16/09/14
介護離職者9.3万人! 介護の手続きとお金の基本を徹底解説
介護はある日突然やってきます。
早ければ40代からはじまる親の介護。突然親が倒れて介護がはじまった、という介護初心者も多いのではないでしょうか?
厚生労働省「雇用動向調査(2013)」によると、介護離職者は9.3万人になっています。
まだまだ親も若いから…と何の備えもしないままでは、いざ、介護という時に慌ててしまいます。どこに連絡をすればよいか、どんな手続きが必要なのか知っていますか?
まず知っておきたいことは、「介護になった時にどのような制度があるのか」です。
今回は公的な介護保険について、基本の仕組みを見てみましょう。
介護には公的な「介護保険」が使える
日常、私達が病気やけがをした時には「健康保険」で治療を受けますが、介護でサービスを受けるときには「介護保険」を使います。
介護保険は健康保険と同様、公的制度の一つで40歳になると自動的に加入するもの。会社で健康保険に加入しているなら、厚生年金や健康保険と一緒に加入し、保険料も給料から天引きで支払います。
この介護保険に加入する人は、年齢によって第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40歳~64歳)と2つに大きく分かれますが、それぞれ介護サービスを利用できる条件が違います。
≪介護サービスが利用できる条件≫
●第1号被保険者(65歳以上)
病気等の原因を問わず、寝たきりや認知症などで介護が必要な場合や日常生活で支援が必要と認められた場合
●第2号被保険者(40歳~64歳)
末期がんや関節リユウマチなど、加齢による特定疾病で介護が必要になった場合に限定
介護保険を使うには、まず「要介護認定」が必要
護保険のサービスには、「在宅サービス」「地域密着型サービス」「施設サービス」がありますが、親が倒れたからと言って、こうしたサービスをすぐに受けられるというわけではありません。実は、サービスを受けるには市区町村の「要介護認定」という手続きが必要。認定とは、要介護度がどのくらいかを判定するもので、要支援(1~2)・要介護(1~5)の7段階と非該当に分かれます。
実際にサービスを受ける際には、原則1割または2割を自己負担します。
介護サービスは、まずケアプランを作成
介護保険は、要介護度に応じて受けられるサービスが違います。認定で決まった要介護度に応じて「ケアプラン」を作成し、それに基づいてサービスを受けていきますが、このケアプランを作成してくれるのが「介護支援専門員(ケアマネジャー)」です。
保健・医療・福祉サービスで従事経験のある人ですが、中には看護師の資格を持つ人もいます。ケアプランを利用者からの相談に応じて、利用者の希望や心身の状態にあったサービスが利用できるよう、市区町村、事業者、介護保険施設などと連絡や調整を行ってくれます。通常は居宅介護支援事業者に所属して、担当エリアに分かれて活動しています。
介護の相談は「地域包括支援センター」へ
介護の相談なら、まずはここ。高齢者福祉と介護保険サービスの相談・調整・手続きを行う地域の総合窓口で、介護支援事業者などの案内もしてくれます。市区町村ごとに各地区を担当する地域包括支援センターがありますので、あらかじめ場所や電話番号などを調べておくとよいですね。
介護は終わりが見えないもの。いつまで続くの?と先の見えない不安もあります。一人で抱えない、無理しないことが大事。
何かの時に使えるサービスを一つでも多く知っておくことは、介護をする人の体も心の負担も和らげてくれるものです。介護する子も、介護される親も、居心地のよい介護を目指したいですね。
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中島 典子 家計のことから税金まで Tax&Moneyコンシェル
税理士・社会保険労務士・CFP®。
大手外資系会計事務所の税務部門を経て独立。個人・オーナー経営者・起業家のお金の悩みごとをワンストップでトータルサポート。子どもからシニアまでの金融経済教育で活動。ファイナンシャル・プランナー中島典子税理士事務所・広尾麻布相続センター 代表。FP Cafe登録パートナー
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