23/05/25
「年14万円以上」の差になることも 健康保険組合によって負担割合が全然違う
日本では「国民皆保険制度」がとられており、すべての国民が公的な医療保険に加入することとなっています。しかし、公的な医療保険の種類は皆同一ではなく、働き方や業種、地域などによって加入する医療保険の種類や負担する健康保険料は異なります。健康保険料は、人により、年に14万円以上もの差が出る場合があること、ご存じでしょうか。
今回は、公的な医療保険の種類や金額などをご紹介します。
被用者保険の健康保険料はさまざま
健康保険には、被用者保険と国民健康保険の2つがあります。
このうち、被用者保険は、企業や団体などに勤める人(サラリーマンや公務員など)が加入するものです。被用者保険には、大きく分けて健康保険組合、健康保険協会、共済組合の3種類があります。そして、どの保険に加入するかによって保険料に差が生じる場合があります。
●大企業の「健康保険組合」健康保険料は組合ごとに大きく異なる
健康保険組合は、健康保険法に基づいて大企業が設立する保険組合です。大企業に勤めるサラリーマンとその扶養家族が被保険者となります。健康保険組合の保険料は企業により社員負担割合が異なります。たとえば、40歳未満の健康保険料(介護保険料を含まない)は次のようになっています。
・日本郵船健康保険組合:被保険者1.5%・事業主4.5% 合計6%
・トヨタ自動車健康保険組合:被保険者3%・事業主5.3% 合計8.3%
・FR健康保険組合(ファーストリテイリング):被保険者4.7%・事業主4.7% 合計9.4%
・日本マクドナルド健康保険組合:被保険者5.6%・事業主5.6% 合計11.2%
日本郵船健康保険組合と日本マクドナルド健康保険組合では、被保険者の負担分で4.1%もの違いがあります。月給30万円、40歳未満の会社員の場合、健康保険料には月1万2,300円、年間14万円以上の違いが出てきます。
●中小企業の「健康保険協会」健康保険料は都道府県により異なる
健康保険協会(協会けんぽ)は、中小企業や零細企業に勤める人が加入する保険組合です。健康保険協会は、都道府県ごとに支部があり、企業が所属する支部によって健康保険料が決められています。
2023年度の健康保険料が最も安いのは新潟県の9.33%、最も高いのは佐賀県の10.51%です。首都圏では、東京10.00%、神奈川10.02%となっています。この料率で計算された金額を、従業員と会社で折半して支払います。
「国民健康保険」の保険料は市区町村や自治体で異なる
国民健康保険は、自営業者や勤務時間の少ない非正規雇用者や、学生・年金生活者などが加入するものです。国民健康保険は、被用者保険に加入していない、自営業やフリーランス、高齢者、無職の方が加入しています。国民健康保険の保険料は、市区町村や自治体により、保険料は異なります。住民票がある自治体の国民健康保険に入るのが一般的です。
自治体の国民健康保険に加入している場合、保険料の上限は変わりません。ただし、上限に達するほどの収入がない場合は、自治体によって保険料が大きく異なります。収入だけでなく、世帯人数によっても保険料は異なります。
標準化保険料算定額(所得が全国平均並みの人が該当の都道府県内で払うと想定される保険料額)の年額では、最も安い保険料の都道府県は埼玉県で102,533円、次いで、神奈川県で103,669円。最も高い県は徳島県145,629円と約4万円の差があります。
まとめ
大企業の人が加入する健康保険組合の保険料は企業によって、中小企業の人が加入する健康保険協会の保険料は都道府県によって、そして国民健康保険の保険料は自治体によって異なります。同業種でも健康保険料が大きく違った、となりの自治体の方が安かった…などということがあるかもしれません。転職や引っ越しの際にチェックしてみましょう。
【関連記事もチェック】
・「どうせ長生きしないから」年金保険料9年しか納めなかった人の末路
・国民年金保険料「40年間全額免除」だと、年金はいくらもらえるのか
・「ねんきん定期便久々に見たら大幅増額」年金額が数十万円増えている驚きの理由
・「子ども名義の口座」で注意しておきたい5つのこと
・会社も役所も教えてくれない、年金受給者が確定申告で得する8つの事例
城山ちょこ ライター
東京海上日動火災保険出身。慶応大学院SDM研究科修了。
2013年よりライターの道へ。執筆ジャンルは金融(保険)、働き方、子育て、結婚など女性のライフスタイル全般。2児の子育てと仕事の両立に日々奮闘中。丁寧でわかりやすい記事をモットーとしています!
この記事が気に入ったら
いいね!しよう