16/02/18
ストップ「介護離職」! 仕事と介護は両立できる
介護を理由に仕事を辞める、いわゆる「介護離職」をする人は、年間10万人といわれています。
年代別では、50代の「介護離職』が最も多く、子育てのゴールがようやく見えて、自分たちの老後のことも考えようか、という矢先に家族の介護を理由に仕事を辞めざるを得なくなってしまう人が多いのです。
50代は介護と教育資金準備のダブルパンチ
50代は、教育資金の大波が次々と押し寄せ、一番支出の多い時期です。そんな重要な時期に家族の介護で思うように働けないことは、介護する側だけでなく、働き盛りの人材を失う会社にとっても大きな打撃となります。
現在、平均寿命と健康寿命には、男性は9年、女性は11年の差があります。この期間が何らかの介護が必要な期間です。
企業では、次の3つの「介護のための両立支援制度」を設けています。
①介護休業 1回93日
②介護休暇 年5日
③短時間勤務
など
制度があるに関わらず、どれも十分に使われていないのが現状です。
その理由としては、プライベートな理由で休みを取りづらいという社員の考えと、支援制度の利用を推進しきれていない企業の姿勢にあると考えられます。
また、平均介護期間が4年間というデータがある中、①介護休業の93日、②介護休暇が年5日というのは、実状にあっていないという指摘もあります。
介護保険制度の成否は企業側の姿勢にかかっている
2000年に介護保険制度が始まりましたが、介護保険制度のサービスは、高齢者の意思を尊重した、高齢者のためのサービスを目的としていますので、介護する側の事情にあわせたサービスを受けることは難しく、介護保険制度だけでは、仕事との両立が難しくなっていきます。
とはいえ、「介護離職」は、双方にとって不利益であることは明らかです。
では、どうすれば「介護離職」を回避できるのでしょうか?その答えは、企業側の姿勢にあります。
まず、企業は、仕事と介護の両立をサポートするという姿勢をアピールすることが大切です。
また、介護に直面する前の、30代・40代の社員に向けた介護に関する研修を定期的に行うなど、社員が企業側に相談しやすい環境づくりも大切です。
そして、何より大切なのは、仕事のサポート体制の構築です。特定の仕事を特定の社員しかできないのでは、安心して介護休暇を取得できません。
だれが休んでも、周りの仲間がサポートすることができる環境が整っていれば、いざというときでも、「介護離職」という選択にはならないはずです。
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杼木 美絵 お金のことから法律までの身近なアドバイザー
CFP®(日本FP協会認定)、行政書士
いざという時に社会保障のしくみが解らず困った経験からCFP®を取得。その後、司法書士事務所の補助者を経て、2014年とちぎFP・行政書士事務所を開業。行政書士として主に許認可申請をしながら、FPとして相談、執筆、セミナーなど滋賀を中心に活動中。1児の母。趣味は掃除。ペットは猫と犬。特技はフルート。
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