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16/04/07

キャリア

私がFPとして生きる道を選んだワケ

近年、ファイナンシャルプランナー(以下、FP)の資格は人気資格上位に常にランクインされています。読者の方の中にもFPに興味を持っている人は少なくないのではないでしょうか。そこで今回は私がFPになろうと思ったきっかけをお伝えしたいと思います。FPとして働いている自分の思いを知ってもらえたら嬉しいです。

私がFPになろうと思ったきっかけはいくつかありますが、以下の3つのきっかけが主な転換点だったとおもいます。

香港での「外貨預金」の失敗が、お金への意識を変えた

結婚し、主人の仕事で香港に住むことになりました。その当時、香港では、外貨預金の金利がまだ8%前後という高い金利だったため、周りから外貨預金は良いからやるべきだと勧められ、よくわからないまま始めました。でも、金利リスクおよび為替リスクはもちろん、お金全般の知識もほとんどなく、その上勉強もしていなかったため、雑誌のよくある失敗談に出てくるように、あっという間にマイナスを出し、元本割れをしてしまいました。具体的には、300万円がなんと200万円に目減りしてしまいました。「100万円の損なんて、大したことない」という読者がいるかもしれませんが、お金の知識がまったくない私は、震えが止まらない出来事だったわけです。

主人にはあきれられるし、お金はなくなるしで、半泣き状態…。知識も経験もないままやるわけですから、失敗するのは当たり前ですよね…。高い金利がずっと続くわけもないし、ずっと為替が安定するわけもないということです。事前にリスクを把握して金額をかけていたのならまだしも、まったく知識がなく行っていたことで、この苦い経験が、ちゃんと勉強をして知識を得るきっかけとなりました。

帰国後は︎保険の仕事へ。でも徐々に「保険屋さん」のお客様視点に違和感

香港より帰国してからは、母の介護のため、介護ヘルパーなどの資格をとりながら一般の会社で働いていましたが、人生何が起きるかわからないものです。働いていた会社が売却され、労働条件などが大幅に変わってしまい、転職を余儀なくされました。

現在も、日本人の多くは保険に入っているとおもいますが、当時は保険に入っているのは当たり前。世界的に見ても類を見ないでしょう。私の周りでも、保険の必要性や細かい商品内容などをわかっていないのに入っている人が多かったです。そんな環境に問題意識を覚え、保険業界で働くことを決意しました。

保険会社に入ってから、保険の仕組みや用途を勉強し、各お客様への提案の仕方を覚えたり、保険業法や個人情報の確認をしたりなど、勉強すればするほど奥が深く、難しいことばかりで、正直何度もやめようかと思いました。
若いころに比べて、集中力や暗記力も落ちていて、1つ覚えると3つ忘れる…といった感じで、自分でも情けない。

それでも何とか頑張れたのは、お客様からの励ましや、自分の提案した保険で、お客様が喜んでくださったこと、加えて、仕事で実績が出たからです。
保険の仕事をする年数を経るに連れ、保険を売る側もビジネスですので、ノルマであったり儲けるために手数料が高めの保険を売ってしまったりと、「お客様第一」を悩むことがしばしばありました。ただの「保険屋さん」にはなりたくない、保険を売る側の利益を考える人ではなく、中立的、むしろお客様よりの立場でアドバイスしたいという思いが少しずつ強くなっていきました。

母の成年後見人になり、知識不足から自分の予定相続税が増えてしまったこと

私の母の介護を通して、成年後見人や相続準備を自分自身が経験したことで、私と同じ苦労をされている方々の、助けになれば…と思ったことがFPとして独立する転機となりました。

私は母一人子一人の一人っ子のため、現在90歳近くの母が亡くなったら、そんなに多くはありませんが、母の財産は私が相続することになります。
私の払うべき相続税の計算をすると、昨年、相続税の非課税枠が減額になったことで、支払うべき相続税が改定前の計算より大幅に増えました。にもかかわらず、母の成年後見人を選択したため、生前贈与が受けられません。成年後見人とは、高齢になり、自分の財産管理や日々の生活の様々な手続きができなくなった方の為に、法的な手続きを踏んで、本人の代わりにすべて行うことを任された人です。成年後見人を選択すると、守るべき人の財産から贈与は受けられないことが法律で定められています。

FPの資格を取る前に、知識なくして成年後見人を選択していたため、相続税の対策はまったく打てませんでした。
「こういう事を先に知っていたら」「こんな対策ができたのに」という、後悔を他の人にはさせたくないと思ったわけです。


以上、3つの経験が絡み合い、FPの資格を持ち、自分の実体験を生かして「保険」「介護」「相続」の分野でサポートするファイナンシャルプランナーとして独立しました。
大きなことはできませんが、私ができる小さなことの積み重ねが、少しでも多くの方のお役に立てたらと考えています。

本田 典子 ファイナンシャルプランナー

大手製粉会社で料理講師を勤め、結婚で香港に在住約6年。帰国後、母の介護を経験しながら各種、ヘルパー1級資格他、全身障害者ガイドヘルパー、視覚・聴覚障害者ガイドヘルパーなど、介護関係の資格を働きながら習得。その後外貨での失敗を糧にFPなどの資格を取り、外資系保険会社で、個人・法人の営業担当として保険・相続・介護のコンサルティングを経験。介護と相続に関しては、実体験を踏まえており、コンサルティングには定評がある。

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