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22/11/14

相続・税金・年金

「10月の給与が減った」と驚いたら必ず確認すべき給与明細の項目

「10月の給与が減った!」と驚いたら確認すべき給与明細の項目

10月に振り込まれた給与が「あれ?減っている!」と驚いた方もいるでしょう。そんな方は、給与明細をチェックしてみましょう。なぜなら10月は、「社会保険の見直し」が反映される月だからです。今回は、毎月給与から控除となる社会保険料の決まり方、将来もらえる年金への影響、そして2022年10月からの雇用保険の料率改正を詳しく紹介します。

10月の給与が減ったのはなぜ?

給与から天引きされる社会保険には、健康保険、厚生年金保険、介護保険(40歳以上の方のみ対象)、雇用保険などがあります。このうち、健康保険、厚生年金保険、介護保険は、毎年7月に社会保険料の見直しをする「定時決定」があります。

定時決定では、直近3ヶ月(4月・5月・6月)の給与や各種手当をもとに「標準報酬月額」を算出します。これにより保険料の金額が決まり、9月1日から反映されます。

例えば、4月~6月に残業などが多ければ、その分給与額が増え、標準報酬月額の等級が上がり、社会保険料が増えます。それに伴い、10月の残業代が4月〜6月と比べ少なければ、手取り額が減るというわけです。このように、標準報酬月額の等級は、給与額によって変化します。もし、10月分の給与が減ったのであれば、定時決定において、標準報酬月額の等級が上がったからかもしれません。

ですから、まずは、社会保険料が前月と比べて違いはないかチェックしてみましょう。
多くの会社の給与明細の備考欄には「標準報酬月額の変更に伴い、社会保険料が変更になっています」という説明が添えられているはずです。

給与から控除される社会保険の決まり方

健康保険や厚生年金保険、介護保険などの社会保険料の見直しのプロセスについて、もう少し詳しく説明します。

●標準報酬月額とは

標準報酬月額とは、会社員が会社から支給される毎月の給与などを区切りのよい幅で区分したもの。それぞれの社会保険料を出すときの計算のもとになるものです。
健康保険・介護保険の標準報酬月額は、第1級の5万8千円~第50級の139万円までに区分されています。また、厚生年金の標準報酬月額は、8万8千円~65万円までの32等級に区分されています。

標準報酬月額を計算する基準になる金額は、基本給だけでなく、役職手当、資格手当、通勤手当、残業手当など、労働の対象として支給されるものをすべて合計した「総報酬額」です。

例えば、毎月の給与などの総報酬額が21万円~23万円であれば、標準報酬月額は22万円のグループにまとめられます。このとき健康保険・介護保険は18等級、厚生年金は15等級に属することになります。

このような標準報酬月額をまとめた表が、あらかじめ都道府県ごとに作成されています。その中では、等級ごとに個人が負担する健康保険、介護保険、厚生年金保険料が一目でわかるようになっています。

●定時決定での計算方法と反映される時期

毎年7月に行われる定時決定では、会社が4~6月の3か月間に支払った給与の総支給額をもとに計算し、年金事務所または健康保険組合へ書類を提出します。

諸手当を含む総支給額をもとに、標準報酬月額を計算してみましょう。なお、いずれの月も17日以上勤務していることが前提となります。

例)総支給額が4月:23万円、5月:25万円、6月:24万円の場合
・標準報酬月額の計算式=総報酬額(4月+5月+6月)÷3
数字をあてはめ計算をすると以下のようになります。
(23万円+25万円+24万円)÷3=24万円
標準報酬月額は「24万円」に決定します。等級は、健康保険・介護保険では19等級、年金保険では16等級になり、9月から翌年8月まで適用されます。




●毎月の社会保険料の計算方法

実際に控除される社会保険料を計算するときは、標準報酬月額に健康保険、介護保険、厚生年金保険などの保険料率を掛けて計算します。このとき算出された保険料は、会社と社員本人で負担します。実際の計算式は以下のとおりです。

① 健康保険
被保険者が40歳未満の場合:標準報酬月額×健康保険料率
被保険者が40歳以上の場合:標準報酬月額×(健康保険料率+介護保険料率)
保険料率は、都道府県ごとに違いがあります。会社の本社所在地によって適用される料率が決まります。

② 厚生年金保険
標準報酬月額×18.3%
保険料率は、2017年9月以降固定されています。
算出した保険料は、会社と社員が折半で負担します。給与明細の健康保険、介護保険、厚生年金などの控除欄に表示されているのは、社員負担分です。
実際の例で、社会保険料を計算してみましょう。

Aさん 33歳 
勤務先の本社所在地:東京
標準報酬月額:24万円(健康保険では19等級・厚生年金では16等級に該当)
健康保険料率:9.81%
厚生年金保険料率:18.3%

① 健康保険料
24万円×9.81%=2万3544円
Aさんが負担する保険料は、2万3544円÷2=1万1772円

② 厚生年金保険料
24万円×18.3%=4万3920円
Aさんが負担する保険料は、4万3920円÷2=2万1960円

定時決定で標準報酬月額が決定すると、原則1年間は変更することはありません。しかし、様々な理由で給与の大幅な変動が3か月以上続けば途中で標準報酬月額を変更する「随時改定」もあります。

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標準報酬月額の改定で将来もらえる年金はどのように変わるのか

