はそうはいかないケースが多くあります。なぜなら、子どもが扶養控除の対象親族となるのは、子どもの年間合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)の場合のみだからです。
現役で大学に入り、4年で卒業して就職した場合、所得や給与の条件はまず満たしません。すると、23歳時点で受けられる予定だった特定扶養控除(63万円)は受けられなくなってしまいます。
所得税の税率は収入によって変わりますが、仮に10%とすると、6万3000円損することになります。また、住民税(税率10%)についても45万円の特定扶養控除が受けられなくなりますから、4万5000円の損になります。つまり、合わせて10万8000円も損してしまうのです。
まとめ
親は何月生まれの子であろうと、すくすく育ってほしいと思うもの。しかし、児童手当や扶養控除に関しては、残念ながら生まれ月によって金額に差があるのが現状です。人生の三大出費のひとつが教育費ですから、もし早生まれのお子さんがいらっしゃるなら特に、早めの準備を心がけておくといいでしょう。
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高山 一恵 ファイナンシャルプランナー
(株)Money&You取締役。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』『Mocha(モカ)』や登録者1万9000人超のYouTubeチャンネル『Money&YouTV』を運営すると同時に、全国で講演活動、執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『マンガと図解 定年前後のお金の教科書』(宝島社)、『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)など書籍100冊、累計170万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue
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