21/03/13
年金は一生涯でいくら納めて、結果いくらもらえるの?
「年金を払っても元が取れないのでは?」と考えて年金保険料を納付しない人も少なくありません。年金はそもそもいくら納めて、いくらもらえるのでしょうか?
本記事では年金保険料の納付額と受け取れる年金額について説明し、年金を払うと本当に損なのかを検証します。
国民年金の保険料納付額と受給額
公的年金には国民年金と厚生年金があります。このうち、国民年金は20歳から60歳までの国民全員が加入するもので、保険料は一律、受給額も払った保険料に対応する形で一律です。一方、厚生年金は会社員などが加入するもので、保険料・受給額は給料の額によって差があります。
まず、全員が加入している国民年金について、納付する保険料総額と受給額を見てみましょう。保険料や受給額は毎年少しずつ変動するためざっくりとした計算になります(※以下、本文中の金額は令和3年度(2021年度)のもの)。
●国民年金保険料はトータルでいくら払う?
国民年金保険料は1万6610円ですので、この金額を20歳から60歳までの40年間(480か月)納付すると、
1万6610円×480か月=797万2800円
となり、約800万円を支払うことになります。
●国民年金(老齢基礎年金)の受給額は?
国民年金の受給額は、受給開始年齢や保険料を納付した期間によって変わります。保険料の全額を納付した人が原則どおり65歳から受給する場合、年間受給額は78万900円で、この金額を死ぬまでもらえることになります。仮に女性の平均寿命である87歳まで生きるとすると、22年間受給することになり、受給総額は
78万900円×22年間=1717万9800円
となります。
受け取れる年金額は払った保険料の約2.2倍になりますから、損するどころか、随分得しています。国民年金はだいたい10年程度で元が取れる計算になるので、75歳を超えるくらいまで生きていれば、払い損にはならないということです。
厚生年金加入の場合の保険料納付額と受給額
自営業者など国民年金だけの人でも、年金を払うことでかなり得することがわかりました。続いて、厚生年金に加入していた人について考えてみます。厚生年金は給料の額によって保険料や受給額が変わりますが、月収(標準報酬月額)30万円で20歳から60歳まで働いたと仮定して計算します。
●保険料はトータルでいくら払う?
厚生年金保険料の半額は会社が負担してくれますが、月収30万円の場合の厚生年金保険料自己負担額は月2万7450円です。厚生年金保険料の中には国民年金保険料分も含まれているため、この金額を負担するだけで国民年金保険料も全額払っていることになります。
20歳から60歳までの40年間(480か月)に支払う厚生年金保険料の総額は、
2万7450円×480か月=1317万6000円
となります。
●受け取れる年金額は?
老齢厚生年金の受給額は原則的に「平均標準報酬月額×支給乗率×加入月数」で計算します。支給乗率や加入月数は生年月日や加入期間等によって変わりますが、ここでは支給乗率が5.481/1000と仮定します。平均標準報酬月額30万円の場合、老齢基礎年金を合わせた年金受給額の合計額は次のとおり約150万円です。
78万900円+(30万円×5.481/1000×480か月)=157万0164円
60歳で退職し、65歳から87歳まで受給する場合の年金の総額は、
157万0164円×22年=3454万3608円
となり、払った保険料の約2.6倍を受け取れます。厚生年金の方は8年程度で元が取れますから、国民年金よりもさらに得する年金と言えます。
厚生年金があれば、国民年金だけの場合と比べて、約2倍の年金を受け取れることもおわかりいただけるでしょう。現役世代の間、会社で働いて厚生年金に加入していたかどうかで、老後に大きな差が出てくるのです。
公的年金を充実させておけば長生きしても安心
公的年金は一生涯受け取ることができるので、公的年金をできるだけ増やしておくことで、老後の大きな安心につながります。国民年金の未納期間は埋める、パート・アルバイトでも社会保険に加入する、給料をアップさせる方法を考えるといった方法により、公的年金を増やせる場合があります。年齢が上がるにつれて年金を増やすためにできることは限られてきますので、年金が少ない人は早めに対策を考えておきましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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