標準報酬月額の等級改定は、給与の手取り額が多くなったり少なくなったりするだけではありません。そもそも、標準報酬月額は、給与に見合った健康保険料や厚生年金保険料を計算するためのものです。その内、厚生年金保険料は、将来もらえる老齢厚生年金を準備するための掛金です。そのため、残業が増え給与が多くなれば、厚生年金保険料を多く納めることになり、その分もらえる老齢厚生年金が増えます。

一方、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するためなどで、在宅勤務をするケースが多くなっています。そうして、通勤手当が減ってしまうこともあるでしょう。たとえば「今まで通勤手当が2万円支給されていたが、実費分のみの支給となった」といった場合、標準報酬月額の等級が下がり納める厚生年金保険料、健康保険料が減る可能性があります。

この場合、控除額が減るので、手取りは少し増えるかもしれません。しかし、将来の老齢厚生年金が少なくなってしまうこともあります。また、病気で休職中に支給される傷病手当金、産前産後休業期間中に支給される出産手当金なども連動して、少なくなってしまいます。

10月の給与の手取り額が、増えた、減ったということに注意するだけでなく、さらに一歩踏み込んで、将来の年金などへの影響についても考えてみるとよいでしょう。

●残業代が増えた場合、老齢厚生年金はどの程度多くなるのか

実際に、残業代が増えた場合、どのくらい年金が増えるのか計算してみましょう。
老齢厚生年金を計算する前提条件は以下のとおりです。

・Aさんは、2022年4月現在33歳、大学を卒業して就職
・年金を計算する際のベースになる「平均標準報酬額」は29万円。
平均標準報酬額は、1年間にもらうボーナスも含めて考えます。今回の年間のボーナスは、60万円と仮定。60万円÷12ヶ月=5万円。毎月の給与の標準報酬月額は24万円となります。

ざっくりとした老齢厚生年金の受取額は、保険料の納付月数と収入から、以下の式で計算できます。
(A)=平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入月数
(B)=平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以後の加入月数
(A)+(B)=老齢厚生年金の年額

① 残業代が支給されない場合の年金額
年間給与24万円×12=288万円
年間賞与60万円
加入期間:2010年4月から60歳までの38年(456ヶ月)
平均標準報酬額:(288万円+60万円)÷12ヶ月=29万円
2010年から就職のため(B)の式のみで計算
(B) 29万円×5.481/1000×456ヶ月=72万4807円≒72万円
実際にもらえる老齢厚生年金は約72万円になります。

② 残業代として月額2万円が加算された場合の年金額
年間給与24万円×12+年間残業代24万円=312万円
年間賞与60万円
加入期間:2003年4月から60歳までの38年(456ヶ月)
平均標準報酬額:(312万円+60万円)÷12ヶ月=31万円
上記①と同じく、(B)の式のみで計算
(B) 31万円×5.481/1000×456ヶ月=77万4794円≒77万円
実際にもらえる老齢厚生年金は約77万円になります。

上記の試算から、残業代が支給されない場合、支給される場合で比較してみると、もらえる年金が年額5万円違うことがわかります。
実際のところ、給与が昇給し、年間給与や賞与がもっと増える場合もあるでしょう。そのため、上記の数字は概算にすぎませんが、残業代の月額2万円(年間24万円)が、将来の年金額に大きく影響することがご理解いただけることでしょう。

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2022年10月からは「雇用保険」の料率の改定もある

給料から天引きされる社会保険には「雇用保険」もあります。雇用保険は、労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進を図るための制度です。雇用保険からは失業したときなど、さまざまな給付金が支給されます。なお、雇用保険料は従業員と事業主がそれぞれ負担しています。

これまで、雇用保険の財政は安定していたため、雇用保険料率は低く抑えられていました。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、財政が急激に悪化しました。悪化した財政の健全化を図るため、2022年4月から雇用保険料率の引き上げが、段階的に行われました。2022年10月1日〜2023年3月31日の雇用保険料率は、具体的には次のとおりです。

●雇用保険料率(2022年10月1日〜2023年3月31日)

厚生労働省「2022年度(令和4年度)雇用保険料率のご案内」より

一般の事業の場合、2021年度の労働者負担の雇用保険料率は3/1,000(0.3%)、事業主負担の雇用保険料率は6/1,000(0.6%)でしたが、2022年10月1日からは労働者負担5/1,000(0.5%)、事業主負担8.5/1,000(0.85%)にそれぞれ引き上げられています。

労働者が負担する雇用保険料は「賃金×雇用保険料率」で計算することができます。
給与から控除される雇用保険料がどのくらい変わるのか確認してみましょう。

●「一般の事業」の雇用保険料率を計算

【毎月の給与が25万円だった場合で比較】
・2022年9月30日まで
労働者負担:3/1,000   25万円×0.003=750円
・2022年10月1日から2023年3月31日まで
労働者負担:5/1,000   25万円×0.005=1250円
これより、2022年10月分の給与から控除される雇用保険は1250円となり、9月分の750円と比較すると「500円アップ」となります。

なお、雇用保険料の対象になる賃金は、従業員に労働の対償として支払われるものすべてが含まれます。主なものに、基本給、残業代、通勤手当、扶養手当、資格手当、賞与などがあります。

まとめ

毎年、給与に応じた標準報酬月額の見直しがあり、さらに2022年10月からは、雇用保険の料率改定も行われました。残業代や通勤手当の増減が影響するため、給与の手取りが減る人、増える人、さまざまなのではないでしょうか。ものやサービスの値段が上がっている昨今の状況を考えれば、手取りは一層気になります。そんな今だからこそ、お金の使い方を見直したり、老後資金を考えたりする機会にしていただくといいと思います。

舟本美子 ファイナンシャルプランナー

「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー

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