18/04/02
年収800万円独身と年収1000万円独身はどちらが勝ち組なのか
年収がいくらなら「高収入」でしょうか。これは、人それぞれの価値観によって正解はひとつではありません。しかし税金の計算上では、高所得者とは年収1000万円以上のこと。この高所得が、2020年から年収850万円以上に変更になります。
収入が多いと税金も増えます。年収850万円を境に、税金・社会保険料を差引いたお金=可処分所得はどう変わるのでしょうか。そして、年収800万円と、税金がより多い年収1000万円では、実質的な勝ち組はどちらなのでしょうか。
高収入は税金も高い、実際に使えるお金はいくら?
所得税は、収入が多いほど税率が高くなっています。これを「累進課税制度」と言い、たくさん稼ぐ人は税金も多く支払います。そのため、実際に使えるお金は収入よりも少ない額になります。
実際に使えるお金は、「可処分所得」と言い、次のように計算されます。
収入-(所得税+住民税+社会保険料)= 可処分所得
独身の会社員で、年収800万円のケースを考えてみましょう。所得控除は、「基礎控除」と「社会保険料控除」だけで計算します。
800万円-(48万円+46万円+111万円)=595万円
税金と社会保険料で205万円払って、自由に使えるお金は595万円です。
(金額は四捨五入、以下同)
では、年収1000万円ではどうでしょうか。
1000万円-(82万円+63万円+120万円)=735万円です。
税金と社会保険料で265万円払って、可処分所得は735万円です。
実はこの可処分所得ですが、増やす方法があります。それは、税金を安くすること。同じ収入でも、税金が安くなれば差し引く金額が少なくなるので、可処分所得は増やすことができるのです。
年収800万円と1000万円とを比べれば、同じ条件なら1000万円のほうが税金・社会保険料を差し引いても可処分所得は多くなりました。
しかし、これだけでは年収1000万円が勝ち組とは言えません。額面1000万円は一見多くもらえていそうですが、手取りで考えれば、意外と少ないのです。このままの状態では、年収800万円も1000万円もどちらも勝ち組とは言えないのではないでしょうか。
節税することで、可処分所得は増やせる
税金は、収入から所得控除を差し引いた課税所得に、税率をかけて計算します。
つまり、所得控除がたくさんあれば、その分税金が減るということです。
独身であれば、配偶者控除や扶養控除は使えませんが、「生命保険料控除」や「地震保険料控除」なら、保険に加入していれば使えます。薬を買ったり治療費を払ったりしたら「医療費控除」が使える場合もあります。
そのほかに会社員でもできる節税として、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)に加入して掛金を全額「小規模企業共済等掛金控除」にすることもできます。
また、不動産所得の損失を他の所得から差引くことができることも、覚えておきたいですね。投資物件としてアパートやマンションを購入し、賃貸に出して家賃などの収入があれば、不動産所得として確定申告が必要になります。
必要経費(減価償却費など)が家賃収入をうわまわって不動産所得がマイナス(赤字)であれば、給与所得と差引きできることになっています。これを損益通算と言います。
特に投資用不動産は購入したばかりの時期だと、必要経費が多いために赤字になってしまうことが少なくありませんが、節税に利用することができるのです。
まとめ
2020年に税制が改正になると、年収800万円の税金は変わりませんが、年収1000万円だと4万5000円の増税になります。
本当の勝ち組は、制度を味方につけて、自由に使えるお金を多く作った人のことです。収入を増やすだけではなく、税金を減らして賢い勝ち組になりましょう。
タケイ 啓子
ファイナンシャルプランナー(AFP)。36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
記事提供:moneliy
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